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異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!

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城に潜入

 レオノーラが面白いことを思いついたらしい。
 なんでも城の人間を驚かせるような魔法だそうだ。
 中には“闇ギルド”の人間たちもいるので、驚かせるのは得策だろう。

 そう思いながら俺は周りを見回して、

「……いまだにじっと監視しているようだし、外と内側で連絡を取っているのか? ……折角だから傍受でもしておくか」

 試しにチート能力を使って傍受を試みる。
 よくよく考えればもっと早くに連絡に介入して話を聞いてもよかったのかもしれない。
 どうも俺は平和ボケしている、たった一か月元の世界にいただけなのにと嘆息した。

 そして連絡を読んでみると、

『今城の前に立って何かを話しています』
『そうか、すぐに動きがあったら伝えてくれ。佐志賀に夜に突然城に襲撃は……できるだけの力を持っているが……この世界で、貴奴めは大人しくしているからな。明日様子を見て……』

 といった話をしているのが聞こえた。
 俺は、こいつらも平和ボケしているのか、と俺は思った。
 だから俺は、

「レオノーラ、宣戦布告だ。やってしまおう」
「わかったのじゃ~。さて、この周辺の水脈はこうして……とりゃあああああ」

 そこでレオノーラが何かをやった。
 水流としての能力を使ったらしいということまでは分かったが、同時に地面が小刻みに振動する。

「なんだ!?」

 俺は叫ぶ。
 地鳴りの音がして、同時にごぼごぼと城壁の内側から聞こえる。
 大きな音がしていると俺が思っていると、城壁から水が突如、噴水のように噴出した。

 それを見た俺は、

「え?」
「とりあえずは水があふれたら驚くじゃろう!」

 間の抜けた声を上げると同時に、レオノーラはどや顔だった。
 確かにこれは驚くだろうが……。

「周りに水が行き過ぎて一般人が巻きもまれるのでは」
「あ」
「……ここでストップで。そして城にはあの場所から潜入しよう」

 俺はそう話しながら、頭痛のする頭を押さえつつ走ろうとする。
 そこでエイダが、

「……後で城の掃除をするのが大変ね」

 ぽつりと呟いたのだった。








 感じ取った“闇の魔力”の方を伝って俺たちは宙に飛び上がるように跳躍していくと、そこには木で作られた人形のようなものが立っていた。
 月明かりの中で立つそれを窓越しに確認して俺はすぐに、結界を張った。
 同時に瞬時に炎が俺たちの方に轟音を立てて噴き出してくる。

 前の世界のもこんなタイプの敵がいたからすぐにわかったが、城の室内に存在しているのに容赦なく魔法を放ってきたなと俺は思う。
 そこで、

「私の城に大穴をあけて……最近緊縮財政なのに、よくも……」
「……エイダ、今は緊急事態だから。それにここでは温存してくれ、まだ先も長いし、いざという時に自分の身を守れる魔力はあった方がいい」
「私はそこまで弱くはないわ」
「知っているよ。ただ、油断がすぐに“死”に結びつくことは知っているから……」

 そう俺がエイダを諭そうとしたところで、

「“水の剣”」
「“闇の雷”」

 レオノーラとハデスが楽しそうにそう告げて、目の前に魔法が走り……そこにいた敵は、影も形もなくなってしまったのだった。
 
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