デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第37話:ピエモン
前書き
あのデジモンアドベンチャー伝説のキャットファイトは飛ばさせてもらいます
ムゲンドラモンが倒された事により、街のエリアにて強制労働させられていたヌメモン達は解放された。
ヌメモン達は何度も恩人である大輔とヒカリに頭を下げて、お礼を言うと新たなる自分達の住処を探す旅へと向かっていった。
「ヌメモン達、生き残れるかな?」
「生き残れるに決まってるさ。後はあいつをやっつければいいだけだからさ」
ヒカリを安心させるように言うと、大輔達はピエモンのいる頂上に向かう。
頂上に向かうとレディーデビモンと遭遇、エンジェウーモンとデジタルワールド史上最大の激闘を繰り広げた。
女性陣は怖いわ、男性陣は恐怖で震えているわで戦いは混沌の極みと化したがエンジェウーモンの勝利で幕を閉じた。
「ピ、ピエモン様あああああ!!」
「やったわ!!」
「色々すっ飛ばし過ぎじゃないか?」
レディーデビモンが消滅したことにガッツポーズを取るヒカリを含めた女性陣。
男性陣は離れた場所でただそれを見ることしか出来なかった。
唯一ブイモンだけがツッコむことが出来た。
「まあ、色々気になることがあるけど…さあて、来たな…ピエモン…」
ブイモンがやってくるピエモンが視界に入ると表情を引き締めた。
「さて、どうする?何なら俺から先に行っても構わないけど」
「いや、ここは俺とヤマトが先に行く。お前達は見ていてくれ」
「太一?」
ブイモンとワームモンを見つめながら言う太一。
どうやら何か考えがあるようだ。
「お前達が最後の砦なんだ。何せあいつはとんでもなく強い。俺達の戦いを見てあいつの戦い方を覚えてくれ、俺達だけで倒せるならそれでもいいさ。でも負けた場合は…」
「俺とワームモンが戦うしかないもんな。」
「そう言うことだ。情けないけど、俺達の中で一番強いのはお前達だ。だからギリギリまで戦いを見て、エネルギーを温存しといてくれ。ヤマト、付き合ってくれ」
「…仕方ないな」
苦笑しているが、その目には決意が宿っており、ヤマトもデジヴァイスを握り締めた。
「悪いな、よし行くぞアグモン!!」
「うん、行くよ太一!!」
「ガブモン、頼む!!」
「おう!!」
アグモンとガブモンが同時に飛び出した。
「アグモンワープ進化、ウォーグレイモン!!」
「ガブモンワープ進化、メタルガルルモン!!」
究極体2体がピエモンと対峙する。
ピエモンは余裕の笑みを浮かべたまま2体を見つめる。
「ふむ、あの時よりはそこそこ成長したようですねえ。結構結構。少しはマシなバトルを期待出来そうです」
余裕綽々な様子に思わず表情を歪める太一とヤマト。
ピエモンの実力なら、こちらに気付かせることなく奇襲も可能なはずなのに敢えてそれを行わずに堂々と子供達の前に現れる辺り、やはり何を考えているのか分からないデジモンであった。
奇襲などせずとも戦って勝てる自信があるのか?
究極体を4体と戦わねばならぬ状況でもそれを覆す切り札があるのか?
