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173部分:ラグナロクの光輝その二十七
ラグナロクの光輝その二十七
モニターに一斉に六人が現われた。彼等もまたこの時を待っていたのである。
「卿の言葉通りになったな」
まずはローエングリンが言った。
「我等は今潮流に乗っている」
「そして奴等はそれに押されちまっている」
続いてタンホイザーとジークムントが。
「これこそが卿の狙いだったというわけだな」
「その通りです」
パルジファルはヴァルターの言葉に応えた。
「それでは打ち合わせ通り宜しいですね」
「うむ」
トリスタンが頷く。
「全軍総攻撃だな。既にその用意は出来ている」
ジークフリートが言った。今こそその好機であった。
「では全軍火力を全面に集中」
「よし」
六人は一斉にそれに頷いた。
「そして一気に」
「勝負を決める」
「後は勢いのまま攻め込みます」
彼は総攻撃の後の攻撃にも言及した。
「それでは」
「全艦砲門及びミサイルランチャーを開け!」
七人が指示を下す。それにより連合軍の全艦の砲門が、ミサイルランチャーが開かれた。帝国軍の攻撃はその間も続けられているが潮流に押されまともなものではなかった。碌に届いてさえいなかったのだ。当たるということすらままならなかった。間合いを取るのさえ満足に出来ないでいたのだ。
それに対して連合軍は完全に頭を抑えていた。その差が如実に現われていた。
「照準合わせ!」
「照準合わせ!」
命令が復唱される。照準も合わせられた。
七人の腕が高々と掲げられる。今その息が完全に合わさっていた。
「撃て!」
七人の攻撃命令が一斉に下された。その右腕が同時に振り下ろされた。そして驚くべき集中攻撃が帝国軍に浴びせられたのであった。
その攻撃は潮流に乗り帝国軍を撃ち据えた。瞬く間に多くの艦艇が炎と化し銀河の中に消えていく。連合軍はその攻撃が終わってすぐに次の攻撃に移っていた。
「よし、次です!」
「うむ!」
六人はパルジファルの声に応えた。
「全速前進!」
「全速前進!」
連合軍はそのまま突っ込む。同時に攻撃を続け満足に動くことすらままならない帝国軍を薙ぎ倒していく。そして接近すると艦載機を繰り出してきた。
これで勝負の流れは決まった。最初の総攻撃と突進しながらの攻撃によりその勢いと数を大きく減らしていた帝国軍は艦載機の攻撃を受け完全に崩壊した。為す術もなく倒されていき遂には壊走に移った。連合軍の追撃をかろうじて振り切り、スルトまで逃れた時にはその数の大半を失ってしまっていた。
「まずはこれでよし、ですね」
「大勝利だな」
「はい」
七人はグラールに集まっていた。とりあえずの戦勝を祝っていた。
だが戦いは終わりではない。戦いに勝利したとはいえ帝国軍はまだスルトにおりその予備兵力を含めるとまだ侮り難い戦力を持っている。彼等もそれはよくわかっていた。
「しかしもう一度戦わなければならないな」
トリスタンがまず口を開いた。
「帝国軍はスルトに逃れている」
次にジークフリートが。
「かなりの兵力を減らしたとはいえその兵力はまだ我々の兵力に匹敵する」
そしてタンホイザーが。
「また大きな戦いがある。今度はどうするかだ」
「そうだな。また。大きな戦いになるな」
五人はローエングリンの言葉に頷きパルジファルに目を向けた。
「まずはもう一度戦えるだけの燃料弾薬はある」
ヴァルターが言った。
「それはな。そしてスルトまでもいけるぜ」
「はい」
パルジファルはまずはジークムントの言葉に応えた。
「我々はこの勝利でスルトまでの道を得ました。そして燃料弾薬も承知しております」
「それでは」
「スルトに向かうのだな」
「それは言うまでもないでしょう」
彼は六人にそう述べた。
「その為にこそですから」
「よし」
「ではいいのだな」
「補給路を確保しながら」
「うむ」
行く先はもう決まっていた。七人は互いに頷いた。
連合軍は補給路及び退路を確保しながらスルトへ向かって行く。帝国軍のゲリラ戦術はなくそこまでは何事もなく進むことが出来た。そしてスルトまであと僅かの距離まで辿り着いた。
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