転生×魔弾の王×萌えもん=カオス
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二本目
「博士ー!来たよー!」
研究所のドアを開けて叫ぶが、反応が無かった。
「んー…ま、いいや」
勝手知ったる研究所。
資料庫へ行き、ポケモン関連の論文等を読みまくる。
「あのー…ティグル様?」
「どうしたティッタ?」
「楽しいですか?」
「まー…そこそこ?」
どっちかと言えば、弓の修練の方が楽しい。
だがこんな時間からやっては周りにバレてしまう。
この世界はゲーム、アニメ、マンガがごちゃごちゃになったような世界観で、ポケモン関連の犯罪だって起きている。
そしてポケモンに対抗するための武器も、ある程度は存在する。
とは言え、ポケモンにはポケモンで対抗するのが普通なので、銃器は精々リボルバー止まりだ。
「えっと…何を読んでるんですか?」
「ん?これか?」
俺が読んでいるのはポケモン関連の医学書だ。
「医学書だよ」
「はぁ…?お医者様になるんですか?」
「いや、お目当ては…お、あったあった」
目当てのページを見せる。
「ひゃっ!?」
おかしな声を上げながら、ティッタが後退る。
「骨格図と内臓図、これを知っているのと知らないのでは大違いだ」
前世では、ポケモンはやっていた。
だが、廃人には遠く及ばず、殿堂入りと伝説捕獲が終わったらあまりやらなくなる質だった。
だから俺は努力値とか種族値とかには詳しくない。
精々技のタイプと効果を知っている程度。
ならどうするか?
この世界で得られる知識で対応するしかない。
「人間でもポケモンでも、必ず急所がある。
もし手持ちのポケモンが居ないときに野生のポケモンに襲われたら?
無論抵抗するだろう。
だが人間の耐久力では武器を持っていても、ポケモンに勝つのは難しい。
なら、急所を突き、怯んだ隙に逃げるしかない」
「は、はぁ…」
「ライセンスは簡単に取れる。
問題はその後だ。
普通のトレーナー…それこそ成人ならポッポやオニスズメ程度は相手に出来る。
だが俺は子供だ。この町から出る事すら叶わんかもしれない…」
一通りの修練はしているが、俺は一人なのだ。
集団で襲われれば、ひとたまりもない。
「だから、少しでもこういう知識を付けておきたいんだよ」
そんな事を言いながら資料を漁っているとオーキド博士が戻ってきた。
「ティグル、ティッタ、こんな所におったのか」
「あ、博士。例の件どうなった?」
「うーむ…何とも言えんのう…」
例の件とは俺のライセンス取得の話だ。
ライセンス、トレーナーカード…色々な呼び方が有るが、要はポケモンの携帯許可証だ。
十歳になれば無条件で発行されるが、俺はまだ五歳である。
特別許可証という物があるのだが、それの取得は色々と手続きが必要らしい。
「何か問題が?」
「協会に掛け合ったんじゃが、どうも受けが悪い」
「仕方ないでしょ。まだ五歳なんだから」
「ただ…」
「ただ?」
「ワタルの奴は面白そうだと言っておったのぅ…」
ワタル…あぁ…チャンピオンか。
「居たの?」
「協会の入り口で偶然会っての」
「ふーん…」
「ワタルが言っておったのじゃが…
ティグル、御主はなぜその年でトレーナーになりたいんじゃ?
御主が大人びておるのは知っておる。
だからこそ不思議なんじゃよ。
御主ほど賢い子がどうしてそこまで急ぐのかのぅ」
「特に理由はないよ。
単に、権利が欲しいだけだ。
旅にもまだ出ないし、積極的にバトルする気もないけど、あったらショップとかポケセンとかで便利そうだから」
「そうか…わかった。
なんとかしよう」
おや?以外だなぁ。
理由なくライセンスが欲しいって言ったも同然なんだが…
「不思議そうな顔をしとるのぅ。
ここで御主が大それた事を言っておったら、その時こそ止めておったよ」
「なんなら"大それた事"をプレゼンしてもいいけど?」
「いや、その必要はない。
最悪はワタルに推薦状を書かせるだけじゃ」
現チャンピオンを顎で使うとは…流石は初代チャンピオン…
「ところでお昼はどうするんじゃ?」
「ティッタ、どうする?」
「ふぇ?わ、私ですか?」
「一回帰るかね?それともここで食べるかね?」
なお婆ちゃんの家までは歩いて五分だ。
「えーっと…帰ります。何も言ってないので」
「OK。博士、そう言うことだから」
「おお、そうか。また来るのかの?」
「そのつもりだよ」
博士の研究所を後にして、俺とティッタは婆ちゃんの家に戻った。
「ただいま!婆ちゃん」
「ただいま帰りました」
「お昼、出来てるよ」
婆ちゃんの作ったオムライスは絶品だった。
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