笑顔の戦士と絶望に抗う戦士
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7話
「えっと…孫悟飯です。宜しくお願いします」
今、悟飯の目の前には自分と同世代の子供達がいた。
みゆきパパの「学校へ行こう!」の発言から一週間、彼がとうやったかは分からない。
自分やったことといえば編入試験を受けたくらいである。たが、無事にこうして悟飯はみゆきと同じ学校に通う事が出来るようになった。
しかも、みゆきと同じクラスである。
「悟飯く〜ん」
みゆきは目をキラキラさせながら、席から元気に手を振っている。
「…ははっ」
悟飯は苦笑しながらも手を振り返した。
目立ちたくない悟飯にとっては、勘弁してもらいたかったが、転入生という時点で今更かと思い、早々に諦めた。
「それじゃあ、孫君は星空さんの隣の席ね。星空さん、いろいろ助けてあげてね」
担任の言葉に「分かりました!」と元気に返事をするみゆきに、また悟飯は苦笑をもらす。
みゆきの隣の席に着き、あいさつを交わす悟飯。
「よろしく、みゆき」
「うん。よろしくね!悟飯君」
「なんや、二人とも仲ええな。名前呼びか」
そんな二人に声をかけたのは、みゆきの前の席に座っている日野あかねだった。
「えっと、日野あかねさんだったっけ?」
「そうや、よろしく頼むで。孫君」
「悟飯でいいよ。そっちの方が呼ばれ慣れてるから」
「ほうか?なら、うちの事もあかねって呼んでええで」
「ああ。わかったよ。あかね」
「(この子が日野あかねちゃんか。みゆきが以前、プリキュアになってほしいと頼みに行って断られたって言う)」
悟飯は日野あかねの事はみゆきから聞いて以前から知っていた。
「プリキュアになれそうな子に心当たりがある」と言って意気揚々と学校へ行き、落ち込んで帰ってきた事があった。
話を聞いてみると、プリキュアになるのを断られたて落ち込んでいるようだった。
「(まぁ、いきなり「プリキュアやりませんか?」と言われてやる人はいないか)」
しかもキャンディーに「プリキュアの事は秘密クル!」と言われたらしく、説明もできない。断られて当然である。
「それで話戻すけど、二人は知り合いなん?」
悟飯があかねの事について思い出していると、あかねが再度、同じ質問をしてきた。
「うん。一緒に住んでるんだよ」
悟飯がそれについて説明する為に、育代さん達に言われた【設定】を口にする前に、みゆきが爆弾投下してきた……それを聞いたあかねや、聞き耳を立てていたクラスの皆は当然
「「はあぁぁああああ!?」」
騒然となった。
「ちょっ!え?同棲?同棲なん!?」
「お、おおおおお落ち着いて、まだ慌てるような時間じゃない」
「…はっ!今回の新作は飯✖︎みゆ、これで決まり!!」
「…中学生で同衾。これがお二人の【道】なのですね」
「は、ははっ、え〜と、簡単に説明すると…」
俺は育代さん達に言われた設定を説明した。
俺の両親とみゆきの両親は友人同士であり、俺の両親が仕事の都合で海外に転勤なった際、俺が「日本に残りたい」と言っていたことを知り「なら、私たちの家に来ない?」と誘ったことにより、みゆきの家に居候する事になった。
これを説明すると
「……つまり、親公認、と」
「へ、部屋は!?同じ部屋で寝てるの!?」
「ね、寝てないよ!?」
黄色い子の発言に、みゆきは真っ赤になりながらブンブンと首を横に振り否定した。
それを見て「え〜」と、がっくり肩を落とした黄色い子は「…はっ!でも妄想は自由!よ〜し、今日は徹夜で原稿を…」
などとよく分からない事を言って、自分の席に戻っていった。
「(何だったんだろう?)」
悟飯は不思議に思いながらも、彼女の背を見送った。
…だいぶ後の話になるが、彼女の描いたその漫画はその年の新人賞を受賞する事になる。
そういった騒動があったものの現在は落ち着き、通常通り授業を受けている。
「それじゃあ、この問題を…悟飯君、解いてみなさい」
「あ、はい」
指名された悟飯は黒板に書かれた計算式をスラスラと解いていく。
「出来ました」
「うん、正解。流石ね孫君」
「はは、ありがとうございます」
先生の賛辞に頬をかきながら礼を言い、自分の席に戻った。
「凄いね、悟飯君。私全然わからなかったよ」
「うんうん。今のは結構難しかったで」
「そ、そうかな」
みゆきとあかねの言葉に、戸惑いながらも答える悟飯。
実際、悟飯からすれば今の問題は簡単だった。以前はもっとレベルの高い問題を解いていた為、中学で習う程度の問題など彼にとっては簡単であった。
「余裕やな〜よし、テストの時は悟飯に勉強を見てもらうか。よろしく頼むで」
「わたしもわたしも〜」
「ははっ、構わないけど、授業はちゃんと聞くようにしてくれ」
「「あっ、はい」」
体育
「よし!今日はサッカーをやるぞ、男女混合の2チームに分れろ」
「….サッカー、か」
「どうしたの悟飯君?サッカー苦手?」
「なんや、そうなんか?悟飯」
悟飯の呟くような言葉を聞いたみゆきとあかねは悟飯に問いかける。
「いや、やったことないなと思って」
「「えっ….」」
悟飯の言葉に固まる二人。
「いや!ルールは知ってるよ!」
二人の反応に慌てて弁明するが
「いや、やったこと無いってホンマに?」
「大丈夫なの?悟飯君?」
あかねは信じられないものを見るように、みゆきは心配して声をかける
「大丈夫だよ。さっきも言ったけど、ルールは知ってるから」
二人の言葉に笑顔で答え、授業に挑む。
「試合開始!」
先生の開始の笛がなって早々に、悟飯の元にボールが転がってきた。
「(え〜と、確かボールをゴールに入れればいいんだったな)」
悟飯は、自分の力が普通の人間と比べ物にならないほど開いていることを自覚している。
「(え〜と……これくらいかな?)」
ゆえに、悟飯は軽くボールを蹴った。
そう、「悟飯視点から軽く蹴ったのである」
「軽く」蹴ったボールはドンッ!という音ともに空気を切り裂き、空中を地面スレスレに低空飛行しながら幸いにも生徒の間を通り抜け、ゴールネットを突き破った後その後ろのフェンスを突き破り、更に後ろのコンクリートの塀にめり込み漸く止まった。
「「「「「……………………」」」」」
「…………あれ?」
あまりの出来事に停止しているクラスメイトと先生。
自分の想像と違う結果になり、固まる悟飯。
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