異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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追跡中
こうして親衛隊の人達の援護もあって大量の雑魚と“闇ギルド”の人物たちはお任せすることになった。
もちろんラスボスを追いかけるさいに軽くダメージを与えながらその場を去る。
それから“索敵”を使って先ほどのガルツを追跡しておいた。
ただ途中一か所に“索敵”をしたところはじかれるのを感じる。
魔力を弾くような魔道具があるのかもしれない。
強力な魔道具であるのは確かだが、エントランス周辺に堂々と置いてあるものなのか?
後で気を付けておこう、何かの罠があるかもしれないし。
それに俺の今向かっている場所の通り道ではそこは通らないはずだった。
そもそも今向かっているのは“窓の外”だ。
すでに一階のあたりは水びたしになっているものの、水はひいている。
あのガルツはすぐにこちらに来たのを考えると、あまり驚かせる効果はなかったようだ……と思って一階あたりの窓に張り付くと、そこで、
「お前たち! 水があふれたくらいで何を焦っている!」
「で、ですがあんなものは初めてで……水竜様の逆鱗に触れたのでは」
“闇ギルド”の人物が焦ったようにガルツに言うと、
「何が水竜だ! あの程度前の世界では何匹も……それよりも周りの奴らには連絡したか?」
「は、はい、町の中で暴れるように手配をしたはず……です」
「だが、爆音の一つも聞こえないではないか」
「そ、そんなはずは……あ、連絡……が……」
そこで“闇ギルド”の一人が連絡用装置であるらしい緑色の箱を取り出して、そこから声がした。
『あ~あ~、きこえますか~。こちら、休暇返上の熱い忠誠を王家に誓っている“雷の翼”隊です。城に危機ということで戻ってきましたが、どうやら町の中でやらかしている奴らがいるので処理しています。後ほどそちらに向かいますので、主犯格の人はこれ以上罪を重ねないようにしてください。というわけで首を洗って待っていろ』
といったような大きな声……それも隊長のものがした。
それに“闇ギルド”の人物たちが、
「い“雷の翼”、王国最強の騎士団、そんなものが……しばらく休暇を取るって言っていたのに」
「ふん、そんなものに恐れを抱いてどうする」
「……ガルツ様、貴方にはついていけません。こんな戦い方……え?」
そこで弱音を吐いた“闇ギルド”の一人に、ガルツが面倒そうな表情で剣をふるおうとした。
即座に彼に向かって俺は結界を張る。
ガルツの剣を俺は受け止めて、そこで“闇ギルド”の人物は悲鳴を上げてその場から走り去る。
代わりにガルツは俺の方を見て、
「そこか」
同時に炎の刃がこちらに向かう。
俺はそれを受け止めて、気づかれたからには奇襲はできないかと思いながらガルツに近づく。と、
「“闇ギルド”はお前たちの敵なのに、助けるのか?」
「……人が殺されそうになっていて止める力が俺にあったんだから仕方がないだろう」
「その甘さは命取りになるぞ」
「やさしさと甘さは同じものではないのに、同じだと考えているからお前たちは負けるんだ」
そう言い返すとガルツはいらだったようだった。
だがすぐに何かを思いついたらしく笑い、
「では、こういうのはどうだ?」
そういった声と共に耳障りな音が聞こえた。
風をきるように何かが飛んできて、即座に結界を張る。
風の刃のようだったが……一つ俺は防御し損ねてしまう。
こんな時にミスを……エイダ達に当たる、そう俺が思っていると、
「う~ん、油断しすぎ。体がなまっているんじゃないかな?」
そんな、見知った少女の声が聞こえたのだった。
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