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笑顔の戦士と絶望に抗う戦士

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9話

「気になったんやけど、異世界の地球ってどんな感じなん?」
皆で決意を新たにした後、ふと、あかねが疑問を投げかけた。

「あっ!私も聞きたい!聞きたい!」

「そうだねぇ。私も興味あるね」

「巨大ロボットは居なくても!変身ベルトとか宇宙戦艦とかあったりするのかな!」

「私達とは違う地球…興味ありますね」

「キャンディーも聞きたいクル!」
あかねの言葉に他の4人+一匹も食い付き、目をキラキラさせながら悟飯を見ている。

「…えっ、え〜と、そうだなぁ…」
流石に現在の地球の惨状を話すわけにはいかず、自分の住む地球と、この地球との文明や地理、政治形態の差異などを話した。
幸いにも悟飯はこの世界に来てから、自分達の世界とは違う地球の歴史に興味があり、細かく調べていたので難なく説明できた。
むしろ、今や彼女達より詳しいレベルである。
「なるほど、悟飯さんの世界は私達の世界より遥かに文明は発達しているようですね」

「う〜ん、場所によりけりかな。発展していないところは本当に田舎だ。それに対して都の中心とかは、エアカーとかエアバイクとかホイポイカプセルとかも普及してるしね」

「そのホイポイカプセルっていうのは凄いよね」

「ええ。質量保存の法則を完全に無視しているもの」

「まさに未来道具って感じだよね!」

「巨大ロボットは居ないけど、モンスターボールみたいのはあるんだね」

「あ〜確かにアレに似てんな…アニメやけど」

「悟飯の世界は凄いクル」

「ホイポイカプセルを作ったブリーフ博士は、俺達の世界でも一二を争うほどの天才科学者だからな」

「そのうちもっと凄い発明しそうだよね!」

「まぁ、あの家系の人達は凄いからな。ブリーフ博士の娘さんのブルマさんはタイムマシンを造「「「「「タイムマシン!?」」」」」…あっ」
悟飯が、ヤバイ事を言ってしまったという事を自覚した時には既に遅く、れいか以外の4人が悟飯に詰め寄った。

「タイムマシンって、あのタイムマシンなん!?」

「あの過去とか未来とかを行き来できるあの!?」

「巨大ロボットは居ないけど、あの最高の未来道具があるんだね!!」

「近未来ファンタジーな世界なんだね!?悟飯君の世界は!」

「いや…造るって言ってただけで、まだ研究段階なんだよ」

「でも!できる可能性はあるんだよね!?」

「…まぁ、ブルマさんは天才だから、ひょっとしたら造れるかもしれないけど…」
そう、彼女ならタイムマシンを造れるかもしれない。
過去へ行き、心臓病で死ぬはずだった自分の父親に薬を渡す。【孫悟空が死ななかった世界線】を作るのだ。
もちろん、過去をむやみに変えてはいけないと言う事は悟飯もブルマも分かっている。そして、過去を変えたところで自分達の世界で死んでいった人達の事が無かったことにならないことも理解している。
それでも、「もし、お父さん(孫くん)が生きていたら」と、人造人間が現れてから6年。何度そんな事を思っただろうか?
肉体的に強いという事ももちろんあるが、それ以上に彼ならどんな絶望的な状況でも必ずなんとかしてくれる。
そう思わせてくれる。仲間の精神的な主柱になってくれる人だった。
お父さんさえ生きていれば、人造人間を倒す手段を見つけられるはずだと悟飯は確信している。
自分達の世界のように地獄の様な世界ではなく、平和な世界を取り戻せると信じている。

だが、過去に行くのは何年?いや、何十年後の話になる?
いくらブルマが天才だと言っても、タイムマシンを造るのにどれだけの歳月がかかる?
その間、人造人間達の手によって一体何人の人達が犠牲になる?
はっきり言って、完成するまで待っていられないのだ。
だから、もっと強くならなくてはならない。
自分がこうしている間にも、連中は地球の人達を殺して回っているかもしれないのだがら。

