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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第七幕その二

「北東、鬼が出入りするね」
「そこを比叡山が護っていて」
「鬼が都に出入りするのを防いでいた」
「そうだったんだよね」
「そして高野山だね」
「この山もだね」
「そう、ここは南西でね」
 干支でもお話する先生でした。
「未申だよ」
「そこからもだね」
「鬼が出入りするからね」
「空海さんはお寺を置いたんだったね」
「まさにこの高野山に」
「そうなんだ、丑寅から鬼が入ってね」
 先生は詳しいお話もしました。
「未申から鬼が出る」
「そう言われていたんだね」
「まさに」
「その二つの方角から出入りしてくる」
「だから都を護る為にね」
「空海さんと最澄さんがそれぞれお寺を開いたんだね」
「そうだったんだよ、京都はそうした護りが凄いんだ」 
 霊的なものがというのです。
「東京もそうだけれど」
「ああ、あそこもだね」
「東京の方もだね」
「あそこも凄いんだね」
「京都と同じで」
「日本のこの考えは中国からきていてね」
 それでというのです。
「もうかなり盤石なものになっているんだ」
「中国の五行思想に、だよね」
「神道に仏教も入っていて」
「その三つの宗教をミックスさせて」
「それで都を護ってるんだよね」
「そうなんだ、京都も東京もね」
 それぞれというのです。
「それで東京なんかは凄いんだよ」
「そういえばあの街は」
 王子がすぐに気付きました。
「何度も大火事や地震があったね」
「そう、街が崩壊する位のね」
「そうだよね」
「空襲もあったしね」 
 先生は戦争のお話もしました。
「何度も焼け野原や廃墟みたいになったんだよ」
「江戸時代からだよね」
「十万もの人が死んだ火事もあったよ」
「地震もだね」
「地震が一番多いね」
 東京はこれが本当に怖いのです、もっとも先生達他の国から来た人達については日本全体がそうなのですが。
「あそこは」
「関東大震災とか」
「あの地震は有名だね」
「もう東京がとんでもないことになった」
「ああした地震もあったしね」
「あそこは本当に色々あったね」
 王子が知っている限りでもです。
「それでもなんだね」
「そう、何度も復興してきたね」
「そしてそれは」
「おそらくそうした結界が影響しているんだ」
 風水や神道や仏教を合わせたそれがです。
「霊的な意味で言うとね」
「そうなんだね」
「そして京都もね」
 あの街もというのです。
「千数百年の歴史があるけれどね」
「その間戦乱があったりして」
「色々なことがあったね」
「応仁の乱とかね」
「けれどずっと都だったね」
「それは何故かというと」
「そう、東京と同じ理由だと思うよ」
 東の今の首都と、というのです。 
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