全く持って底知れない。
「「…………」」
「さあ、何処からでも、好きなタイミングで掛かって来なさい。何しろあなた方の後にはロイヤルナイツとバンチョーと言うメインディッシュとデザートがあるわけですからね。前菜は早めに頂いておきたいのですよ」
「前菜か…」
「前菜かどうか、試して見ろ!!」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンが同時にピエモンに向かって飛び出す。
「ドラモンキラー!!」
両腕のドラモンキラーを連続で突き出すウォーグレイモンに対してピエモンは涼しい表情でそれを最低限の動きでかわしていく。
「その武器は竜系の因子を持つムゲンドラモンだからこそ有効だった。竜系因子を持たぬ私にはただの鈍(なまくら)です」
指先でウォーグレイモンのドラモンキラーを受け止めるピエモン。
「くっ!!」
「下がれ!!グレイスクロスフリーザー!!」
メタルガルルモンは全身からミサイルを発射し、ピエモンを狙うが。
「ほほう、質より量ですか。しかし残念。当たりませんよ」
ミサイルをかわし、時にはテレポートを使用してかわされてしまい、無数のミサイルも無意味に終わる。
「おや、もう終わりですか?」
「まだだ!!」
ウォーグレイモンが一気に距離を詰めて蹴りを繰り出してピエモンを吹き飛ばす。
吹き飛ばされたピエモンは背中から岩場へと叩きつけられ、砂埃が舞う。
「やったか!?」
太一はウォーグレイモンがピエモンにダメージを与えられたかと思ったら。
「フフフフフ…選ばれし子供の力とはこんな子供騙しなのか?」
砂埃が晴れたそこには掠り傷すら負っていないピエモンの姿があった。
「何!?」
「期待が外れたな…やはり骨のある相手はロイヤルナイツとバンチョーだけとは…」
「強くなったウォーグレイモンとメタルガルルモンの2体掛かりなのに…」
「あいつも…強くなってる…」
一度ピエモンと戦っているブイモンはピエモンが最初に戦った時より強くなっていることに気付く。
「ガイアフォース!!」
ウォーグレイモンは通常より小型にして威力と速度を向上させたエネルギー弾を放つ。
それをピエモンは軽々と跳躍してかわした。
「うおおおお!!」
そこを狙ったメタルガルルモンがピエモンに飛びかかる。
「おや、いけませんね。凶暴な犬は鎖に繋がなければね!!」
手に鎖を出現させ、メタルガルルモンの首に巻き付けると一気に地面に叩き付ける。
「あぐっ!?」
「ふむ、強くなり過ぎてしまいましたか。どうやら念を入れすぎてしまったようですね。これではいくら手加減しようが意味がない。」
「お、お前。何をしたんだ?最初の戦いの時よりも…」
太一が初戦の時よりも強くなった2体がかりであるにも関わらず、攻撃をまともに当てることさえ出来ないことに流石に違和感を感じたようだ。
「私達はある存在によって生じた暗黒のパワーを吸収し、強くなった。それと同じことをしただけです。いくら強くなろうと“ピエモン”の私では限界がある。所詮“ピエモン”もロイヤルナイツやバンチョー、三大天使や四大竜と言った伝説級のデジモンに比べれば下位クラスの究極体。ならば…存在を高めればいい。」
「高める…?」
「ふふふ…あなた方2体をこのままデータの塵にするのは容易い。しかし折角来てくださったのにそれでは失礼ですからねえ。特別にお見せしましょう。私の更なる進化を!!」
ピエモンが黒い輝きに包み込まれた。
ウォーグレイモンとメタルガルルモンは今しか攻撃を当てるチャンスはないと分かっているのに動けない。
時間経過と共に増大していく力によって動けないのだ。
「ピエモン進化、カオスピエモン!!」
ピエモンの姿は服の色が変化した以外に大した変化はないが、デジモン達全員の表情を強張らせた。
「服の色が変わっただけで、大して変わってないんじゃ…」
「違う、さっきとは全然違う…」
丈が大して変化していないため、単なるハッタリではないかと思ったのだが、それは他でもないパートナーのゴマモンによって否定された。
「ふふふ…見た目は単なる色違いになってしまいましたが。ただ色が変わっただけではないのは流石に分かっているようですね。」
「くっ!!」
「では、お見せしましょう。私の真の力…カオスピエモンの力を!!トランプソード!!」
流れるような動きで短剣を抜き取ると投擲する。
ウォーグレイモンとメタルガルルモンは咄嗟に防御しようとするが。
「ぐあっ!?」
「うぐっ!?」
短剣の移動速度が速すぎてウォーグレイモン達の防御が間に合わないのだ。
「ほらほら、もっと早く動かなければ串刺しになりますよ?」
嘲笑いながら剣の数を増やしていき、ウォーグレイモンとメタルガルルモンの装甲に傷をつけていく。
「剣の移動スピードが速すぎる…」
「センサーでも負いきれない…」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンが重なるダメージによって崩れ落ちる。
「おや、もう終わりですか?では、主賓をこれ以上待たせるのも失礼なのでとどめを刺させてもらいますよ。エンディングスナイプ!!」
放たれた一撃は確実にウォーグレイモンとメタルガルルモンを葬るためのもの。
まともに当たれば2体はデータ粒子となって消え去るだろう。
「デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、マグナモン!!」
ブイモンがマグナモンにアーマー進化し、間に入ると攻撃を防いでくれた。
「「マグナモン!!」」
「交代だ。ワームモン、万が一俺がやられたら後は任せる」
「分かった。」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンを下がらせるとカオスピエモンに向かってゆっくりと歩み寄る。
「(ロイヤルナイツにバンチョー。ここが私の正念場ですね…ムゲンドラモンに命じて造らせていたあのデジモンの出番も近そうです。)」
カオスピエモンもまたゆっくりとマグナモンに歩み寄る。
ダークマスターズとの最後の戦いが始まろうとしていた。
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