| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第27話:デジタルワールド

 
前書き
デジタルワールドに行きます。 

 
味方の遅すぎる到着にいくらか騒ぎが起きたが、ようやく霧が晴れてきた。

それによって全員が安堵の表情を浮かべたが、次の瞬間にそれは驚愕に変わる。

「な、何だこりゃあ…?」

「これはまた…空に大陸があるなんて…不思議だね」

大輔が驚愕で目を見開き、隣の賢も目を見開きながら空に大陸があることに驚いている。

しばらくしてあれがデジタルワールドだと言うことが分かるのだが、大輔達だけではない。

日本にいる人…否、世界中にいる人々が大輔達と同じように空に浮かぶ大陸…デジタルワールドを見て驚いているに違いない。

しかし、世界中の監視衛星からレーダーにいたる全ての電子機器はデジタルワールドの存在を認識していなかった。

「デジタルワールド…まさか実物をこんな形で見ることになるとはね…」

今まで見たいと思っていたデジタルワールド。

こんな形で見ることになるとは思わなかった。

どうやらこれは世界中で起きているらしいので、ロンドンの病院で暇を持て余しているらしい親友も目撃していることだろう。

そう思うと不謹慎にも笑みを浮かべてしまった。

「おじさん?どうしたの?」

「ああ、すまないねヒカリ君。まさかこんな形でデジタルワールドを見ることになるとは思わなかったよ。…何度も否定されたデジタルワールド。もし君達と会わなければ、俺は別の形で見ることになったか…それとも…いや、考えていても仕方ないな。今はこの状況をどうにかしなくてはね」

