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転生×魔弾の王×萌えもん=カオス

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七本目

 
前書き
ここら辺はポケモン成分薄いですすいません。 

 
「おちつかない…」

さっきから周りの奴らの視線が俺に突き刺さっている。

「なぁ、俺はどうしてじろじろ見られてるんだ?」

「エレオノーラ様が説明してくださいます」

あ、エレンといえば…

「なぁ、昨日聞いたんだが、【せんき】ってのはエレンの事か?」

「はい。このライトメリッツを治め、銀閃に選ばれたのが、エレオノーラ様です」

この街はライトメリッツっていうのか…

やがて、一つのログハウスの前でリムアリーシャが足を止めた。

「エレオノーラ様ヴォルン伯爵をお連れしました」

中に入ると、エレンが何かを書いていた。

「今日も起こすのに手間取ったか?」

「いえ、今日は声を掛けた時には起きておられました」

正確にはアンタが扉の前に立った瞬間飛び起きたんだけどな。

なんというか…ヤバイ雰囲気がしたのだ。

「捕虜としての自覚がでてきたのかな」

エレンは立ち上がり、俺の目の前に来た。

一瞬身構えてしまったが、その後の言葉にあっけに取られた。

「昨日はすまなかったな」

「何の事だ?」

「お前に貸した弓の事だ。特に考えずに部下に任せたのだが…まさかあんな出来の悪い物を渡すとは思わなかった」

あぁ、やっぱりか…

「あれを考えて実行した三人は首を跳ねておくから…」

「待て待て待て待て!」

「?」

「たしかに質の悪いイタズラだったが、アイツ等の気持ちもわからなくはない」

「お前はおこっていないのか?」

「怒ってはいるさ。だけど、アイツら面白くなかった事は俺もわかるからな」

ぽっと出の俺を、エレンが気にかけていたのが嫌だったのだろう。

「今回の一件は、部下の気持ちに気付いてやれなかったお前の責任だ。
一度は許してやれ…」

「お前が言うならそうしよう。
二度目は無いがな」

「で、昨日俺にあんな事をさせた理由は?」

「エレオノーラ様があなたに惚れた等という有らぬ噂が立ったからです」

「まぁ、強ち間違ってはない。
惚れたといえば惚れたからな」

「ほ、惚れた? 俺に?」

「お前の弓の技量にだ。残念ながらお前にではない」

ですよねぇ…

もし本当にエレンが俺に惚れてたらエレンはショタコンの変た…

「ティグルヴルムド卿?」

怖い!?

「あ、ありがたいな。ろくに話さずに好きになられても困る」

「じっくり話さなければ女一人惚れさせる事もできないのか?」

「俺の良さをわかってもらうには時間がかかるんだ」

「寝坊癖のような悪い所は直ぐにわかりましたが」

「それで、お前は今まで何人惚れさせた事がある?」

無言でホールドアップ。

降参だ。これ以上言うとド坪にはまってしまう。

「ともかく、そうした噂に過剰反応した部下達が噂の元を経つため、お前を殺してしまえといってきてな」

「間違った事を進言したとは、今でもおもっておりません」

「こんな連中ばかりでな。お前の技量を見せるのが一番手っ取り早いとおもったんだ」

「ならそう言えよ!」

身勝手な女だ…

「300メートルもの距離から性格に矢を放ってきた事にも感心させられたが、味方居らず、お前一人だけというあの状況で、戦意を喪わず、かといって自棄になでもなく、冷静に、確実に私を仕留めようとしていた事に驚かされた。
本当に気に入った」

エレンは勝ち誇る事なく、純粋な瞳で、そのルビーのような瞳で、俺を真っ直ぐ見ていた。

「一本目を打ち落としたとき、胸が激しく高鳴った。
二本目の時は、寸分違わぬ位置を狙ってきたお前の技量に感心を通り越して感動した。
もしも三本目があったら、どうなっていたかわからん。
距離も縮まっていたし、流石に打たれたかもしれないな」

だから、と彼女は続けた。

「お前を殺すのが惜しいと思った。
だから、このライトメリッツまで連れてきた。
戦場で悠長な話し合いをする趣味は無いのでな」

口元に微笑みを湛え、ながら彼女は言葉を紡いだ。

「私に仕えないか?」

は?

