デジモンアドベンチャー Miracle Light
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第50話:始まりの日
前書き
そろそろ02編に入れそうです。
8月1日……それは選ばれし子供達にとっては特別な日。
この日は太一達がデジタルワールドを冒険した日であるために、この時ばかりは纏まりが悪い個性的なメンバーも集まった。
特別な日であることも確かだが、ディアボロモンとのウォーゲーム…。
“遊びで核ミサイルをぶっ放して遊び相手のいる日本滅ぼしちゃえ事件”からしばらくして、ゲンナイからのメールを受けたのだ。
子供達はデジモン達をデジタルワールドに帰せと言うのではと疑っていたが、どうやらそうではないようだ。
「いやーこういう時にはしっかり集まりやがってありがとうございました畜生がっ」
「太一さん、言葉がおかしくなってます」
言葉がおかしい太一に芽心がツッコむ。
そして大輔は小さな箱をヒカリに差し出し、中身を見たヒカリは目を見開いた。
「はい、ヒカリちゃん」
「だ、大輔君。これは……!?」
「前にブイモン達に食べさせたケーキと同じ奴。ヒカリちゃんだけ食べられなかったから。ヒカリちゃんのために作ったんだ。食べてみてくれ」
「あ、ありがと~もぐもぐえぐえぐもぐもぐえぐえぐ…」
ヒカリは早速ケーキを泣きながら食べた。
うん、美味しい。
「ヒカリちゃん、泣くのか食べるのかどっちかにすれば?」
「んー、プリン美味しい…」
ブイモンがこっそりケーキを掠め取ろうとするが、直ぐにヒカリはブイモンの手をひっ叩いた。
「……くっ!!俺の光速さを見切るとは!!」
「渡さない…これだけは渡さないんだから!!」
ケーキを庇うヒカリとケーキを狙うブイモン。
無言の戦いが繰り広げられた。
「何やってんだあいつら?」
「あの、本当に私も来ちゃって良かったんですか?大事な日なのに…」
「何言ってんだ。同じ選ばれし子供だし、一緒に戦ってくれたし。なあ!?お2人さん!?」
太一がこめかみに青筋を浮かべて見つめるのは空とミミの2人。
2人は明後日の方角を見つめる。
丈はまあ、受験だったし、ウォーゲームの翌日に会った丈は全てを出し切ったかのように完全に真っ白に燃え尽きており、丈も丈で激戦を繰り広げたらしいことは容易に想像がついた。
だから太一の怒りの矛先は空とハワイに旅行中だったミミに向けられるわけで。
「だって旅行行ってたし」
「個人的な事情もあったし」
「…お前らは…お前らはよお…」
その言葉に情けなくてもう太一は怒る気力も沸かなくなってしまった。
「ところでまだデジタルワールドに行けないのか?」
「もう少し…あ、ゲートが開きました。それでは行きましょう」
「選ばれし子供達、デジタルワールドに向けて出発!!」
全員がデジタルワールドに向かい、着いたのはファイル島の森である。
「懐かしいな、ここでアグモンと出会ったんだよな」
「あの時はコロモンだったけどね~」
アグモンが周りを見渡しながら懐かしそうに言う。
「そうなんですか?」
「おう、その後クワガーモンに襲われてな~」
太一が芽心に思い出話をして、大輔、賢、ヒカリはファイル島の森を見渡す。
「ここから太一さん達の冒険が始まったんだな」
「いいなあ、お兄ちゃん達」
大輔とヒカリが呟いた直後、ゲンナイがやってきた。
「久しぶりじゃのう」
【おお、ゲンナイさん】
「ゲンナイ、ウィルス種、爺型の(ある意味)究極体。その正体はホメオスタシスのエージェントの1人であること以外謎に包まれている。必殺技は残酷な発言をして相手の心をへし折り戦意を喪失させるハートブレイクワードだ」
【ぶふう!!】
「何じゃその意味不明な説明は」
でも何だろう、ブイモンの説明はピッタリだと吹き出した子供達は思う。
「で?俺達を此処に呼んだ理由は何だよ?」
「お主達を呼んだ理由じゃがな。アポカリモンを倒したことにより、確かにデジタルワールドの暗黒の力は取り払われたのじゃが、まだデジタルワールドを守護するデジモン達が解放されていなかったことが判明したのじゃ」
