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天体の観測者 - 凍結 -

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中途半端な力を身につけた者はかえって早〇にしますよ それを教えてあげましょうか?

 
前書き
もうロスヴァイセさんの可愛さが天元突破、可愛い過ぎです
勿論、ロスヴァイセは作者の一番好きな女性キャラです
皆さんはどうですか?

最近の悩み
感想欲しいィィィ─── 

 
 周囲は結界に覆われ、禍の団(カオス・ブリゲート)と三代勢力との戦闘音が鳴り響く。
 光力と魔力、魔術のぶつかり合いである。

 だが依然としてこの場の時の流れは止められ、混沌と化した状況を脱し切れてはいない。
 そんな状況下でも相変わらずロスヴァイセはふさぎ込んでしまっていた。



「ロスヴァイセさん、テロですよ。しっかりしてください。」

 彼女の気持ちは察するが今は非常事態だ。
 悠長なことなど言ってはいられない。

「…うぅぅ、ぐすっ、いやぁぁ…だって…、だってぇぇ…、うえぇぇん…。」

 今の彼女は幼児退行すら起こしてしまうほど追い詰められていた。
 身に余る精神攻撃の影響で幼児化し、泣きじゃくっている。

「ロスヴァイセさん、起きてください。テロですよ。」
 
 旧魔王派一派から大規模なテロの進行を許している今、一刻も早く対処する必要がある。

「ぐすっ…!しりません…!」

 彼女は止めどなく溢れる涙をウィスの上着へ擦り付け、世界から逃避する。
 ウィスのダークカラーのローブへ彼女は自身の涙を容赦なく擦り付けていた。

ちょっと待って、それ自分の上着

「いや、あのですね…。私達、今、テロを受けてるんですよ?」

「しったこっちゃぁ…ありませんよ、そんなこと…!こんなせかい、ほろびてしまえばいいんです…!」

 どうやら彼女は幼児化の余り、思考回路までも浅慮で単純化してしまっているようだ。
 世界の崩壊には全面同意であるが、今はそんなことを言っている場合ではない。

「はぁ…、分かりました、ロスヴァイセさん。」

 こうなれば最後の手段。
 此方が譲歩し、彼女を奮い立たせようではありませんか。
 そう、ウィスは遂に折れたのだ。

「ぐすっ…、なんですか…!」

 涙ぐみ、ロスヴァイセは頭上のウィスを見上げる。

「ロスヴァイセさんが泣いてしまった原因は私にもありますからね。」

 大部分の原因はオーディンのジジイのせいではあるが。

「この会議の後、私は貴方の勇者にでも何にでもなりましょう。ですから元気を出してください、ロスヴァイセさん。」

「うぅぅ…、それ、ほんとう?」

 涙を流し、その言葉の真偽を尋ねてくるロスヴァイセ。

「はい、男に二言はありません。」

 だから泣き止んでください、お願いします。

「では…、わたしのいうことを…、なんでも、きいてぐれたら…なきやむかもしれないです…!」

 此方が譲歩したらぐいぐいくるな、この子。
 少し話が飛躍し過ぎではいないだろうか。

 思わずウィスは嘆息し、苦笑する。

「ええ、分かりました。何でもロスヴァイセさんの言うことを聞きましょう。」

 こうなればやけだ。
 だから早く立ち直って欲しい。

「ぅぅぅ~。…ぞの…ことば…!わずれないで…くださいね…!」

ウィスの何でも言うこと聞く宣言はロスヴァイセに効果抜群だ!

「はい、では先ずは鼻をかみましょうね。」
「は…い…!」

 ウィスは彼女にティッシュを渡す。
 ロスヴァイセはチーンと鼻をかんでいる。

「それに、そんなに気落ちする必要はありませんよ。ロスヴァイセさんも着実に人生を謳歌していればその内彼氏もできるはずですから。」

「うぅ、それ、ほんとう?」

 彼女はコテンと首を傾げ、ウィスの言葉を反芻する。
 ヤバイ、可愛い。
 このままでは保護欲と愛おしさでオーバーヒートしてしまいそうだ。

「次はその涙ですね。」
「…!」

 見れば彼女は号泣したことにより目元を赤く充血させてしまっている。
 ウィスは杖からハンカチを取りだし、彼女の涙を優しく拭き取った。

「それに、貴方に落ち度はありません。ロスヴァイセさんは実力良し、性格は真面目にしてしっかり者、ルックスも満点なのですから。」
 
 オーディン曰く堅物過ぎて抜けている難点もあるらしいがそれは別に難点だとは思わない。
 それを考慮しても彼女は魅力的な女性であると思うし、むしろその難点さえも素晴らしい美点だと感じられる。

