デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第34話:戦争
ヒカリの看病をしていた大輔は温くなった濡れタオルを洗面器の水に浸して絞り、再び額に乗せた。
「看病に慣れてるわね大輔君?」
テキパキと看病をする大輔に空とミミは時折、温くなった水を変えるくらいしか仕事がない。
伊達に本宮家の主夫の座は持っていないようだ。
「うちの姉ちゃんの世話してれば自然に身に付きますよ空さん」
「お姉さんが大輔君のお世話するんじゃなくて?」
「それはない」
ミミの問いにブイモンがきっぱりと言い切った次の瞬間、屋敷が…否、エリア全体が揺れた。
「ん?何だ?地震…」
「なわけないでしょ!!外見なさい外を!!」
「ん?何!?」
テイルモンが指差した方向をブイモンが見遣るとメカノリモンとタンクモンとメガドラモン、ギガドラモンの軍団がいた。
「まさかここは…」
「多分敵の軍団の本拠地かその近くだったのよ!!」
「なる程、うん。よし、大輔。行こうぜ」
「ブイモン…あんたどこに行く気?」
「ちょっとあいつらを退かしてくる」
このままではヒカリが安眠出来ないと判断したブイモンは指の間接を鳴らしながら飛び出そうとする。
「私達に何か手伝えない?」
「いいよお前弱いから」
「ガーン!?」
パルモンが何か手伝えることはないかと尋ねるのだが、弱いからと言う理由で一蹴した。
「私達はヒカリを連れて避難させてもらうわ」
「ああ、ヒカリちゃんを頼むぜテイルモン」
「太一達は大丈夫かしら?」
「大丈夫よ、太一達もそれなりにタフだし。そう易々とくたばらないわよ」
「酷いわね」
苦笑した空にヒカリをおぶらせ、自分達は安全な場所に避難する。
ブイモンと大輔は屋敷から飛び出してデジヴァイスをブイモンに翳した。
「デジメンタルアップ!!」
「ブイモンアーマー進化、マグナモン!!」
黄金の輝きを纏って現れるマグナモン。その輝きに気付いた軍団がマグナモンに迫る。
「さあ、来い。ヒカリ達には指一本触れさせないぞ…シャイニングゴールド…」
マグナモンの周囲の空間が急速圧縮されていき。
「…ソーラーストーム!!!」
瞬間膨張された瞬間、接近していたデジモン達が一瞬で消し飛ぶ。
戦いが始まった。
「マグナムキック!!」
強烈な蹴りがメカノリモンに炸裂し、喰らったメカノリモンはメガドラモンとギガドラモンを巻き込んで吹き飛んでいく。
「くたばれ!!」
野球のボールのように投擲されたプラズマ弾が吹き飛ばしたメカノリモン達にぶつけ、粉砕した。
物陰に隠れていたタンクモン達が死角から攻撃を仕掛ける。
【ハイパーキャノン!!】
数えるのも馬鹿らしいと思えるくらいのミサイルがマグナモンに直撃する。
メカノリモンやメガドラモン、ギガドラモンもそれに続き、絶え間ない凄まじい攻撃である。
普通のデジモンならこれでデータ粒子となっているのだろうが…。
「…それで終わりか?次はこっちの番だ…!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!」
ダメージを受けていないマグナモンは再び必殺技を繰り出した。
放たれたレーザー光は周辺のデジモンを一掃する。
「サンダークラウド!!」
天に雷雲を呼び出し、無数の雷撃を降り注がせる。
金属の体である彼らに雷は吸い込まれるように炸裂していく。
そしてマグナモン達から多少離れた場所では。
「爆雷天!!」
バンチョースティングモンが無数の機雷虫を召喚し、1匹1匹が迫りくるデジモン達を爆破していく。
ヴァンデモンのナイトレイドと言い、やはり自意識を持つ技は便利だ。
「すみません!まさか敵が僕がアクセスした信号で居場所を突き止めていたなんて…」
光子郎がパソコンを使いアクセスしている行為が敵に自分達の居場所を教えているのだと気がついたのだ。
「仕方ないだろ!俺達もまさかこうなるとは思わなかったし、今はみんなと合流するんだ!!」
