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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第43話:現実世界へ

 
前書き
頑張ったんだからそれ相応のご褒美があってもいいはず 

 
マグナモンXが見た球体は光に包まれて消えてしまった。

どこに行ってしまったのかは分からないが、きっと自分が最も幸せになれる場所に向かったに違いない。

「………またな」

後ろで勝利を喜ぶ子供達を見遣るとマグナモンXはブイモンに退化した。

するとハニービーモン達がすっ飛んできた。

「兄貴~!!」

「ぐはっ!!」

体当たりを喰らって吹き飛ぶ賢。

流石に疲れ果てた状態ではかわせなかった模様。

「それにしても何でオーガモンがいるの?」

「それはね、仲間集めの際に怪我をしたオーガモンを見つけて手当てしたら、借りは返すって言って力を貸してくれたのさ」

ファイル島でオーガモンと敵対していた太一達は首を傾げるが、チャックモンが説明してくれたことで一応納得した。

「子供達よ、よくデジタルワールドの未来を救ってくれたっピ!!デジモンを代表して礼を言うっピ!!」

「ところでゴツモンやパンプモンは少しはマシになったのか?」

ブイモンが一応尋ねてみるが、ピッコロモンは嘆くように首を横に振った。

「全然駄目だったっピ。少しでも厳しくしようとするとすぐに音を上げて逃げ出そうとするから全く成長しないっピ。ここまで駄目で根性なしでヘタレでデジモンの恥曝しみたいなのは長生きの私ですら初めてだっピ」

【ああ、やっぱり】

「「酷っ!!俺達もピエモンの戦いの時は活躍したじゃん!!」」

「おめえら隠れながらコソコソ攻撃してただけじゃねえかよ」

渋谷コンビの言葉に対してオーガモンが呆れ果てたように見遣る。

「所詮粗悪な石ころと腐れ南瓜か」

「粗悪な石ころ!?」

「く、腐れ南瓜…」

ブイモンの冷たい言葉は渋谷コンビの繊細(大爆笑)な心を粉砕するくらいの威力であった。

しばらくしてメカノリモンに乗ったゲンナイがやって来た。

「…こうして生身で会うのは初めてじゃな」

「「「ゲンナイさん」」」

ゲンナイも今度こそ世界が救われたからだろう、その感情の読み取りにくい顔にいくらかの嬉しさを滲ませていた。

「大輔、賢。2人で現実世界を守るのは大変じゃったろう。ヒカリもよくこの2人をサポートしてくれた。太一達も本当にご苦労じゃった。アポカリモンを倒したことでお主らの世界も救われたようじゃな…」

