転生×魔弾の王×萌えもん=カオス
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五本目
前書き
スーパーマサラ人ティグル。
俺は八歳になった。
そして、旅とはどんな物かを知るために、少しだけ遠出する事にした。
「じゃ、取り敢えずトキワまで行ってくるよ」
「はい。ちゃんと戻って来てくださいねティグル様」
「ああ、勿論だ」
マサラを出て、一番道路を進む。
ゲームではすぐに通過できたが、現実では2日かかる。
現実の日本地図と合わせればわかるだろうが50キロほどある。
成人男性の徒歩のスピードを時速四キロとする。
その場合でも12.5時間。
休息や睡眠を入れれば2日だ。
子供の俺では三日くらいはかかるだろう。
そんな事を思いながら進んでいくと、やがて森に入った。
ニビ-トキワ間のトキワの森のように名前は付いていないが、安全なルート…ポケモンがあまり出ない整備された道を通り、トキワを目指す。
時たまオニスズメの縄張り争いを遠目に見ながら進むと、やがて日が暮れた。
「暗くなる前にテントを張らないと…」
森の中の街道の脇に陣取り、装備を置き、キャンプ地を確保する。
バッグから図鑑を取りだし、テントを量子展開する。
「やっぱすげぇなぁ…」
こういった技術が進歩している反面、自動車産業や航空産業は現代日本にやや劣る。
恐らくはポケモンで代用できるからだろう。
あぁ、そういえば造船だけはやけに高性能だったなぁ。
そんな事をつらつらと考えつつ、テントを張り、夕食の準備を始める。
飯盒と米、カセットコンロ、缶詰と鍋をバッグから取りだす。
それと…
「うーん…まぁ…やめとこう」
何故かオーキド博士から渡されたウイスキー。
「婆ちゃんも何も言わなかったが…なんでだ?」
普通子供にウイスキー持たせるか?
「まぁ、投げて火をつければ何とかなるか…」
米を炊き、缶詰を温める。
そして飯盒の中に缶詰をぶちまけ…
「おぉ…これが旧帝国軍のミリ飯か…」
見た目は悪いが、はて、味は…
「おお!旨い!」
なんだ、旨いじゃないか!
掻き込むように、完食すると、眠気が襲ってきた。
まぁ、一日歩き続けたのだから当たり前だな。
テントに入り、ウェットティッシュで体を拭き、寝袋に入る。
その横には、バッグとナイフと弓矢を置いておく。
「おやすみなさい」
誰も答えない虚空に言葉を投げ掛け、意識が暗転した。
……!………!!…………!
なんだ?騒がしいな…?
「んー?」
騒がしさに眼が覚めた。
テントから出ると、大勢のポケモンが街道を一方向へ逃げていた。
「うおぉ!なんだこれ!?」
新月なのにポケモンが逃げてきた方向が明るい。
オレンジ色に照らされていた。
時計を見ると、朝四時…日の出まではまだ早い。
「火事か…?」
しかし、目の前を通ったポケモンを見ると、火傷ではなく裂傷があった。
「ポケモンハンター…?
いや…ロケット団か?」
バッグと弓矢とナイフを取り、駆け出す。
街道の横にある獣道を通り、ポケモンの流れに逆らって進むと、やはり、居た。
距離は400メートル程。
「ロケット団…!」
奴らは街道を堂々と進んでいた。
ハンヴィーのような車を中心に、人数は二十名程だった。
火炎放射機と炎ポケモンで森に火を放っている。
「クソっ!」
このままじゃマサラまで来てしまう…
さぁ、どうする…?
カラン…と矢筒の矢が鳴った。
そうだ。
ここで足止めすればいい。
そうすれば警察か軍か協会が動く。
竹でできた弓を、持つ。
幸い、奴らは火を放っているから、此方から丸見えだ。
音を発てぬよう、ゆっくりと近づき、やがて300メートルまで詰めた。
矢は10本…
矢筒から取りだした矢を、つがえる。
十分引き絞り、狙いを着け…
ピウッ! という音と共に放たれた矢は、吸い込まれるようにヘルガーへ命中した。
鏃は尖ってこそいないが、対ポケモン用の品だ。
それなりのダメージだろう。
見れば、ロケット団は放火を止め、警戒を始めた。
身を固め、じっと動かない。
更に矢をつがえ、今度は団員を狙って撃つ。
風に乗った矢は、団員の肩に命中し、突き刺さった。
団員がのたうち回るのが見える。
更に二射、三射と命中させると、ロケット団は撤退していった。
「ふぅ…」
しかし、息をついたのも束の間。
炎が一瞬にして弱まった。
「む…?」
そして、暗くなった街道を、何者かが歩いて来る。
「チッ…ロケット団め…まだ引かないか…」
カツンと矢筒をたたく…あと五本。
薄暗くて良く見えない中、俺は矢をつがえ、狙いを定める。
ピウッ! と矢が放たれるが、外れたようだ。
「チッ…」
更に放つが、当たらない。
距離は50メートルを切った。
その時、日が登った。
「な!?」
驚いた理由は、敵がロケット団ではなかったからだ。
青を基調とした露出の多い服と鎧。
「チッ…擬人化ポケモンか…」
勘違いで打っていたとは…滑稽だな。
それに彼方さんもとことんやりたいらしい。
奴のカラーリング…
赤、青、白…恐らくは、エアームド。
奴が此方へ駆け出す。
矢をつがえ、放つが、その一射は、奴が持っていた剣に切られた。
エアームドの翼は、刀よりも鋭い。
近付かれれば…死あるのみ。
矢筒の中には二本…
一本をくわえ、一本を撃ち、すぐさまくわえた矢をつがえ、放つ。
が、空しくもその両方が切り捨てられた。
あぁ、死んだかな、これは。
「ここまでか」
奴…いや、彼女は、俺の目の前で足を止めた。
その容貌は、とても美しかった。
その肌は雪のように白く、その銀の髪は穢れを寄せ付けない。
彫刻のような艶やかな唇が言葉を紡ぐ。
「弓を捨てろ」
ルビーのような、吸い込まれそうな瞳に見つめられ、弓を手放してしまう。
「いい腕をしているな」
褒めた…? 自分に矢を向けた人間を?
「私はエレオノーラ・ヴィルターリア。
お前は?」
「ティグルヴルムド・ヴォルン」
「トレーナーか?」
「エリートトレーナーだ」
すると、彼女はニコリと笑った。
「宜しい、ティグルヴルムド卿。
今からお前は私の物だ」
は?
後書き
最後の『ティグルヴルムド卿』ってセリフの為に爵位の設定を考えました。
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