空に星が輝く様に
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207部分:第十五話 抱いた疑惑その十一
第十五話 抱いた疑惑その十一
「だから競技に出てな」
「まあ健闘はしないとね」
「うちのクラスは文科系が多いから」
こう言う椎名も天文部である。
「だから優勝は多分無理」
「やっぱりそうか」
「それは無理なのね」
「うん、けれど参加競技の割り当ては考えておくから」
それはだというのだ。
「任せておいて」
「相変わらずの名軍師だな」
陽太郎はその彼女に対して述べた。
「何でもわかってるんだな」
「調べてるから」
だからだというのだ。
「適材適所でいくわ」
「何か本当に軍師だな」
陽太郎はそれを聞いてまた言った。
「椎名がいたらうちのクラスは大丈夫か」
「そうだよな。何か何でもやれそうだな」
「そうよね、確かに」
狭山と津島がここでまた頷いた。
「運動会も仕切ってくれて文化祭でも」
「やっぱり考えてるのね」
「文化祭は今考えはじめたから」
陽太郎の話からというのは言うまでもなかった。
「けれど面白そう」
「ああ、椎名さんが考えたらね」
赤瀬も言ってきた。
「もうそれだけで百人力だから」
「それってあれだよな」
「あれって?」
「太公望みたいだな」
陽太郎は赤瀬に対してこの伝説の軍師の名前を出してきた。
「封神演義のさ」
「そこで諸葛孔明じゃないんだね」
「最近何かな」
赤瀬の今の問いには首を傾げさせたのだった。
「その名前を出すとな」
「何かあるの?」
「白いスーツを着たおっさんとかはわわとか言う女の子思い出すんだよな」
「それが孔明?」
「最近の漫画とかアニメじゃそうなってるんだよな」
三国志から様々な作品が出ている。その中には孔明がそうしてスーツを着ていたり女の子になっていたりするのである。本当に作品によりけりだ。
「凄いことにな」
「女の子ねえ」
「小柄でブロンドのショートヘアのな」
外見についても話す。
「紫のドレスみたいなフリフリの服着てな」
「それが孔明?」
「俺も最初見た時びっくりしたさ」
陽太郎は腕を組んで述べている。
「アニメで観たんだよ」
「アニメならいい」
椎名が不意にこんなことを言ってきた。
「アニメなら」
「アニメならって?」
「原作がある」
こう話すのだった。
「だから」
「原作?何だそりゃ」
「知らなかったらいい」
ここでは多くを話そうとしない椎名だった。
「それで」
「それで?」
「それでなの?」
狭山と津島にも今の言葉はよくわからない話だった。
「何なんだ?それで」
「原作って漫画?」
「そうじゃないかな」
赤瀬もそれではないかと述べる。
「やっぱり」
「そうだよな、やっぱり」
「それか小説よね」
「漫画や小説にもなっているけれど原作じゃない」
椎名は三人にも言った。
「また違う」
「じゃあ本当に原作は何なんだよ」
「知ったらびっくりする」
やはりこう言うだけだった。
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