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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第七幕その三

「結界があるからね」
「その結界にも護られていて」
「何度も色々なことがあったけれど」
「今もあるんだね」
「そうだと思うよ、あそこもね」
 まさにというのです。
「結界に護られている街なんだ」
「そうなんだね」
「首都はその国の中心だね」
 今度はこのことについてお話した先生でした。
「そうだね」
「うん、だから首都に何があるとね」
「国にすぐに影響するね」
「政治がおかしくなってね」
「だからまず首都を護る」
「霊的な意味でそうするなら」
「比叡山や高野山は必要だったんだよ」
 どうしてもというのです。
「都を護る為にね」
「空海さんも考えていたんだね」
「最澄さんもだよね」
「そうしたことまで考えられる人達だったんだ」
「お二人共日本を代表する高僧だからこそ」
「そうだね、しかしね」
 ここでこうも言った王子でした。
「同じ時代にお二人も高僧が出るなんて」
「奇跡みたいだっていうんだね」
「そう思ったよ、空海さんも凄いけれど」
「最澄さんもだよ」
「凄い人だよね」
「それは比叡山を見てもわかる筈だよ」
「あの山だね」
 王子も応えました。
「まさに」
「うん、僕はまだ行っていないけれどね」
「本とかであるしね」
「それを読んでもね」
 行くよりは、ですが。
「わかるよ、一回行ってみたいけれど」
「じゃあ機会があればね」
「あそこにも行くよ」
 そうするというのです。
「是非ね」
「そうだね、先生らしいね」
 そう思うことがというのです。
「そこは」
「そう言ってくれるんだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「比叡山にしてもね」
「そこを開いた最澄さんもだね」
「やっぱり凄い人なんだね」
「比叡山は長い間日本の知性の中心地でもあったんだよ」
 都を護ると共にです。
「多くの書や経典を収めていてね」
「それを持っていて教えもだね」
「伝えていたからね」
「長い間そうだったんだね」
「沢山の有名な僧侶の人が出ているしね」
 その比叡山からです。
「その比叡山を開いたのがね」
「最澄さんだね」
「空海さんとも知己の間柄だったしね」
「それが凄いんだよ」
「同じ時代に二人の高僧がおられたことが」
「奇跡みたいだよ」
 こうしみじみと思う王子でした。
「こんなことってそうはないんじゃないかな」
「そうだよね、言われてみたら」
 トミーも王子の言葉に頷きました。
「それはね」
「そうないよね」
「うん、ないよ」
 実際にと答えるのでした。 
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