 そもそも彼女の様な女性を放っておく北欧の勇者達は女性を見る目がないのだろうか。
 切実に謎だ。

「ほんと、わたし、わるくない?わたし、きれい?」

「はい、私が保証しますよ。」

 ウィスの言葉に彼女はパーと顏を輝かせ、歓喜する。
 見れば彼女のぴょこっと生えたアホ毛が揺れに揺れている。
 ヤバイ、尊い。

「ではロスヴァイセさん、これからも頑張れますね?」

「うん!ろすゔぁいせ、がんばる!」

 よーし、よしよし。
 もう怖くないよ。

 彼女の頭部の鎧の突起物が深々と自分に刺さり地味に痛いが、ウィスは彼女を持ち前の包容力で労わった。

「ほっほっほ、話はまとまったようじゃの。」

 そんなウィス達に口を挟むは全ての元凶であるオーディン。
 誰のせいだと思っているのだ、誰の。

「良かったではないか、ロスヴァイセ。これでもうお主も北欧で1人だけ肩身が狭い思いをすることはなくなったの?」

 振り返りざまの裏拳。
 その裏拳は下手人の顏にめり込み、オーディンは無様に吹き飛ばされる。
 校舎の壁を突き破り、ぶち抜け、テロリストを巻き込みながら北欧の主神の姿は消えた。

「おっと、失礼。手が滑ってしまいました。」

 だから私は悪くない。

「えっと…、サーゼクス様。私と一誠はギャスパーの救出に向かわせて頂きます。」

「あ…ああ、頼むよ、リアス。」

 眼前に広がる悲惨な光景から逃避するようにリアスと一誠の2人はギャスパーの救出へと向かう。

「……私を無視するのもいい加減にして頂きましょうか?」

 この場を襲撃した犯人であるカテレアは此方の遣り取りが終わるのを律儀に待っていてくれたようである。
 意外と親切な奴だ。

「……ああ、貴方まだいたんですか?」
「……もうお前はお呼びじゃない、帰れ。シッシ…。」

 だが残念なことに此方は彼女に用など微塵もない。
 自分もオーフィスも。

「そうはいかないんですよ。オーフィスは我らが禍の団(カオス・ブリゲート)の象徴なのですから。」

 彼女達はただオーフィスを騙し、寄生しているだけだと思うが。
 これは自分の自論だが、何かを為すために他人を騙し、他人の力を搾取し、剰え悪意を持って利用した者は最後は碌な末路を辿らない。

 決して彼女達の信念や志を否定するつもりはないのだが、ウィスはそう思わざるを得なかった。

「悪いが、お前さんの相手は俺がしよう。」
「私の邪魔をしますか…!堕天使の総督風情が!」

 そんな中、堕天使の総督であるアザゼルがカテレアの対処に当たる。
 見れば周囲の魔法使い達の撃破には朱乃達が当たり、禍の団(カオス・ブリゲート)と全面大戦へと至っていた。







▽△▽△▽△▽△







「痛ッッ…!年寄りに容赦ないの~、お主。」

 自分、神嫌いなもので。
 手加減する理由などない。

 無駄に丈夫な神だ。
 ウィスは切実にそう思う。

 だがそんなことよりも……

「立ち直れましたか、ロスヴァイセさん?」

「……ご迷惑をおかけしました、ウィスさん。私はもう大丈夫です。」

 彼女は先程まで幼児退行をしてしまったことを恥じているのかウィスから視線を離している。
 否、直視できなかった。
 目元も未だ赤くはれており、顔は伏せてしまっている。

「コホンッ!…ロスヴァイセよ。この会議に参加した一員としてお主も皆を援護するのじゃ。」

 冷めた視線を飛ばすウィスから目を離し、オーディンは主神としての命を彼女に出した。

「はっ!」

 主神の命令を受けたロスヴァイセは皆の援護をすべく飛翔する。












「……で、彼女をこの場から遠ざけた本当の理由は何なんだ、オーディン?」

「お主、口調変わり過ぎじゃろ…。」

 むしろ、どちらも自分の素だ。
 時と場合に応じて、会話を円滑に進めるために遣い分けているに過ぎない。

 この神には敬語を遣う必要性を感じられない。
 よって此方の口調に戻した所存である。

「本題に入るが、あんたが俺にロスヴァイセさんを薦めたのは勇者選出だけが理由じゃないんだよな?」

「ふむ。して、その心は?」
 
 ウィスの応えに愉し気に相槌を打つオーディン。

「先ず一つ目の理由としてあんたの必死さだ。わざわざ極東に来てまで俺をなりふり構わずに勧誘するのは何かしらの特別な訳があると見た。」

 神代は終わりを迎え、西暦を経て人類は地上で最も栄えた種となった。
 今や地上は人類が支配する時代だ。

 当然、勇者となり得る存在も減少していることだろう。
 此処でウィスを勧誘することで、自身の陣営の戦力の増強を図るのと同時に、来たるべく神々の黄昏であるラグナロクへの対抗策としてウィスを欲している可能性も否めない。