「ヒカリ…ヒカリは大丈夫なのか…!?」
「ブイモン達がいるんだから大丈夫だ!!マグナモンがいれば簡単にやられたりしない!!」
太一が焦っているのを見て、ヤマトは必死に自分にも言い聞かせるように叫んだ。
「途中に凄まじいエネルギーを感じた…マグナモンも戦っているんだ。」
両腕のドリルで敵を穿ちながら合流するために急ぐバンチョースティングモン。
「だああああ!!いい加減しつこいんだよお前ら!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!」
キレ気味に放たれたレーザー光がメガドラモンとギガドラモンを消し飛ばす。
実力はこちらが圧倒的に上なわけだが如何せん数が多すぎる。
ある意味倒せばあっさり終わるメタルシードラモンやメタルエテモンより厄介だ。
「こうなったら…エクストリーム・ジハードでこのエリアごと全て吹き飛ばして…いや、それだと太一達も巻き添えを喰らうか…」
マグナモンの最強技であるエクストリーム・ジハードは自身にも相当な負担を与えるが、それに相応しい破壊力を誇る。
それを使えばこの街のエリアを吹き飛ばすことは可能だが、街にいる太一達も巻き添えを喰らう。
「プラズマシュート!!」
ミサイルとプラズマ弾の一斉掃射。
プラズマ弾はタンクモン達を、誘導ミサイルはメカノリモンを粉砕するが、メカノリモンやタンクモンは小柄であることを利用して建物内や物陰に隠れる。
「……っ!!ええい、何処までもムカつく奴らだああああ!!ミラクルグリッター!!」
アーマーから直接放射される灼熱の光が建物内や物陰に隠れている敵を吹き飛ばす。
実力差の前に数は意味がないと思い知らせるような戦いだが、しかしこの時のマグナモンは冷静になって考えるべきだった。
このマシーン型やサイボーグ型のデジモン達から察するにムゲンドラモンの部下であることを。
そしてムゲンドラモンが何故こんな無駄死にさせるような物量作戦をしているのかを。
「こいつで最後だ!!」
メガドラモンの胸をぶち抜いて最後の1体を粉砕した。
「ふう…」
深い溜め息を吐いたマグナモン。
遠くから強い力を感じたが、悪意を感じなかったので味方と判断した。
向こうからやって来たのはバンチョースティングモン達だった。
バンチョースティングモンも賢達を守りながら来たのか相当疲弊している。
すぐにワームモンに退化してしまった。
「お疲れ」
「うん、まさかムゲンドラモンの軍団がいる所に来ていたとはね。でも…」
「ああ、ここまで派手にやったんだ…そう簡単に次の攻撃は…」
「それはどうかな?」
低い声が近くから聞こえて振り返ると、そこにはムゲンドラモンがいた。
「ようやく大将のお出ましか」
「少々焦ったが…これでお前達は終わりだ…」
「俺達に勝てると思うのか?」
「今のお前達ならばな」
「ふざけるな!!疲れていてもお前を倒すくらいは出来る!!粉微塵にしてやるぜ!!エクストリーム・ジハー…」
技の発射直前にエネルギー切れを起こしてマグナモンの進化が解除されてしまう。
「やはりな、いくら雑魚だろうとあれだけの数を相手にした後だ。エネルギーが保たないだろう。2体共な」
「お前…」
ブイモンが何故あんな攻撃をした理由に気付き、顔を顰めた。
つまり目的はブイモンとワームモンのエネルギーの枯渇。
「進化出来ないお前達を始末するなど容易い。」
「みんな、逃げろ!!」
ブイモンとワームモンのエネルギーが枯渇している今、まともに奴とやり合うのは危険と判断し、全員は一先ず目の前にあったビルに逃げ込んだ。
しかし、入口が2つあったので、皆は自然と離れ離れとなってしまった。
「∞キャノン!!」
外に居たムゲンドラモンが必殺技を子供達が逃げ込んだビルへ撃ち込み、子供達は瓦礫と共に地下に落ちた。
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