デジモンアドベンチャー Miracle Light
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第31話:メタルエテモン
ホエーモンに頼んでムゲンドラモンのいる街のエリアからかなり離れた陸地に到着。
子供達はホエーモンに礼を言ってムゲンドラモンのいる街のエリアに。
「ヒカリちゃん、疲れてないか?」
「ん、平気だよ?」
「そう、でもあんまり無茶しないでくれよ。風邪また引いちゃうかもだし」
「ありがとう、心配してくれて」
大輔の気遣いにヒカリは笑顔で返す。
「はああ…こういう春色空気…久しぶりだわあ…」
「ミミさん…春色空気って…」
「…………」
「おい、太一。気持ちは分かるけど歯軋りするな大輔を睨むな」
「妹を持つお兄ちゃんは大変ねえ……」
「コホン!!君達、僕達のするこ…」
「ダークマスターズを倒す。ただそれだけです。」
久しぶりのほのぼの空気にほわっとなるミミ。
呆れる光子郎。
悔しそうにする太一。
哀れむヤマトと空。
咳払いして気を取り直そうとして賢に台詞を強引に切られて落ち込む丈。
「話は聞いていましたけど、別にそこまで気を遣わなくてもいいのに。ゲンナイさんから話を聞いて僕達だけでダークマスターズを倒すつもりでしたし。」
「それじゃあ駄目だろ。ホエーモンの中にいる時に俺達が選ばれた理由とか聞いた。だったら俺達も戦わないといけない……第一年下に守られっぱなしってのもな…」
賢は元々自分達だけでダークマスターズと戦うつもりだったのだし別に気にしなくても良かったのにヤマトはホエーモンの体内にいた時に全ての事情を聞いたので尚更戦いを押し付けるわけにはいかないと考えたのだ。
「それにしても遅い掛かって来るの…ウッドモンとか植物みてえなデジモンばっかだな」
「多分ピノッキモンの部下じゃないですか?ピノッキモンが最初にやられたからムゲンドラモンの軍団に入ったんじゃ…」
「なる程、にしては弱い奴ばっかだな。これじゃあ超進化も必要ないぜ」
「ピノッキモンに人望無かったんでしょ」
大輔の呟きに賢がさらりと言い放つ。
実際にピノッキモンには人望などなかったが。
「ナックルファイア!!」
「メガフレイム!!」
「フォックスファイア!!」
「メテオウイング!!」
炎の攻撃が出来る4体がウッドモン達を攻撃し、次々に撃破していく。
やはり植物型デジモンだけあって炎は効果抜群だ。
他にもフローラモンやらマッシュモンもいたが、これらは進化するまでもなくテイルモン達があっさりと片付けた。
「こんなんで強くなれっかな~?」
「まあ、少なくてもやらないよりはマシでしょう。ムゲンドラモンとピエモンはダークマスターズ最強格らしいですから少しでもまともに戦えるようにならないと」
太一の呟きに光子郎は苦笑しながら言う。
「…まあ、いいか…ヒカリちゃん。体調が悪くなったらすぐに大輔か僕に報せるんだよ?出来るだけ君の体調には気を配るつもりだけど」
「大丈夫、心配しないで」
「そんなことを言って見事に風邪を引いたお馬鹿さんは誰だったかな?」
「うう!?」
痛烈な口撃を受けて胸に手を添えるヒカリ。
「ヒカリちゃん、変なとこで頑固だもんなあ」
「うんうん、痩せ我慢して結果的にみんなに迷惑かけてるしな」
「あうう…」
大輔は苦笑しながら、ブイモンは呆れた表情を隠さずにサラリと言い放った。
流石に大輔とブイモンの口撃は効いたのかうなだれるヒカリ。
「おい、ヒカリを苛めるなよ」
「苛めていません。体調管理が出来ていないことを戒めてるだけです。第一こんなことで苛めとか…少し過保護過ぎです」
「何だとお!?」
「あなたがいつまでも甘やかしているからヒカリちゃんはいつまで経ってもお兄さん離れ出来ないんじゃないんですか?」
「こんの…」
「落ち着けよ太一。賢だってヒカリちゃんを思ってのことだろうが」
「そうよ太一。少し頭を冷やしなさい」
賢に詰め寄ろうとする太一をヤマトと空が止めた。
太一も賢の言葉が悪意の物ではないと分かっているからすぐに身を引いた。
「賢、少し言い過ぎだぞお前も」
「僕はただ…」
「分かってるよ、ただ…余所の兄弟には兄弟の事情があるんだよ。な?」
「まあ、そうだね…」
「そう言えば大輔には姉さんがいたんだな?お台場小じゃ見かけなかったかな?」
ヤマトが大輔に尋ねると大輔は首を傾げながら口を開いた。
「あれ?ヤマトさんは小5でしたよね?姉ちゃんはお台場中学の2年だからヤマトさん達がお台場小学校の下級生の時にはいたはずなんですけど…」
「んん~?あ…ああ!確かにいたね。」
思い出したのか丈が手を叩きながら言う。
太一達もどことなく大輔に似ていた先輩のことを思い出したようだ。
「姉ちゃんとは6歳離れてるんです。だから俺がお台場小学校に行く時にはとっくに卒業してて」
「そう、6歳も離れてたんじゃ仕方ないわよね。お姉さんと一緒に登校したりしたかったんじゃない?」
空の問いに大輔は少し悩んでから口を開いた。
「ん~太一さんと一緒に登校してるヒカリちゃんを見てると少しは」
