ABULHOOL IN ACCELWORID
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部屋の引き出しを開け、ガムテープとビニール袋を取り出す。
その二つと着替えを持って風呂へ向かう。
服を全部脱いで…
「ディスコネクト・レフトアーム」
ロックが外れ、左腕が外れる。
外れた跡にビニール袋を被せ、ガムテープで水が入らないように隙間を埋める。
右手だけで浴場のドアを開けた。
何故こんな事をするかといえば、左腕はアラヤとやりあって傷が付いたからだ。
俺の両腕は防水仕様で風呂程度なら問題ない。
しかし左腕は塗装…というか人工皮膚が剥がれている。
中身も防水加工されてるので大丈夫とは思うが念のためだ。
肩のコネクターは例え外れた状態で水が入っても問題無いらしいが、なんとなく嫌なのだ。
まぁ、明日は休日だ、病院に行って張り直してもらおう。
そう思って椅子に座った途端…
「お兄ちゃん!背中流すよ!」
とナツが全裸で現れた。
「なにしてんだテメェ!」
「おい…ナツ」
湯船の中から、髪を洗っているナツに言う。
「どこであんなの覚えた?」
その…なんだ…ソープみたいな洗い方…
「お兄ちゃんのベッドの下の本」
「そんな物は持っていない!」
「あれ?国語辞典に擬装してるDVDだっけ?」
「何故知っている!?」
「この前借りようと思ったら中身が…ね?」
死にたい…猛烈に死にたい…
「やー、それにしてもお兄ちゃん、随分とマニアッ…」
「頼むから…もう…黙ってて…」
泣きたい…妹に性癖がバレた…
「私ならどんなプレイでも受け入れるよ!」
「やかましい!」
はぁ…
ザバァ!とナツがお湯を被って、湯船に入ってきた。
「狭いだろうが」
「前は二人入ってちょうどよかったんだけどねー…」
そう言ってナツは俺を抱き抱え、膝の上にのせた。
「お兄ちゃんかるいなぁ…」
「…おい」
「いいじゃんいいじゃん。お兄ちゃんの方がちっさいんだから」
事実だから反論できねぇ!?
「どうせ明日には張り直して貰うんでしょ?
なら、今日くらいいいじゃん」
またソレか…
でも…こういうのも…悪くないかな…
「ねぇ…お兄ちゃん」
「んー?」
「なにか隠してる事ない?」
え?
「なんか、ここ3日くらい、お兄ちゃん少し変だよ?」
隠し事かぁ…BBPの事だよなぁ…
「たしかに、俺は今、少し隠してる事がある…だけど…必ず、必ず近い内に話すよ」
「ん。信じてるよ。お兄ちゃん」
シアン・パイルの件…もう少しでカタが付く…
きっと今週中…明日明後日にはシアン・パイルのリアルを割れるだろう…
否…既にシアン・パイルの正体は検討がついている。
問題は証拠が無い事…そして、俺自身がその考察を信じたく無いこと…
だけど、やらなきゃいけない。
それが、この件に関わった者としての義務だから。
そして…
あの人の男としての義務だから。
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