 だがそれだけではないような気がするのも事実。
 故にウィスは自身の推測を確信へと至らせるためにオーディンへと言葉を投げ掛けているのだ。

「ふむふむ。」

「そして、二つ目の理由は勇者としての勧誘だけではなく、彼女、ロスヴァイセさん個人を俺に強く薦めたことだ。」

「そう、彼女の傍に俺を置いて置くことをあんたが強く望んでいたのは……」







「……彼女、何かしらの面倒事に巻き込まれているんじゃないのか?」







「ほっほっほ!大正解じゃよ!」

 やはりか。
 オーディンは実に面白げに、此方を見ている。

 その愉し気な視線、止めろ。

「…。」

 マリーといい、彼女といい薄幸の元に生まれた女性とは何とも死と隣り合わせの人生に晒されているのだろうか。

 ウィスは切実にそう思わざるを得なかった。

「お主の言う通りロスヴァイセはある者達から狙われておるのじゃ。」

 ある者達とは一体誰か。
 まさかそいつらの処理を此方に求めているのか。

「実はの…。……」

 北欧の主神から語られる衝撃の真実。
 彼女、ロスヴァイセに迫る脅威の存在を。







「…というわけじゃ。」

 長々と語られたオーディンとの話もようやく終わりを迎えた。

「…つまり彼女が平穏な人生を謳歌できるように俺に彼女を護衛して欲しいというわけか?」

 ウィスは淡々と相槌を打つ。

 周囲を見渡せばカテレアは既にアザゼルに敗北していた。
 脳天を一突きである。
 あっけない。
 もっとも、ウィスには関係ないことであったが。

「ふむ、まあそうなるのう。勿論、強制はせん。今回、この会談に足を運んだのも先ずはお主と接触することが目的であったのじゃからのう。」

 そう、主神とはいえ、常に彼女を守ることができるわけではない。
 故に、必要であった。
 
 自身と同様、高望みをすれば己以上の力を持った護衛の存在が。
 そして今回、その護衛の候補として挙がったのがウィスであったのだ。

「それで…、どうじゃ?この話、引き受けてくれんかのう?」

 本当に食えない爺さんだ。
 彼女をからかっているのかと思いきや真摯に彼女のことを大切にしているときた。

 ウィスの中でオーディンに対する評価が僅かに上がる。

「…。」

 さて、どうするか。
 実を言えば、特にこの提案を断る理由はない。
 彼女が平穏に暮らすことができるのならばそれに越したことはないだろう。
 
 先程、本人とも何でも言うことを聞く約束をした。
 ならばどの道結果は変わらないだろう。

「分かりました。その申し出、受けましょう。」

「ほっほっほ、お主ならばそう言ってくれると思っとったわい!」

 本当にいけ好かない神様だ。
 ウィスは苦笑しながら嘆息することしかできない。





 次の瞬間、一羽の烏が、否、堕天使の総督であるアザゼルが地へと墜落した。

「全く…、俺も焼きが回ったもんだぜ…。」

「悪いな、アザゼル。俺は此方側に付かせてもらう。」

 上空から見下ろすは此度の騒動を引き起こし、この場に禍の団(カオス・ブリゲート)の集団を招き入れた首謀者こそヴァ―リその人。

「俺は言ったはずだよな、ヴァーリ?世界に崩壊を招き入れる要因にはなるなと?」

 カテレアとの戦闘により片腕を失ったアザゼルは息子同然のヴァーリに対して嘆息する。
 彼の余りの戦闘狂振りに、困ったものだと。

「俺は強い奴と闘えればそれでいいからな。」

「あー、やだやだ。戦闘狂という奴は…。」

 揃いもそろって、人の話を聞かない。
 融通が利かない奴らばかりである。
 コカビエル然り、ヴァーリ然りだ。

「俺のライバルである赤龍帝には悪いが、今の俺はそれ以上に気になる相手がいるのでね。」

 血筋を辿り、今宵の赤龍帝には何の期待も抱いていなかったが、それは悪い意味で裏切られた。
 元一般人であるはずの赤龍帝が予想以上の実力を有していた事実に。

「……そう、それは君だ、ウィス。」

 想定通りのご指名に本日何度目かの嘆息をウィスは行う。



「調べさせてもらったよ。」

「誰もが予想だにしていなかったライザー眷属へのグレモリー眷属の勝利。赤龍帝である兵藤一誠を含めたグレモリー眷属の想定以上の実力の上昇。それら全てに君が関わっていることをね。」

 このままいけば赤龍帝である兵藤一誠も自分と渡り合えるレベルにまで成長してくれるだろう。
 その将来を予見し、ヴァーリは人知れず口元を歪ませる。

「……そしてコカビエルを圧倒的優位で撃破したその実力、俺を奮い立たせるには十分だった。」







「…ウィス。俺、ニ天龍の一角である白龍皇、ヴァーリ・ルシファーは君に決闘を申し込む。」










─こうして此方の事情を一方的に無視したヴァーリ・ルシファーはウィスへと決闘を申し込むのであった─










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─残り18%─
 
 

 
後書き
ウィス「リアス達は私が育てた」キリッ!
High School D×Dの世界線ではヴァーリ=悟空ですかね?

ゴールデンウィークが今日で終わりを迎えるため、これからは更新ペースは遅くなるかと…
お付き合いいただきありがとうございました(^^)/
感想と評価切実に待ってます 
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