デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第42話:決着
データの空間から抜け出した子供達とデジモン達はX進化を果たしたマグナモンXを見て、目を見開いていた。
「ヒカリちゃん、みんな!!」
「大輔君!!」
「やあ、お待たせ。しかしエラいことになってるねマグナモン。君はどれだけ出鱈目を起こせば気が済むんだい?まさか例のプログラムかい?」
「ああ、あのプログラムの力でマグナモンが進化したんだ!!」
【進化あ!?】
「…あんさん、究極体から更に進化するなんて反則ですがな」
「文句ならゲンナイの爺さんに言ってくれ。」
驚愕する子供達とアトラーカブテリモンの呆れたような言葉にマグナモンXは鼻を鳴らしながら言う。
今のデジモン達は知らないが、マグナモンと言うデジモンは究極体ではなく正確にはアーマー体なのだが、アーマー体はブイモン等の一部の古代種からすれば成熟期から究極体までひっくるめた世代なのであながち間違ってはいない。
「それにしても随分と変わったねマグナモン」
「SFアニメのロボットみたい」
ホーリーエンジェモンもタケルもマグナモンXの変化に首を傾げる。
比較的シンプルだった鎧がスタイリッシュな形状になっており、兜は刺々しい角パーツが追加され、全体的にSFアニメのロボットみたいになり、アズマグリーンと呼ばれる、発光体のパーツが全身の装甲の各所に存在して水色に発光している。
「何だ…その進化は…それに紋章も無しに進化しただと…?」
「このX進化はお前の生まれた理由と同じ物だ。」
「何だと?」
「生きたい、未来を掴みたいと言う願いと想いがこの力の根源みたいだ。ある意味お前と同じだ。」
「…私と同質の…力…」
「さて、最後の戦いを始める前にお前に言いたいことがある。」
アポカリモンと同質の力を持つ今の自分なら以前より話が通じると思ったマグナモンXは口を開いた。
「悪かったな、お前の気持ちも言い分も尤もだ。俺も古代種だから大輔のパートナーにならなかったらお前のようになっていたかもしれない。でも…」
「…?」
「でも、だからってお前のしたことは許されることじゃない。自分達が不幸だからって周りを不幸にしていいわけない!お前達はアポカリモンとしての形と自我を持った!語りたかった友情も愛も正義も信頼も語る口がある!どうして周りを傷付けた?そうやって周りを不幸にしていくからお前は世界に拒絶されるんだ!!」
「っ…!!」
表情を歪めるアポカリモンにマグナモンXは拳を握り締めながら叫んだ。
「だけどお前の負の連鎖は終わりだ!決着をつけよう。ここで!!」
「……うおあああああ!!」
アポカリモンが叫んだ。
泣きじゃくる子供のように。
全ての触手がキメラモンの形状に変形したかと思うと、全員に向けて放たれた40は超える熱線。
「ライトオーラバリア!!」
マグナモンXだけなら耐えられるが、他の仲間達はそうはいかない。
マグナモンXは即座にバリアを張り、熱線を全て防いでみせた。
「…みんな、先に行け!!」
「よし、行くぞみんな!!」
【おお!!】
体力のことなど考慮していない攻撃をマグナモンXは全て防ぎ、ウォーグレイモン達を先行させる。
「…よし!!大輔、行くぞ!!」
「おう!!」
攻撃が止んだ瞬間に形状変化、増設されたブースターを噴かして進化前とは比較にならないスピードでウォーグレイモン達を追い掛けた。
「大輔、マグナモン!!」
「大輔君!!君達はアポカリモン本体を!!」
「触手はお姉さん達が何とかするからウォーグレイモン達を追い掛けて!!」
「ミミ…お姉さんって…」
「あら?私、大輔君より年上よ?」
リリモンが微妙な表情を浮かべるがミミは気にしない。
マグナモンXに迫る触手だが、マグナモンXが破壊する前にホーリーエンジェモンとエンジェウーモンが立ちはだかり、触手を破壊した。
「お前ら…」
「無念に囚われた太古の存在達の魂を救済出来るのは君だけだ」
「キッチリと決着をつけてきなさい。あんたの同胞でしょうが」
「サンキュー、現実世界に帰ったら取って置きの奴を奢ってやる。タケルとヒカリにもな」
「「楽しみにしてる!!」」
触手をエンジェウーモン達に任せてマグナモンXは突き進む。
「空さん!!光子郎さん!!」
アポカリモン付近の触手を相手取っていたガルダモンとアトラーカブテリモン。
「大輔君、マグナモン。私達のことは気にしないで太一達とウォーグレイモン達を追い掛けて!!」
「触手の相手なら完全体でも充分出来ます。君は君のすべきことをして下さい!!」
「全てを終わらせて!!」
「しっかりと決めなはれ!!ホーンバスター!!」
「…ああ!!」
アトラーカブテリモンが前方の触手を破壊し、道を作ってくれた。
触手が放ったミサイルもガルダモンが迎撃する。
マグナモンXはアポカリモン本体に接近するウォーグレイモン達と合流。
「よし、全員揃ったな!!」
「後は全力を奴に叩き込むんだ!!」
「チェックメイトだ、アポカリモン!!」
「お前を優しい世界に連れてってやるよ!!」
【行けー!!】
太一、ヤマト、賢、大輔が鋭くアポカリモンを見据え、触手を相手取る後方の仲間達から促される。
「コキュートスブレス!!」
「ガイアフォース!!」
「爆雷天!!」
「ミラクルグリッター!!」
メタルガルルモンの絶対零度ブレス。
ウォーグレイモンの灼熱のエネルギー弾。
バンチョースティングモンの無数の機雷虫。
マグナモンXの聖なる光。
これら全てがアポカリモンに炸裂した。
「ぐあああああああ!!」
全ての攻撃をまともに受けたアポカリモンの苦痛の叫び声が響き渡る。
【やった!!】
マグナモンX以外は喜色を浮かべたがマグナモンXは更に追撃の体勢に入った。
古代種の生への執着の凄まじさは自分自身が良く分かっている。
残ったのは、今までのキューブと比べれば遥かに小さな黒の塊だけだったが確かに感じた。
アポカリモンの生命の息吹を。
「アポカリモン…」
「私は…我々は滅びるが…しかし、ただでは滅びんぞ!貴様らを、この世界を巻き添えにしてくれる!!」
「させない、お前らをこれ以上苦しめたりなんかさせない」
マグナモンXの鎧が黄金に輝き、デジメンタルのエネルギーを極限まで引き出していく。
「俺に集まれ、聖なる力!!」
太一達のデジヴァイスから聖なるエネルギーがマグナモンXに向けて放たれ、仲間達が成長期に退化する。
マグナモンXの黄金の輝きが更に激しくなる。
「ぬうう!!仲間の力をいくらかき集めようと我々のこの一撃に耐えられるものか!!見るがいい、究極の必殺技!グランデス・ビッグバン!!」
「エクストリーム・ジハード!!!」
両者が凄まじいエネルギーを放出した。
アポカリモンの自爆エネルギーはマグナモンXの聖なるエネルギーに飲み込まれ、崩壊寸前のアポカリモンすら飲み込んでしまった。
「………ん?」
マグナモンXは光の奔流が収まる寸前に視界に映った球体を見て、目を見開いた後…微笑った。
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