異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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告白?
どこかで聞いたことのある少女の声。
俺は彼女が誰なのかをとてもよく知っていた。
「ミシェル! ……俺はお前に対して色々と思う所があるんだが」
「何? 久しぶりに会ったのに冷たいわね~」
といったようにあまり気にしていないように彼女、ミシェルは言う。
相変わらず元気そうな様子で俺は、その点は良かったと思う。
だが俺はというと、あることが気になっていた。
それはミシェルが飛び出してきた方向である。
俺たちの様子をその場所で見ていたとしか思えない。
気配を消し、俺の“索敵”を退け……ではなく跳ね返したその人物がミシェル。
ちょうどこの城に潜入していたらしい。
だが俺の今までの知っている行動パターンだと、
「なんで城に穴が開いていないんだ? 面倒くさいからって、ミシェルなら城に穴をあけていそうだが」
「だって、ソウタがいないし」
「え?」
「サポートしてくれる人がいないなら、慎重になるわよ。ボクだって」
ミシェルが何を言っているの? というかのように俺に言ってくる。
だがそれはつまり、
「俺がいるから無茶をしていたと?」
「うん」
「なんで?」
「信頼できるからよ。それに“恋人”なんだからいいじゃない」
「……誰が?」
「ソウタが」
短い会話をした俺はしばし考え込む。
俺とミシェルはいつ恋人同士になったのか。
記憶をさかのぼってみるも思い当たる節はない。
そこでミシェルが、
「薄情だよ~。最後の戦いのときに、『ボクのこと好き?』『なんなんだ突然。好きだよ!』って答えたじゃない」
そう言われて俺は、確かに戦闘時に言われた記憶はあるが……あれは、
「愛の告白とかそういった雰囲気のものじゃないだろう!?」
「ボクは愛の告白のつもりだったのにね~。まあいいや、再会もできたことだし」
「そうかそうか、じゃあ後はよろしく。あの程度のラスボスはミシェル一人で十分だろう?」
「周りへの被害がそこそこ出てもいいならいいよ?」
ミシェルがそう言った。
そこで俺は腕の部分の服を引っ張られて、そちらを見るとエイダが、
「できる限り壊さないで。予算が……」
「……はい」
切実なその声に俺は気おされて頷いてしまった。
そしてハデスやレオノーラもサポートを手伝ってくれるらしい。
仕方がないから久しぶりにミシェルと一緒に戦うかと俺は思って、円柱の柄のようなものを取り出した。
それをミシェルは見て、
「その武器、ソウタはすきだよね」
「切れ味のいい剣はお気に入りなんだ」
そう返して、ちょうどこちらに飛んできた、大きな牙をはやした犬のような魔物を切り裂く。
飛んできた方向を見ると、ガルツが怒り心頭といったような顔でこちらを見て、
「この私を無視しておしゃべりとは、随分と余裕があるのだな」
「あ、ごめんね~」
「さすがは脳筋美少女魔法剣士のミシェル、だがその余裕は命取りだと知れ、小娘が。あの時の恨みを晴らしてやる!」
そう息巻くガルツだが、そこでミシェルが、
「どちら様でしょうか。ボク記憶にないのですが?」
「……寄ってたかってこの私をバカにして……しねぇえええええ」
ガルツがそう言って大量の魔物を呼び出す。
先ほどの風の刃の攻撃以外で、ここに設置した怪物は動かす予定がないらしい。
それは大きな級の形をしていて俺は今まで見たことがなかった。
まだ動かさないのはどういった意図があるのかと俺は思うが、
「まずは目の前の敵を倒さないといけないのか」
そう呟き、魔物をまた一匹倒したのだった。
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