ドリトル先生と和歌山の海と山
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第五幕その六
「それでこのお城に住んでね」
「そうしてだね」
「このお城にいてね」
「この場所も回っていたりするのね」
「そうだったのね」
「そうだよ、本当にここにね」
今先生達が見て回っている和歌山城の中をというのです。
「歩いていたんだと思うよ」
「そうなのね」
「あの暴れん坊将軍がね」
「ここを歩いていたのね」
「そうだったのね」
「紀州藩からは二人の将軍様が出たけれど」
吉宗さん以外にもというのです。
「十四代の将軍徳川家茂さんもね」
「その人はどんな人なの?」
「家茂さんって人は」
「吉宗さん以外にもここから将軍様が出ていたの」
「そうだったの」
「そう、幕末の人でね」
吉宗さんが江戸時代の中頃の人でそれから百年以上後の人だったのです。
「幕府も日本も大変な時に将軍を務めていたんだ」
「そうだったの」
「そうした人だったの」
「じゃあその家茂さんもだね」
「ここを歩いていたのね」
「そうだよ、ただ今で言うまだ子供の時に将軍になってね」
それでというのです。
「このお城にはあまりいなかったんだよ」
「吉宗さんと違って」
「このお城にはあまりいなかったんだ」
「そうだったのね」
「それで将軍になってもね」
それでもというのです。
「身体があまり丈夫でなくてね」
「長生き出来なくて」
「若くしてお亡くなりになったの」
「そうなんだ、吉宗さんは比較的丈夫な人だったけれどね」
家茂さんは違っていてというのです。
「若くして亡くなって、幕府もね」
「ええと、江戸幕府の次が明治時代だったね」
こう言ったのはチーチーでした。
「じゃあその間にだね」
「幕府は終わったんだね」
ジップは少し考えてから言いました。
「そうなったんだね」
「さっき先生幕末って言ったし」
ホワイティはこのことから考えます。
「家茂さんからすぐに幕府の歴史は終わったのね」
「それで戦争もあって今になるのね」
ガブガブがここで言う戦争はといいますと。
「二度の世界大戦ね」
「どっちもとんでもない戦争だったわね」
ポリネシアはイギリスにとっては辛い戦争のことを思いました。
「本当に」
「日本は二度目の戦争が重要だったね」
このことはイギリスから来たダブダブもわかっています。
「ここも空襲を受けてるし」
「それでだね」
「戦争の後の日本が今ね」
チープサイドの家族はその二度目の戦争の後の日本が今の日本だと認識していてそれでお話をしています。
「あの戦争からかなり変わって」
「今に至ったね」
「何ていうかね」
老馬が言うことはといいますと。
「江戸時代の日本と明治から戦争までの日本と戦後の日本って全然違うね」
「うん、お話を聞いているとね」
トートーも老馬に応えて言います。
「同じ国なのに全然違う国かなって思う時もあるね」
「それでその幕末に将軍様になったのが家茂さん」
「そうなるね」
オシツオサレツも言います、二つの頭で。
「幕府がいよいよ終わる」
「そうした頃の将軍様だったんだ」
「そうだよ、家茂さんの後は徳川慶喜さんが将軍になったけれど」
先生はその動物の皆にお話しました。
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