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174部分:ラグナロクの光輝その二十八


ラグナロクの光輝その二十八

「前方に敵艦隊です」
 偵察隊から報告があがった。
「スルト近辺に展開しております」
「その数は」
「約五十個艦隊。今モニターに現わします」
 モニターのスイッチが入れられる。そしてそこに帝国軍とそれに対する連合軍が三次元で現わされた。
「これです」
「ふむ」
 パルジファルはまずはそのモニターに映る敵軍を見た。そしてあることに気付いた。
「ダメージを受けている艦艇が多いですね」
「先の戦闘の結果だと思われます」
 部下の一人であるティートゥレルが答えた。
「やはりそうですか」
「どうやら工作艦やドッグをフル稼働させたようですがそれでも限度があったようです」
「成程」
「ダメージは回復しきっていません。それでも止むを得なく出撃させているようです」
「それだけスルトを明け渡すわけにはいかないと」
「どうやら。あの惑星はそれだけ重要な場所の様ですね」
「そうですね。こちらの読みはまたしても当たったということです」
 パルジファルの兜の奥の目が強く光った。
「あのスルトに。軍を降下させます」
「はい」
「しかしその前に」
「わかっております」
 やるべきことがあった。
「全軍攻撃態勢に」
「全軍攻撃態勢に」
 命令が復唱された。
「攻撃目標前面の敵」
「攻撃目標前面の敵」
 そしてまた復唱される。連合軍はそれに合せて動く。攻撃態勢に入っていた。
「攻撃用意」
「攻撃用意」
 ダメージを受けたままの敵軍に対しても容赦するところがなかった。帝国軍は先の戦争のダメージのせいか満足に動ける艦艇は少なかった。ここが狙い目であった。
「撃て!」
「撃て!」
 連合軍から攻撃が加えられた。そして傷が癒えぬ帝国軍を打ち据えた。スルトを巡る戦いが今ここにはじまったのであった。
 ここでの戦いはあえなく終わった。連合軍の攻撃を受け戸惑う帝国軍の側面に新たな軍勢が到着したからであった。それは軍勢と言ってよいものかどうかはわからないが明らかに戦士達であった。
「あの戦闘機達は」
「約束通りですね」
 パルジファルはその九機の戦闘機を見て言った。
「敵ですか、それとも」
「御安心下さい、彼女達は味方です」
 いぶかしがる部下達にそう述べる。
「味方」
「そうです、味方です」
「ではあの時の」
「そう、ワルキューレです」 
 そして答えた。
「ワルキューレ」
「あのジュッセルドルフでの」
「そうです。覚えておられるでしょう」
「はい」
「彼女達が。ここに」
「これが運命なのでしょうね」
 パルジファルがまた呟いた。
「彼女達は必ず来ると言いました。そしてここに」
「姿を現わしたと」
「帝国と戦う為に」
「では我等の味方なのでしょうか」
 部下の一人がパルジファルに問うた。
「帝国と戦っているというからには」
「大筋においてはそうでしょう。ですが」
「ですが!?」
 パルジファルはここで付け加えてきた。
「彼女達は。彼女達で動いています」
「といいますと」
「我々とは違うということです。言うならば同盟者です」
「同盟者」
「そうです。ですからその礼を以ってあたりましょう。よいですね」
「わかりました」
「それでは」
「はい」
 これでワルキューレの存在も確認された。九機の戦闘機はそのまま帝国軍へ向かっていく。
 攻撃を開始した。ビーム砲が帝国軍の艦艇を襲う。
「なっ」
 それを見てパルジファルの周りの部下達は皆声をあげてしまった。
 
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