ゲンナイは選ばれし子供達の中で最も繋がりのある大輔達に話しかけた後、太一達に声をかけた。

「そう言えばヴァンデモンに荒らされたお台場と田町はどうなるんですか?」

賢に尋ねられたゲンナイは口元に笑みを浮かべながら答えた。

「それに関してはデジタルワールドの再構築と同時にお主らの世界もある程度修復されるはずじゃ」

【再構築?】

「これからデジタルワールドは新しく再構築される。それによって…」

「デジタルワールドの対である現実世界にも影響が出てヴァンデモンによって破壊された現実世界もある程度は戻るわけですか」

「そういうことになるのう。おお、再構築が始まった。まずは全ての始まりの島、ファイル島じゃ」

「本当だ!!」

太一達がファイル島が最初に再構築されたことに喜色を浮かべた。

ダークマスターズが現れてからは昔の見る影もない姿に変貌していたが、その島がまた元通りになっている。

「何れデジタルワールドに存在する島や大陸も再構築される。大規模な部分は少し時間がかかるじゃろうが…」

すると、ファイル島を中心にして光が零れ出し始めた。

「あれは何だ?」

大輔が光を見つめながら呟く。

「この世界と共にデジモン達も復活しているのかもしれない」

「本当!?」

「行こう、みんな!」

「うん!」

子供達は走り出した。

全てのデジモン達の始まりの地に。

「おお~これが始まりの町か」

「そうだよ大輔君」

「俺のいた時代の始まりの町とはエラい違いだ。なあ、ワームモン」

「まあね」

「そうなの?」

「まあな、こんなんじゃなくて普通の村みたいな感じだった」

今と昔の始まりの町のことで語り合うブイモンとパタモン。

始まりの町は、かつてタケルとパタモンが訪れた時のような活気さを取り戻していた。

色とりどりのデジタマに最年少組が駆け出す。

「撫でればいいんだって」

「撫でるって…こうか?」

「最近のデジタマ飼育はみんなこんなんなのか?時間経過で生まれるのを待つだろ」

「これが今の時代のデジタマの世話よ。あんたの時代と違ってデジモンの種類が増えてるもの。時間経過で生まれるのを待ってたらあっという間にデジタマで始まりの町が埋まってしまうわ」

「ふーん」

大輔とヒカリがデジタマを撫でるのを見て、最近のデジタルワールドの常識についていけないブイモンであった。

「あーあ、流行に取り残された奴の気持ちはこんななのか」

「ふん、私達より先にパートナーに会った罰よ」

「何だと白ネズミ?」

「あら?やるの青蛙?」

「…お前とは決着をつけないといけないみたいだな」

「上等よ。デジタルワールド最後の戦いよ!!」

「「どりゃああああ!!」」

「子供の前で喧嘩すんな馬鹿たれ!!」

「「ぶっ!?」」

大輔が近くのボールを拾い上げ、ブイモンにボールを叩きつけ、ボールは反射しテイルモンに叩きついた。

ダブルノックアウト。

生まれた幼年期達は2体の姿に笑い、子供達も久しぶりに大声で笑う。

そしてその後、アンドロモンの提案でみんなで記念に写真撮影をすることになった。

ブイモンとテイルモンは睨み合っていたが大輔が拳骨を叩き付けて強制終了させた。

「子供の前で喧嘩するなって言っただろうが!!」

「「むぐぐ…」」

「は…はは…アンドロモン。こっちはもういいぜ!」

ブイモンとテイルモンの喧嘩が終わったのを確認した太一がアンドロモンに合図をし、カメラを構えるアンドロモンがシャッターを切ろうとした時である。

「…あ!!」

「今、動い…」

大輔とヒカリの持っていたデジタマが動き、全員の視線が集中した瞬間にヒカリの持っていたデジタマからボタモンが、大輔の持っていたデジタマからはチコモンが生まれた。

「…チコモンだ!!でもどうして…」

「デジタルワールドの再構築によって古代種も復活したのかもしれんな。とは言っても全てが同じではないだろうが…何れ古代種達の集落も復活するじゃろうな」

「そっかあ…」

生まれたチコモンはのんびり屋な正確なのかもうぐっすりと寝ていた。

「2匹共可愛いね♪」

「うん」

ボタモンとチコモンを見比べながら大輔とヒカリは微笑んだ。

記念写真の方は上手く撮影できたようだ。

「あーそうじゃ大輔達。少し来てくれんか?お主達と少し話がしたいんじゃ」

「「「「え?」」」」

ゲンナイが指名したのは下級生組で、指名された大輔達は疑問符を浮かべた。

「何だよ、俺達は除け者かよ」

「古代種と古代種の因子を持つ者達に深く関わる話じゃ。」

ブイモン、ワームモン、テイルモン、パタモンは首を傾げるばかりである。

「何だよゲンナイさん」

「今回の件でデジメンタルの有用性を認識し、古代種も復活したこともあって、デジメンタルを再生産することになったんじゃよ」

【ええ!?】

「安易に力を奪い去ってしまったこともアポカリモン誕生に繋がってしまったからのう。デジメンタルが以前のように普及するのは大分かかるが…」

「だろーな」

遥か昔の進化アイテムを復活させるのは絶対に時間がかかるのは間違いない。

「話は終わりじゃ。優先的に復活させなければならんのはメタル属性のデジメンタルじゃのう。ファイル島のファクトリアルタウンだけでは絶対に間に合わんし、デジタルワールド全体の工場エリアの協力を仰がねばならんな」