次から次へと現れる人々。

その中にはヒカリ達の家族もいた。

「それにしても、あれがチビモン達やハニービーモン達がいた世界?」

「いや、あれはもう俺がいたデジタルワールドじゃないな。あまりにも臭いが違いすぎる」

「だなあ」

チビモンとハニービーモンが否定する。

少なくてもチビモンとハニービーモンがいた時間から何千年も経っているのだから臭いが違うのも当然だ。

「少なくても私が知るデジタルワールドじゃないのも確かだ。」

どうやらプロットモンから見てもプロットモンが知るデジタルワールドとは違うようだ。

「確か、ゲンナイさんが現実世界の1日はデジタルワールドの1年だって言ってたね」

「1年!?ってことは…」

ミノモンの呟きに太一が驚愕し、ヤマトは目を見開きながら口を開いた。

「俺達が現実世界に戻ったのは8月1日の午後1時近くだから…つまり2年近くデジタルワールドを放置してたことになるのか!?」

「まあ、そうなりますね。でもそうしないと僕達合流出来ませんでしたし。仕方ないと思いますよ」

デジタルワールドを気にしすぎていたら少なくても全員合流するのが更に遅れてテイルモンとヒカリが出会うのが更に遅れただろう。

賢はフォローを入れながら空に浮かぶデジタルワールドを見つめる。

「まるでデジタルワールドと俺達の世界が1つになろうとしてるみたいだ」

大輔の呟きに全員が口を閉ざした。

確かにそう見えなくもない。

まるでデジタルワールドと現実世界の境界線が無くなりそうに見える。

「…さて、これからどうする?デジタルワールドに原因がある以上は…」

チビモンの問いに太一が答えた。

「決まってる!!もう一度デジタルワールドに行くんだ!!」

「しかしどうやって行くんですか?此方に戻ってきたような方法があるんですか?」

賢が太一に問う。

確かにどうやって空の上に浮かぶデジタルワールドへ行けばいいのか見当がつかない。

「確実…ってわけじゃねえけど、全員のデジヴァイスの力を使おう。前にデジタルワールドに行った時はデジヴァイスに導かれたんだ。だから今回も…」

「成る程、試してみる価値はありそうですね」

太一が自信なさそうに言う。

今の状況でも行けるのかまでは分からないが、光子郎もやってみる価値はあると思ったらしく太一の案に賛同した。

そして、デジヴァイスを手に持って全員が前に出した。

「頼む!!俺達をもう一度、デジタルワールドに連れて行ってくれ!!」

太一がそう言うと全員のデジヴァイスが光り出し、空に浮かぶデジタルワールドへと導いてくれるゲートが出来た。

「この光に乗ればデジタルワールドへ…」

「ああ、きっと行けるさ」

「タケル!!!」

全員がゲートに入ろうとした時、騒ぎの時にやって来たタケルの母親、奈津子がタケルを呼び止めた。

「折角皆が集まったのにごめんね、ママ…でも、ちょっと行って…」

「駄目よ!!」

タケルが別れの挨拶を言う前に奈津子はタケルがデジタルワールドへ行く事を反対する。

親としては当然の反応だろう。

誰も行ったことのない未知の世界に行くのがよりにもよって自分の息子なのだから。

「行かせてやれよ、奈津子…俺達だって自分達の勝手な都合で散々ヤマトとタケルを振り回してきたんだからな…。」

裕明はタケルとヤマトがデジタルワールドへ行く事を止めることはしなかった。

裕明の言葉を聞き、奈津子は離婚し、タケルを連れ、ヤマトと裕明の元を去った日の事を思い出した。

裕明の言う通り、自分達に2人の仲を裂く権利はなかったのかもしれない。

仲の良かった兄弟を引き裂いて離れ離れにしたのは自分達の勝手な都合だったのだから。

「このままじゃあきっと地球はお終いなんだ!だから俺が…俺達が母さんを守る!!」

「ヤマト…」

息子の成長を目の当たりにした奈津子。

きっと息子をここまで逞しくしたのは未知の世界での出来事。

「頼んだよ、皆。夜が来て、朝が来るのは当たり前だと思ってたけど…今度ばかりは、永遠に夜明けは来ないかも知れないからね…」

丈の兄のシンがそう言うと佳江が抗議する。

「そんな縁起でもないこと言わないで下さい。私はこの子達を信じています!!」

「ああ、いや…僕だってですね」

「大丈夫だよ、兄さん。明日の朝日は、必ず僕達が昇らせてみせる!!」

「おおー、丈先輩格好いいー」

「似合わなーい」

何時もネガティブの丈にしては珍しく前向きな言葉に、空とミミがからかいの言葉を口にする。

落ち込んで肩を落とした丈が、1人先に光の柱の中へと入ってしまう。

「あーあ、何してんだろ丈さんは…」

苦笑しながら大輔は両親と姉に目配せする。

両親とジュンは誇らしげに大輔を見つめながら頷き、大輔は光の中へと入る。

「それでは僕も」

「ええ、賢君も気をつけて」

大輔の両親に挨拶した後、賢も光の中に入った。

「おらあ!!てめえらも行くんだよ!!」

「「嫌だ!!もっと遊ぶ!!」」

「ヴァンデモンがいなくなった途端に調子に乗りやがって!!パラライズスティング!!」

「「あぎゃああああ!!?」」

「あははは…それじゃあ、悠紀夫さん。今までお世話になりました」

「ああ、浩樹には俺から伝えておくよ」

渋谷コンビに毒針を突き刺して強制連行するハニービーモンに苦笑しながらチャックモンは悠紀夫に会釈して光の中に。

デジタルワールドに向かう途中、それぞれの家族からの声が聞こえた。

太一達は自分達を呼ぶ家族の声に応える。

「…………」

それを賢は何も言わずに見つめていた。

「賢…」

賢の胸中を察して大輔が声をかけようとしたが、賢がそれを手で制した。

「いいんだ。あの人達は田町だし、元から期待はしてない。それに君の両親…僕のもう1つの家族に挨拶は出来たし充分だよ」

「…そっか」

「大輔ー!!賢君!!」

「姉ちゃん?」

「ジュンさん?」

「派手に暴れて来なさい!!負けたらタダじゃおかないわよ!!」

ポカンとなったが、大輔と賢は噴き出してしまう。

そしてジュンに笑みを浮かべて頷き、そして仲間達と共に家族に向かって叫んだ。

【行ってきます!!】

選ばれし子供達がデジタルワールドに戻った時、本当の戦いが始まる。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