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198部分:ラグナロクの光輝その五十二


ラグナロクの光輝その五十二

「私達の中で機動戦、そして隠密作戦に最も長けているのは私ですから」
「卿が」
「はい。まずシュトルツィング執政官は慎重に戦略と戦術をリンクさせておられます」
「うむ」
「オフターディンゲン公爵は宙形を利用した戦いを」
「確かにな」
「ブラバント司令はオーソドックスなバランスのとれた戦略と戦術を」
「よく見ているな」
「ヴェルズング提督は艦載機を使った戦術を」
「ああ、それが俺の専門だ」
「カレオール博士は智略を」
「私はどうもそちらの方が向いているな」
「ヴァンフリート首領は電撃戦を」
「隠密行動にも一応自信はあるのだがな」
「それぞれの特性を持っておられます。ですが今回の作戦は」
「その特性をとりわけ考慮して」
「考え出した結論だということだな」
「そうです、私は長い間影に隠れて戦ってきました」
 パルジファルは述べる。
「機動力と隠密行動を駆使して。そして帝国軍の艦隊を幾多も破ってきました」
「そういえばそうだったな」
 六人もそれに気付いた。
「卿はいつも突然姿を現わした」
「そして何処へともなく去って行った。私達の誰にも正体を知られることなく」
「それを考えると卿しかいないということか」
「ですからお任せ下さい」
 そのうえであらためて述べた。
「ここは私に」
「よいのだな」
「死地に向かうことで」
「ええ、最初から覚悟は出来ています」
 彼は述べる。
「戦いですから」
「ふむ」
 六人はパルジファルの言葉を聞いて考える顔になった。それから述べた。
「わかった」
「では頼むぞ」
「はい、お任せ下さい」
「では決まりですね」
 ブリュンヒルテが述べた。
「パルジファル総帥は私達と共にビブロストでヴァルハラに入られ」
「そして我々はこのままこのムスッペルスヘイムからか」
「途中までは道は同じです」
「ヴァルハラの前で別れ」
「二手でヴァルハラへ」
 その言葉に。六人は頷いた。
「よし、それでいい」
「では我々はこのまま行く」
「それでは」
 作戦が決まった。連合軍はまずはムスッペルスヘイムからヴァルハラに向かった。そして途中で二手に分かれるのであった。
 パルジファルの軍勢はワルキューレと共にビブロストへ、主力はそのままのルートで。二手になった。パルジファルの軍勢は分かれる時姿を消し隠密行動に入った。
「これでいいですね」
「はい」
 ブリュンヒルテがそれに答える。
「それではこのままビブロストへ」
「お願いします」
 六人がその消えた軍勢を見送る。再会の場はヴァルハラである。そこでの再会を期してそれぞれの道へ向かうのであった。こうして戦いは次の段階へ進んだ。
 パルジファルはそのまま隠密行動をとりビブロストへ向かう。その途中でワルキューレ達に問うた。
「そのビブロストですが」
「はい」
 九人の戦乙女達はグラールに集まっていた。そこで先導にあたっていたのである。
「どの様な道ですか」
「本当に小さな道です」
 ワルキューレ達はまずはこう述べた。
「ヴァルハラを覆うアステロイド帯と磁気嵐の中の」
「そうなのですか」
「通過可能なのは本当に少数の艦隊でして」
「だからこそニーベルングも気付かなかったのです」
「そういう事情があったのですね」
「ええ」
 パルジファルの問いに答えるのだった。
 
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