「ねえねえ、大輔君のお姉さんは中学生なのよね?やっぱり大人っぽくてしっかりしてるの?」
「大人っぽい…?」
「しっかり…?」
ミミの問いに微妙な表情を浮かべてしまった大輔とヒカリは悪くない。
ブイモンに至っては眉間の皺が凄くなり、ジュンの部屋を1回見たテイルモンも微妙な表情を浮かべていた。
「え?何だよその微妙な表情は?」
「えっと、姉ちゃんはその…」
「ちょっぴり…だらしない…かな…?」
物凄く言葉をオブラートに包んで発言する2人。
実際大人っぽくてしっかりと言う言葉とは対局の位置にいるジュン。
掃除洗濯家事の類が一切出来ず、少しでも目を離せば部屋が人外魔境と化す。
正直しっかりしてるとは言えないだろう。
「そう言えば私、お姉ちゃんの部屋に近付いちゃったけど…」
「大丈夫、それは俺達も同じだし…多分平気だろ」
「何だい?またやらかしたのかい?」
「「うん、また」」
賢の問いに大輔とヒカリは頷いて賢もまた微妙な表情を浮かべた。
「何だよ?お前らだけで分かったような顔してないで教えろよ!!」
「世の中には知らなくて良いことが沢山あるんだよお兄ちゃん」
「おいヒカリ?何だよそのこの世の全てを悟りきったような顔は?おーい、ヒカリ!?帰ってこーい!!」
悟りを開いたような表情をするヒカリの肩を揺さぶって正気に戻す太一であった。
「と、とにかく…先を急ぐか」
ヤマトがこれ以上この話題をするのは良くないと感じたらしい。このまま先に進もうと促した時。
「ようやく見つけたわよ!!選ばれしボーイ&ガールズ!!」
大輔達からすれば聞き覚えのない。
しかし太一達からすれば充分聞き覚えのある声。
上を見上げると岩山の頂に経っている人影はニヤリと笑うと一気に急降下した。
「とおりゃああああ!!」
【うわああああ!!】
一目散に逃げる子供達。
人影は着地すると何もないはずの空から降り注ぐスポットライトを浴びた。
「お久しぶりねえ、選ばれし子供達」
「お前…エテモンかあ!?何だよその姿!?」
「「「エテモン?誰?」」」
初対面の現実世界組は疑問符を浮かべている。
「エテモンだったのは昔の話。今は生まれ変わって、メタルエテモンになったの!」
「あいつは俺達がまだ向こうに帰る前にいたサーバ大陸で戦ったデジモンで…メタルグレイモンと戦ってブラックホールに吸い込まれたはずなんだ…」
太一が初対面の大輔達にメタルエテモンのエテモン時代のことを簡単に説明する。
「ご説明ありがとう。残りはアチキ自らが説明するわん。聞くも涙~。語るも涙の物語~。」
【(うるさい…)】
「そこのゴーグルボーイのメタルグレイモンとの戦いでブラックホールに吸い込まれた後、地獄の暗黒世界でアチキの体は幾度も破壊と再生を繰り返したのでございます。しかし、アチキは死なずに生き延びた。何故かと申せば、アチキをこんな目に遭わせた選ばれし子供達に復讐するため!アチキは遂にメタルエテモンに生まれ変わってちょっと前に、この世界に戻ってきたのよ~。途中で何かにぶつかった気はするけどね~。とにかくそれは置いといて、全てはあんた達に復讐するためにぃ~お分かり?恨み辛みの復讐のブルース~…ああ!?本当に涙なしでは語れないアチキの感動劇…さあ、あんた達も泣いていいわよ?泣き終わるまでの時間くらいは待ってあげるわぁ~!!って、あら?」
メタルエテモンがそちらに向くと太一達はもう遠く離れていた。
どうやら話を途中で聞き飽きてしまったらしい。
「待っちなさ~い!!」
「チッ、気付きやがったか」
太一が思わず舌打ちしてしまった。
「相変わらず憎たらしいがきんちょ共ね!!リベンジも兼ねてそこら辺躾てあげるわ!!さあ、来なさい!!」
「よし、行くぞみんな!!」
太一が全員に声をかけると全員がパートナーを進化させ、まずはウォーグレイモンが前に出た。
「ふふん、メタルグレイモンより上の進化が出来るようになったのね。でもそれでもアチキの勝利は揺るがないわ!!」
次はメタルガルルモン。
「究極体2体掛かりだろうと…」
更に次はマグナモンとバンチョースティングモン。
「よ、4体ね…」
次は完全体5体とエンジェモン。
「…………」
「さあ、勝負だメタルエテモン!!」
「ちょっと待ちなさいよ!!いくら何でも1対10とか反則じゃない!!」
太一が叫ぶが、あまりの人数差にメタルエテモンが抗議する。
「うっせえ!!お前だってエテモンの時、自分の軍団で襲ってきたじゃねえかよ!!」
「生憎俺達も必死なんだ。悪いけど数で押し切らせてもらうぞ!!」
太一とヤマトが叫んだ瞬間、全員がメタルエテモンに向かっていった。
「ちょ、ストップ!待ってー!!」
…3分後。
「ブレイブトルネード!!」
戦闘のなんやかんやをすっ飛ばしてウォーグレイモンの突進が炸裂した。
「そんな…嘘でしょー!?アチキがこんな簡単に…なんやかんやで…」
「…究極体4体に完全体5体に1体で勝てる訳ないよね」
体に風穴を開けられ、データ粒子と化すメタルエテモンを見遣りながら丈が呟いたのであった。
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