| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

銀河魔女伝説シリーズの外伝や各種設定

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

別伝 キルヒアイスとアンネローゼの最後 前編


本編と取りあえずは、関係ない番外編です。

本編と時代背景も世界観も違う、パラレルワールドの話しです。
********************************************
別伝 キルヒアイスとアンネローゼの最後 前編

帝国暦488年10月10日

負け続けで遂にガイエスブルグ要塞前面まで討伐軍に侵攻され、
ヴェスターランドへの核攻撃で、リップシュタット貴族連合が内部瓦解しつつあった、
ガイエスブルグ要塞内で叛乱が発生した。

叛乱の首謀者はヘルマン・フォン・リューネブルク大将で討伐軍司令官シェーンヴァルト元帥に対する個人的な恨みで貴族連合側に参加していたはずであるが、
土壇場で裏切り要塞の主要各所を占領し、貴族の子女を人質にしたのである。

又ブラウンシュヴァイク公も隙を突かれて捕縛された。
その為、貴族連合艦隊司令官ゼークト大将は無謀な突撃を諦め始めていた。

その頃、ヴェスターランド核攻撃を聞いたキルヒアイスは、ブリュンヒルトに向かい、
ラインハルトと口論を行っていたが、ラインハルトは親友に対して暴言を吐き分かれてしまった。
此が終生の別れと成ることも知らずに。

いよいよ貴族連合にとどめを刺そうとしたとき。
【直ちに両軍戦闘を止めよと】通信が入った。
両軍を攻撃可能な中央点に進出してきたのは、

シュワルツ・ランツェンレイターを露払いにした、
銀河帝国皇女艦隊総旗艦クリエムヒルトであった。
旗艦は両軍の戦火を収める様に止まった。
そして、宇宙空間に3D映像でテレーゼの姿が映し出された。
さらに、銀河帝国全土に流されたのである。

テレーゼが今回の内乱において、
既にブラウンシュヴァイク公や主要貴族が捕縛されたことを伝えると。
貴族連合軍は士気が一気に低下していった。
また参加した者は罰するが、家族には累を及ぼさぬと言う事も彼等に矛を収めさせる結果と成った。
このまま戦っても滅亡有るのみと判っていたからである。

しかし面白くないのは、ラインハルトである。
散々苦労して、円形脱毛になって此処まで来たのに、
皇女風情に手柄を横取りされるのである。
苛つくラインハルトの後ろでは、オーベルシュタインがなにやら考え始めていた。

そうこうしているうちに、ヴェスターランド核攻撃についての話が始まった。
撃ったブラウンシュヴァイク公の罪もだが、
それを黙認し自分の権力掌握に使ったラインハルトの罪も声だかに責めたのである。

キルヒアイスもその証拠を見せられ、愕然としていた。
ラインハルト様はお変わりに成られたと。

さらに幼年学校以来の不敬な言動や簒奪の意志をしめした映像が流されのである。
その映像で銀河帝国全土で動揺が起こっていた。
元々平民の間では焦土作戦などをして、評判の悪いラインハルトである。

さらに評判は地に落ちていった。
そして、ラインハルトの旗下艦隊でも動揺が起こっていた。

オーベルシュタインがラインハルトに囁く。
「閣下。このままで居ますと閣下まで粛正されます」
「その様な事」
「いいえ。あの女は本気です、あの目を見れば判ります」

「しかし」
「閣下このまま行けば、グリューネワルト伯爵夫人も害されます」
「馬鹿な姉上は関係無いではないか!」

「閣下が簒奪者として粛正されれば、間違えなく連座でグリューネワルト伯爵夫人も粛正されます」
「姉上」
「閣下、グリューネワルト伯爵夫人をお助けするには、あの女を殺すしか有りません」