【は?】
それを聞いた子供達は目を見開いた。
「デジタルワールドを守護するデジモンって何なの?」
「うむ、その名も四聖獣と言い、お前達の世界にもある四神…青龍、朱雀、玄武、白虎に相当する存在じゃな。そして中央の地の守護龍たる黄龍がダークマスターズに封印されてしまったのじゃ」
「でもダークマスターズは全員倒したろ?何で封印が解けないんだよ」
「使用者達を倒しても効果が継続する封印だったと言うことじゃろう。」
太一の問いにゲンナイがそう言うと光子郎が至極尤もな質問をする。
「どうして今まで気付かなかったんですか?」
「仕方ないじゃろう。今やエージェントはわししかおらんし、わし1人でデジタルワールド全域を把握出来るわけなかろう」
「じゃあデジモン雇えよ」
「無理じゃ(キッパリ)、わしにそんな金はない。お主達の紋章の力を解放すれば四聖獣と守護龍の封印は解かれ、デジタルワールドの安定性が増すじゃろう」
ブイモンの言葉をゲンナイは無理だと断言し、封印解放法を説明した。
「紋章の力を解き放つだけですか?」
「後、大輔。奇跡のデジメンタルを渡してくれんか?」
「奇跡のデジメンタル?」
「デジメンタルにはお主達の紋章と同じ紋章が刻まれておるのは知っておるな?勇気は炎、友情は雷、希望は神聖とな」
「確かにそうだな、大輔がデジメンタル使う度に紋章に勇気の紋章や友情の紋章が浮かんでいたし」
ヤマトがそう言うとゲンナイも頷いた。
「紋章を作る際にはデジメンタルの構造も参考にされたからのう。アグモンの力を引き出し、太一の想いのエネルギーを効率良く引き出す際に参考にされたのが、炎属性のデジメンタル…もとい、勇気のデジメンタルなんじゃよ。勇気のデジメンタルに刻まれた紋章が勇気の紋章のデザインにされたのもそれが関係しておる」
【へえ~】
「じゃあ、大輔君が使っていたのは僕達の力の基だったんだね」
タケルの言葉にゲンナイは肯定するように頷いた。
「古代種も徐々に復活しておるし、いずれアーマー進化も昔のように普及するじゃろうな。無論完全体や究極体に安易に進化されてはバランスが崩れるから制限はつけさせてもらうが」
「まあ、それが妥当だよな」
デジモン達が経験を積んでようやく至る世代に道具だけで簡単に至るのはアーマー進化が出来ないデジモン達はかなり不利になる。
「とにかく、俺達の紋章の力を解き放てばそいつらを封印から出せるわけだな?」
「うむ、後は奇跡のデジメンタルの力で細かい調整をやっておく。」
太一の問いにゲンナイは頷くと全員がデジヴァイスを掲げると10色の光がデジタルワールドに散り散りになる。
「ああ、すまん言い忘れ取った。紋章の力を解放すれば紋章の力を使った進化がしにくくなるからのう」
【何ぃ!?】
「先に言えーーーっ!!」
ゲンナイの遅過ぎる発言に太一が絶叫した。
しばらくして落胆して帰って行く太一達。
「お主、少し待ってくれんか?」
「え…?私…ですか…?」
「うむ、お主がアポカリモンの生まれ変わりのパートナーか…ディアボロモンとの戦いは見させてもらった。よくぞマグナモンの力があったとは言え正しい進化に導いたのう」
「そ、そんな…私なんてただ見ていることしか出来なかったし…」
ゲンナイに褒められた芽心は慌てて首を横に振った。
「メイクーモンがラジエルモンに進化したのはお主のメイクーモンを想う気持ちがあったからじゃ。きっかけはマグナモンかもしれんが、そこに至るまでの道となったのはお主の想いじゃ。望月芽心よ、どうかパートナーを想う心を忘れぬよう…」
「…はい」
芽心はゲンナイの言葉に頷き、メイクーモンを抱き上げて、急いで太一達の元に。
「爺と何を話してたんだ?」
太一の問いに芽心は少し考えた後、口を開いた。
「えっと…メイちゃんを想う気持ちを忘れるなみたいなことを言われました。」
「はあ?そんなの当たり前だろ。さあ、帰ろうぜ」
「あ、はい」
太一と芽心は先に現実世界に向かった仲間達を追いかけるために走った。
新たな戦いが始まるまで、後…。
ページ上へ戻る