「メタル属性のデジメンタル…あれを本当に量産出来るのかあ?」

「努力はする」

ブイモンが胡散臭そうに見つめるが、ゲンナイは古代種のアーマー進化の最強のデジメンタルを復活させる気はあるようだ。

取り敢えずみんなの元に戻ることにした。

「あれ?オーガモンは?」

何時の間にかオーガモンの姿が消えていることに大輔は周囲を見遣る。

「オーガモンは旅に出てしまったよ。私達ワクチンやデータとはいたくないと…そして自分も究極体に進化し、対等の条件で私を倒すと言ってね」

大輔達の疑問に答えてくれたのはオーガモンのライバルのレオモンだった。

しかしレオモンの表情もやる気に満ちているのでサーベルレオモンの進化を固定させるために修行を積むのだろう。

「それにしてもやっぱりウィルス種奴らって、どうも苦手ですわ…のわあああ!?」

「僕もウィルスの属性持ちなんだよねー」

ワームモンの糸で雁字搦めにされて地面に落とされたテントモン。

「へ…?わあああ!!えろうすんまへん!!」

「許さないよ、賢ちゃん。究極体に進化させて。しっかりと躾てあげないと」

「のわあああああ!?それだけは勘弁してくんなはれー!!」

完全体までしか進化出来ない自分ではバンチョースティングモンには絶対に勝てない。

テントモンは土下座を繰り返して必死に許しを請う。

「まあ、いつぞやアグモンがスカルグレイモンに暗黒進化した時、間違った進化と言ったことがあったが、あれはお主達の目的から外れるという意味で間違った進化と言ったわけで。進化そのものに正しいも誤りもないのだ。」

