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人徳?いいえモフ徳です。

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十四匹め

「よし、風呂入るぞシラヌイ」

「ん。さきいーよ」

「何を言ってる?一緒にはいるんだぞ?」

「うきゅぅ?」


ボーデンに手を引かれてシラヌイは脱衣場に来ていた。

「ボーデン。僕には前世で14まで生きた記憶があるんだ。意味、わかるよね?」

「ん?気にしないが?」

「僕が気にするんだよ…」

「ま、諦めろ」

「しゃーない…家主にはしたがおう」

ボーデンもシラヌイも服を脱ぐ。

「ボーデンって所謂ロリ巨乳だね」

「誰が童顔だ!」

「あ、気にしてるの? 大丈夫、僕のお父さんもっと童顔だから」

「だろうな」

ボーデンは嘗てブライを見た事があった。

身長や体格はかろうじて大人と取れなくはないが、顔つきは幼かった。

「つーかロリ巨乳ってなんだよロリ巨乳って…せめてトランジスタグラマーと言え」

「いや、ボーデンの年って絶対に十代後半から廿代だろうし…」

「……………」

「うゅ?」

ボーデンはガラリと戸を開け、風呂場に足を踏み入れた。

「檜…?」

「よくわかったな」

そこにあったのは檜の大きな湯船だった。

「ボーデン。いい趣味だね」

「だろ?」

ボーデンは風呂椅子を出してシラヌイを座らせた。

「洗ってやるよ」

「ん! 優しくしてくれよ」

「お、おぉぅ!?」

「……………変態」

「へっ、変態じゃねーし‼」

「じゃぁ今何を、いやナニを考えたか言ってごらんボーデンちゃん」

「うるせぇ!」

劣勢に陥ったボーデンは風呂桶に酌んだ湯をシラヌイにぶっかけた。

「ふやぁ!?」

「そら頭洗うぞ」

「ゅうー…」

ボーデンが小瓶から取り出した液体を手に馴染ませ、泡立て始める。

そっと白い手がシラヌイの耳に触れた。

「ひゃぅっ…」

「…………ょし」

ボーデンの十本の指がシラヌイの髪をかき回す。

「すげぇ…お前の髪サラッサラだなシラヌイ」

「ゅ!」

「何時も自分でやってたのか?」

「お婆様に洗ってもらってたよ」

「おば………タマモ様…?」

「うん」

ボーデンが一瞬静止した。

「嘘だろ……あの九尾がだと…?」

「どうしたのボーデン?」

「お婆様とは仲がいいのか?」

「………………………」

「おっと…聞いてはいけない事だったな」

「ん、ありがと。お婆様は最初から僕の事を知ってたみたい。
それでもお婆様は僕とずっと一緒に居てくれたし、僕が『俺』を思い出した時に、その日の朝に色々教えてくれたよ」

「そうか」

「そう言えば、何時もお婆様と居たなぁ…」

「ああ…成る程。シェルム先生は仕事があるからな…。
ふふ、相談役とお前ならちょうど親子に見えていたことだろうな」

そこでシラヌイは首をかしげた。

「お婆様の見た目は僕より少し大きいくらいの女の子だよ?」

「は?」

シラヌイが振り向いてボーデンと顔を見合わせる。

「タマモ様といえば豊満な肉体に太陽のような金髪と体を覆う程の九つの尾だろ?」

「えぇ…誰それぇ…」

シラヌイの中でのタマモは、テンションの高いモフモフ幼女だ。

「お婆様ってハイテンションモフモフロリババァだよ?」

「………………………………誰だそれは」

二人して首をかしげる。

「えと…お婆様って…」

「少なくともシェルム先生よりはエロい」

ふむ、と考え込むシラヌイ。

「変化………九尾…妖獣…玉藻御前…」

シラヌイがぶつぶつと考え始めた。

「おいシラヌイ。シラヌイ。おーい?」

ボーデンの呼び掛けにも答えず完全な熟考。

「まぁ、いいや。勝手に洗うぞ」

シラヌイの髪を洗っていると、どうしてもその耳に触れてしまう。

わしゃわしゃ……ふにふに……

わしゃわしゃわしゃ…ふにふに…

わしゃわしゃ…ふにふにふに…

ふにふにふにふに…







side in

気づいたらボーデンにおっぱい枕されてた。

「おぉ~水中では尻尾はこうなるのか…」

「ねぇボーデン僕訳がわからないんだけど」

「お前が考え事してる間に頭と体と尻尾を洗って湯船に浸かってるって次第だぞ」

「ふーん」

僕の尻尾が股間を通って目の前でボーデンに弄られている。

「あとでブラッシングしてやるよ」

「ん。よろしく」

「ところで考え事は済んだのか?」

ん?お婆様のこと?

「お婆様の姿は狐の方が本質と考えれば辻褄があうんだ」

「九尾の狐か?」

「うん。白面金毛九尾御前、幾多の国々を滅ぼした狐。お婆様が伝承通りの存在ならその本質は狐であり人の姿は仮初めだ」

「はく…何?」

あ、そっか。

「僕の前世の世界でのおとぎ話。傾国の美女玉藻が国を滅ぼしては追われ、最後には高名なプリーストに倒される話さ」

「ふーん…。そんなおとぎ話がねぇ…」

「僕の前世の世界では、子供でも皆知ってる大妖怪だよ」

「ヨーカイってなんだ?」

「モンスターの事さ。人の形をとる者から異形まで、人に害をなす者から見方するものまで。
まぁ、妖怪は零落した神々って説もあるしね」

「ふーん。お前らの世界って面白いんだな」

「さぁ、どうだろう。僕はいきなり斬り殺されたし、わかんない」

ふわっと、ボーデンに抱き締められていた。

「いや、べつに同情してほしくて言ったんじゃないんだけど」

首筋にふにゅっとした感覚が…

「ああ、お前がそんな器用な奴だとも思えん」

「あのー。そろそろ僕の中の獣が爆発しちゃうから離して」

まぁ、爆発する獣もないんだけどね。

「え?マジで?やべぇシェルム先生に消される…」

母さんは学生時代のボーデンにいったい何をどうしたんだろうか…

「じゃ、そろそろ上がるとするかシラヌイ」

「ん。わかった」

湯船からあがって、脱衣場へ。

支配者のポーズ。からの…

「クリエイトウィンド」

創り出した竜巻を纏い、水をおとす。

「ふぅ」

「魔法の無駄遣いするな」

「えー? 魔法は生活に役立ててこそでしょ」

するとボーデンが頭を抱えた。

「そうだけどっ…そうなんだけども…!」

体を拭いたボーデンは下着姿のまま僕を抱えてリビングに行き、ソファーに座った。

「ほら、ブラッシングしてやるよ。さっきあんな適当したから尻尾ボサボサだぞ」

あ、本当だ。

膝の上に腹這いになると、ボーデンが尻尾をとかしてくれた。

「ふみゅぅ~」

悔しい!でも感じちゃうっ(笑)。

「きもちいなら、そのまま寝てていいぞ」

「ぅゆー」

じゃ、お休みなさい。ボーデン。

 
 

 
後書き
本日学期末球技大会…なぜが先生がダイオウグソクムシのぬいぐるみをだいている… 
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