「しかし、その様な卑怯なこと」
「閣下、あの女は卑怯にもグリューネワルト伯爵夫人を人質にするに違いありません、
手をこまねいていては、手遅れになります」

「姉上、姉上、姉上」

総旗艦クリエムヒルトが前進してくる。
テレーゼの演説は続く。
「シェーンヴァルト元帥の職を解き、収監する」

いよいよ最後である。
キルヒアイスもラインハルトより、アンネローゼの事を心配で胸が張り裂けそうであった。

「閣下!」
オーベルシュタインが決断を求める。
幽鬼のように立つラインハルト。

決定的な一言をオーベルシュタインが話す。
「御決断頂けないなら、
このまま行くと、グリューネワルト伯爵夫人は恐らく処刑されるでしょう」
自裁ではなく処刑の文字にラインハルトが反応する。

「全艦隊総旗艦クリエムヒルトを攻撃せよ!」
その言葉にほくそ笑むオーベルシュタイン。
各艦で混乱が生じるが、ラインハルト艦隊の内1万隻ほどが砲撃を行う。

いきなり砲撃に銀河帝国全土に驚愕が走る。
次の瞬間、総旗艦クリエムヒルトは爆炎の中にその姿を消し消滅した。
其処の集まった各艦隊、兵達が呆然と始める。

中には泣き出す兵士も多数出ている。
又捕まっている貴族達から、殿下!という嗚咽が聞こえ始めた。
ゼークト大将も怒りを露わにしだした。
「あの金髪の小僧を八つ裂きにしてくれる!」

しかし一番激高するはずのケスラー、ミッターマイヤー、ビッテンフェルトが涼しい顔をしている。
そして、大笑いを始めた。

「ハハハハハ」
気でも狂ったかと思う者が出たが、
次の瞬間、テレーゼが再度現れたことで、疑問が解けていった。

テレーゼ自身ラインハルトよりオーベルシュタインを全く信じていなかった為に、
クリエムヒルトを無人で進行させていたのである。
テレーゼは総旗艦ヴェルザンディに乗っていたのだ。

ラインハルトの叛意を確かめる為に敢えてそうしたのである。
ラインハルト艦隊は5個艦隊75000隻であるが、
益々混乱するラインハルト艦隊。
そのうち何割が叛乱に参加するか全く不明になっしまった。

降伏勧告が出されると、次々に機関を停止して白旗を揚げていく各艦。
アンネローゼの事で、ラインハルトが呆然としてまい、
このままではとオーベルシュタインが後退を命令する。

後退したラインハルト艦隊に対して、
シュワルツ・ランツェンレイターが突撃を開始する。
「進め進め!テレーゼ様を害するような輩は1人残らず俺が地獄へ送ってやる!!」

シュワルツ・ランツェンレイターが凄まじい勢いでラインハルト艦隊を引き裂いていく。
続いてミッターマイヤー艦隊が左翼から圧力を掛け。
ワーレンやルッツやロイエンタール艦隊が右翼から攻撃を仕掛ける。
なんと今まで戦っていた貴族連合軍まで参加許可を受けて、ラインハルト艦隊を攻撃する。

「戦艦ガルガ・ファルムル撃沈、レンネンカンプ提督戦死!」
ブリュンヒルトの艦橋は味方の損害がウナギ登りであると次々に報告が入ってくる。
ラインハルトが呆然と偉している中、
オーベルシュタインが、この役立たずがと思っていた。

このまま逃げるしかないと思ったその瞬間。
「後方より砲撃。グリルパルツァー分艦隊からです!」
味方の裏切りがでたのである。
次の瞬間、ブリュンヒルトの艦橋至近にレールガンが着弾。

ラインハルトを天井から落ちてきた鋭いセラミック片が貫いたのである。
オーベルシュタインも倒れてきた柱に下半身を押しつぶされ半死半生である。

ラインハルトが出血しながらつぶやく。
「夢は夢で終わるのか、俺の力はこの程度のモノだったのか、姉上、キルヒアイス」

オーベルシュタインが彼にしては異様な笑いをあげる。
「ハハハ、ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト、卿は面白いように動いてくれた。
しかし私の見込み違いだったようだな」
そう言ってオーベルシュタインは事切れた。


ラインハルトが最後の力で叫ぶ。
「俺は道化だっのか!、姉上ーー」
その瞬間ブリュンヒルトをケーニヒス・ティーゲルの主砲が貫きラインハルトごと原子の粒に成っていった。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