バンチョースティングモンに踏まれているテントモンを見遣りながらゲンナイが言う。

因みにテントモンは本当に軽く踏まれてるだけなのでゴキ○リのように中身ははみ出てません。

「ウィルス種ね。よしウィルス種のマグナモンを目指してみるか…名付けてブラックマグナモン……」

【止めて!!】

「じゃあ僕もウィルス種に…ブラックウォーグレイモンとかどうかな?」

【乗っかるな!!】

ブイモンの言葉にアグモンが乗っかったために全員が止めた。

再構築されたデジタルワールドの時間は、ゆっくりと穏やかに流れてゆく。

子供達は、以前初めてデジタルワールドで夜を明かした場所に来ていた。

「懐かしいよね。ここで私達、この世界に来て最初の夜を過ごしたのよね」

「そうなんですか?」

「そうです。ガブモンがガルルモンに進化して、シードラモンと戦ったんですよ」

賢の問いに光子郎が頷いて答えてくれた。

「まあ、色々あったけど最後はめでたしめでたしでよかったよね!僕らも胸を張って元の世界に帰れる!!」

丈の言葉に応える者は誰もいない。

しかし丈は仲間の間に漂う微妙な空気に気付かずに立ち上がった。

「僕達帰ったら英雄かな?取材とかいっぱい来たりして!ねえ、みんなはどう思う?」

この空気の読めなさは一種の才能かもしれない。

一部を除いた面子の空気に気付けないのだから。

仲間を振り返り、そこでようやく丈は気付いた。慌てて口元を押さえて黙り込む。

戦いが終わったら、選ばれし子供達は元の世界に戻らなくてはいけないのだ。

苦楽を共にした相棒と別れなければならない。

「丈…」

「あ、いけない……不味いこと言っちゃったみたい……いやあ、帰ってきてもまた戻って来れば!!」

「丈さん、あんたこっちと向こうの時間差を忘れてませんか?」

大輔がジト目で言うと丈は口を閉じ、ゴマモンは心底呆れたように見遣る。

「丈ー」

「そうだった。戻ってきても駄目なんだ……。この世界と僕達の世界は時間の進み方が違うから、生きて会えるとは限らないんだ……ごめん……」

別に丈のせいではないだろう。

これは最初から決められていたことだ。

「なあ」

ヤマトの声に全員の視線が彼に集中する。

【?】

「夏休みはまだ大分残ってるよな?俺さ、休みが終わるまでこっちの世界に残ろうかと思うんだ」

「ああっ、それいい考えかも!!」

戦いが終わったからと言って今すぐに帰る必要はないだろう。

まだパートナーと一緒にいられることにタケルは表情を輝かせた。

「お兄ちゃんが残るんなら僕も残る!!」

「私も!大輔君!賢君!良いよね?」

「勿論だよ」

「ヒカリちゃんは太一さん達より短いからね、気持ちは分かるよ」

「ヒカリ、何で大輔達に聞いて俺に聞かない?ま、まあ俺も…」

「元気出しなさいお兄ちゃん。私も残るわ、時間はまだたっぷりあるもの」

「うっせえ!!まあ、確かにな…」

太一ではなく大輔と賢に了承を取るヒカリに悲しむ太一に空が慈愛に満ちた目を向ける。

「僕もそうしようかな……」

「私も!!」

次々とヤマトの提案に頷く子供達。

パートナーと少しでも長く一緒にいたいのは、みんな同じだった。

「そうですね。こっちの世界の1日が僕達の世界の1分と考えて、4週間だから……」

「暗算なら僕に任せてくれ!……えーと、40320日………ざっと110年だ!!」

「そんなに!?」

「良いぞ、新しい冒険だ!!」

「よし、出掛けようぜ!冒険の旅に!!」

「賛成!」

「おーい、あれ何だ?」

雰囲気を簡単に粉砕するブイモン。

ブイモンが指差したのは空。

「空?空がどうかしたのかいブイモン?…って、日食じゃないか」

賢が空を見て呟く。

最初は太陽が雲に隠れたのかと思ったが、どうやら日食だったようだ。

その時、子供達にゲンナイがゆっくりと歩み寄ってきた。

「子供達よ、話しておかねばならんことがある」

「話って、良い話?悪い話?」

「恐らく…悪い話じゃ」

問いに対してゲンナイはどこか困ったように口ごもるが断言した。

「ゲンナイさん、あれは単なる日食じゃないんですか?」

尋ねた大輔からすればただの日食にしか見えないがゲンナイ達の様子を見るとどうやらそうではないらしい。

「あの影になっている部分、あれが君達の世界に繋がるゲートなんだ。日食は後2時間で終わる」

「え?本当かそれ?」

「本当じゃ」

大輔の問いにケンタルモンが、ブイモンの問いにゲンナイが答えた。

一瞬だけ言葉を失う子供達だったが、慌ててヤマトが取り繕うように口を開いた。

「何、次にゲートが開くのを待つだけさ」

「そうよ!夏休みは後110年もあるんだもん!!」

「実は、アポカリモンの出現でデジモンワールドとお主達のいた世界の時間の流れが同じになったのじゃ」

「何だって!?」

「そ、それでも残ると言ったら!?」

「ヤマト……」

ヤマトにガブモンが歩み寄る。

その顔には少しばかりの諦めが浮かんでいた。

「この世界がお主達のデータを異物として、消去するかもしれん……」