「人間達の伯爵位と同じ地位を与えよう。
それに応じた俸給も与えよう」

「本気か?」

あまりにも身勝手で、暴力的で…魅力的な提案だった。

「私お前が欲しい」

その言葉に、ドキリとしてしまった。

「本当に、この街は、お前は、俺を受け入れてくれるのか?」

「ああ、約束しよう」

それに対する俺の返答は、ただ一つ。

「だが断る」

あっけに取られる二人を前に、俺はその続きを口にする。

「このティグルヴルムド・ヴォルンが最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつに、『NO』と断ってやる事だ…」

「何故私の手を拒む?」

「俺には、帰るべき場所があるからだ。
マサラタウン。おれが育ち…育ててもらった場所だ。
おれは、帰ると約束した」

「お前の気概は結構だが、先の事を考えて言っているのだろうな?
これからお前はここで虜囚としての生活を送ることになるのだぞ?」

「れ、例の条件が満たせないと決まった訳じゃない」

「ほう?昨日別の条件を提示しろと言ったのは交渉術の類いだったのか。
あの時のお前の顔は実に必死で同情心が湧くほど悲壮感溢れる物だったのだがなぁ。
恐れ入ったよ」

くっそぉ…この女優位にあるからって…

見かねたのかリムアリーシャが俺の耳元で囁いた。

「形だけでも頭を下げておいて、あとで隙を見て逃げるなりすればよいのでは?」

リムアリーシャって…案外優しいのかな…?

「私の要件は以上だ。何か聞くことはあるか?」

「昨日俺が撃ったアイツは何者だ?」

「私の命を狙う暗殺者だ」

ふーん………え?

「暗殺者?」

「他の公国からの刺客さ」

他の公国だと…?

「ライトメリッツ以外にもポケモンの国があるのか!?」

「うむ。私が知るだけでも、他に六つある。
ライトメリッツ以外の公国もいくつか訪れた事がある」

ライトメリッツと同規模で六つ?

はは、人間はいよいよ滅ぶな。

「そうか…なら、あの時の火炎弾を掻き消したのは何だ?
あんな技は存在しない筈だが?」

「さて?見ていたのならわかるだろう。
運良く突風が吹いて炎が掻き消されたのだ」

「じゃぁ、アリファールとやらは運良く突風を起こすまじないか何かか?」

「興味があれば自分で調べろ。
私は優しい教師ではないのでな。
出来の悪い生徒に何でも教えてやったりはしない」

「それは俺に行動の自由を与えるって事か?」

「部屋から出さずにいて病気になられても困るからな。
ライトメリッツ内で、かつ監視付きなら、歩き回る事を許そう。
ただし、街を囲む森に近付いたら脱走と見なす。
ほかには?」

「十分だ」

「そうか、なら部屋に戻れ」

ログハウスから出ると、リムアリーシャがついてきた。

「部屋まで送ってくれるのか?」

「いえ、私はエレオノーラ様と話があるのでそれは他の者に任せます」

と愛想のない顔にさらに鉄仮面を張り付けたような無表情で否定した

「一つだけ教えてください。
なぜ、形だけでもエレオノーラ様に従うと言わなかったのですか?」

「だって、それだとおれはまず故郷を、次にエレンを裏切る事になる」

「あなたは捕虜で、エレオノーラ様はあなたにとって敵です。
裏切りにはなりません」

「騙し合いならね。エレンは真剣だった。
真剣に俺を部下にしたがっていた。
だから、裏切りたくなかったんだよ」

リムアリーシャは、そうですか、と言ってログハウスの中に入って行った。 
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