「勝手ですねデジタルワールドは、人を勝手に呼んでおきながら用無しになったらさっさと帰れですか…酷い話だ」

「キツいのう…まあ、言い訳は出来んな」

賢の言葉にゲンナイは苦笑しか出来ない。

実際そうである。

デジタルワールドの都合で危険な戦いをしてきたのにそれが終わったら帰れである。

「まあ、それならそれで仕方ないよな~よし、冒険は諦めよう」

ブイモンの軽い発言にワームモン以外の全員が非難の視線を向けるが、ブイモンは気にせず振り返る。

「じゃあ、大輔。俺達もそろそろ帰ろうぜ?」

「はあ?」

【へ?】

ブイモンの発言に大輔は勿論、太一達やゲンナイですら唖然としてしまった。

「おい…帰るって、お前どこに?」

「俺の帰る場所は現実世界だろうがよ?」

【はあっ!?】

ブイモンの爆弾発言にワームモン以外は吃驚仰天。

「いかーん!!デジモンは向こうの世界では未知の生命体なんじゃ!!向こうで何かあったらどうするんじゃ!!」

慌ててゲンナイがブイモンの暴挙を止めようとするがブイモンは華麗にスルー。

「君達さ…僕とブイモンが現実世界で4年間も過ごしてたの忘れたの?」

【………ああ!!】

ワームモンの言葉に子供達はブイモンとワームモンが現実世界で何事もなく過ごしていたことを思い出し、子供達は自分達のパートナーを見遣る。

それを見たゲンナイは冷や汗を流し始めた。

何というか嫌な予感が……。

「そうだよね。なら、テイルモンも連れて帰っても大丈夫だよね」

「アグモン、お前もこっち来いよ。そうだよ、俺達が残るのが駄目ならお前が俺達の世界に来ればいいんだ」

「そうだな、確かに何で気付かなかったんだろうな」

「あ…あの…お主達…?」

「パルモンをちゃんとパパ達に自己紹介しないとね!!」

「一緒に暮らせるよパタモン!!」

「僕の家は動物駄目だけどデジモンは除外されるよね?」

「ペットじゃないんだし、大丈夫でしょ?」

デジモン達を現実世界に連れて行く気満々のムードにゲンナイは何としても止めなくてはと口を開くが、ブイモンの方が先に口を開いた。

「ゲンナイさんと言うかデジタルワールドにご褒美要求!!今まで世界のために戦ってきたんだから俺達が現実世界で暮らしてもいいだろー!!」

【いいだろー!!】

パートナーと一緒にいたいのはアグモン達も同じであり、ブイモンと一緒にゲンナイに詰め寄る。

「い、いや、でも…ブイモンとワームモンの場合は事故だから特例で…あまりそういうのはのう…」

「何だよ!!俺達は4年間平穏に過ごせたんだから別に向こうで暮らしてもいいじゃんか!!」

【そうだそうだ!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!ブー!!】

ブイモンの援護射撃に曝されゲンナイはとうとう折れた。

「わ、分かった…」

【いやったー!!】

「しかし、お主等、向こうの世界の病気の耐性がないじゃろ?」

【気合いでどうにかする!!】

「あ、そうか…」

もう諦めの境地に入ったらしくツッコまないゲンナイであった。

これを見たケンタルモンは冷や汗を流しながら呟く。

「思う一念岩をも通す…か」

こうして子供達はデジタルワールドで経験と大輔達の今までの経験話を語らいながらギリギリまで残り、そして現実世界行きの電車に乗り込んだ。

「それじゃあ現実世界に出発!!」

【おー!!】

大輔達とブイモン達を乗せた電車は宙に浮き、そのままゲートに直進した。

窓から見える子供達とデジモン達の笑顔にゲンナイはこれで良かったのかもしれないと思うことにした。

子供達の夏休みの冒険は終わった。

しかしゲートは閉じたままという訳ではない。

何故なら、選ばれし子供達の冒険は…これが最初でもなければ終わりでもないからだ。

デジタルワールドへのゲートはきっとまた開かれる。

デジモン達のことを忘れていなければ…それを望んだ時、心の中に…いや、ひょっとすると…。

そしてアグモン達が現実世界に移住してから数週間後、火田主税は微妙な表情で道場の床に並んでいる布団を見つめていた。

ブイモンとワームモンは氷水にタオルを浸して絞った後、テイルモン達の額に乗せてやった。

慣れない環境に体調を崩してただ今ブイモンとワームモン以外風邪を引いてしまったのである。

「おい、気合いはどうした?」

「無様だね…」

【う…ううん…】

呆れ果てたような表情で看病するブイモン達。

「道場は病院ではないんじゃがな」

「別にいいじゃん、どうせ誰も大して来ないし。」

「うぐっ…」

冷たい言葉に主税は呻き、言い返せない自分が憎いと思った。

一方で、大輔達が現実世界に帰る数時間前に1人の少女の元に大きな卵が現れた。

少女が卵に触れると卵は可愛らしい音を立てて、中身は無邪気な笑顔を浮かべて少女に飛びついた。

今までの悲しみに満ちた人生に救いが与えられた瞬間である。 
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