「…悟飯君?」
みゆきの声に反応して顔を向ければ、5人が心配そうにこちらを見つめていた。

「…えっと、ごめん…何?」

「何って言うか…」

「…怖い顔しとったで、悟飯」

「え!?そ、そうかな?ハハッ…」

「「「「「……はぁ」」」」」

「クル?」
悟飯の誤魔化し方を見て、5人全員がため息をついた。
悟飯という少年が嘘や誤魔化しが苦手であることは、この短い付き合いの中でも既に分かっていた。

絶対に何かある。それもあの表情から察するに重大な何かだ。

「…悟飯さん。タイムマシンを造って過去に行くにしろ、未来に行くにしろ、それは正史を曲げると言うこと……自分が歩んできた道を、歩む道を否定してしまうと言うことですよ?分かっているんですか?」
れいかが真剣な表情で問う質問に悟飯も真剣な表情で答える。

「ああ、分かってる…でも、それでも俺は…いや、俺達は……ん?」

「どうしたの?悟飯君?」
いきなり窓の方に視線を向けた悟飯を不思議そうに見るみゆき

「…何か来る……この感じ、キャンディーに似てる」

「え?」

「キャンディーに似てるクル?」

「…アレは…本、か?」
窓に近づき、外に視線を向ける悟飯は本が飛んで来るのが見えた。

「何かあるの?」

「何も見えへんやん」

「何かあるんですか?悟飯さん」

「そういえば、キャンディーも絵本の中から飛び出してきたんだよね」

「え!?と言う事は新しい妖精仲間かな!?」

「…お兄ちゃんかもしれないクル」

「「「「「お兄ちゃん!?」」」」」
キャンディーの発言に驚く5人

「…うん。とりあえず5人とも、少し離れてくれないか?…暑いし、狭い」

「「「「「あっ」」」」」
全員が窓際まで移動してきた為、結構な密着具合だった…色々当たってたりする…どこがとは言わないが


その後、キャンディーの兄であるポップが現れ【始まりの絵本】を取りに行く為ふしぎ図書館(みゆき命名)に向かった。



ふしぎ図書館内(みゆき命名)

「ここだよ!ここ!ここで悟飯君と出会ったんだよ!」

「綺麗なところやなぁ〜」

「幻想的な雰囲気だね」

「なんだか気持ちが落ち着きます」

「ここが悟飯君とみゆきちゃんの運命的な出会いの場所なんだね!」
やよいの言葉に顔を赤くするみゆき。
小声で「運命だなんて」とか「でも、助けてくれた時の姿はヒーローみたいだったし」とか「かっこいいし」とか言っているが小さすぎて誰の耳にも届いてなかった。

「まぁ、確かに運命的ではあったかな。みゆきに出会わなかったら多分、俺は死んでたし」

「「「「「「…えっ(クル)」」」」」

「…あっ」
悟飯は「またやってしまった」という感じで片手で顔を覆っていたが、他の三人と二匹はそれどころではない。

「どういうことなん!?」

「大丈夫なの!?悟飯君!?」

「怪我は!?怪我はない!?」

「クッ!治療用のデコルがあれば!」

「病院に!病院に連れて行くクル!!」
大慌ての三人と二匹

「大丈夫!大丈夫だから!豆を食べたら怪我は治ったから!」
仙豆の存在を知るみゆきが皆を宥めようとするが…

「豆を食べたぐらいで怪我が治るわけないやろ!!」

「ご飯を食べたら元気にはなるけど怪我は治らないよ!!」

「ご飯と言っても悟飯君の悟飯じゃないけどね!」

「何を言っているでござるか!?やよい殿!」

「テンパってるクルな!」

「はぁ…皆落ち着け。そもそも怪我が治ってなかったら、こうして皆に会えないし、学校にも行けるわけないだろ」

「「「「「……あっ」」」」」




「(……悟飯さんが死ぬかもしれない程の大怪我を?)」
他の皆が悟飯の怪我の話に慌てている時、れいかは違うことを考えていた。

「(アカンベー達を、圧倒的と言っていいほどの実力でねじ伏せてきた悟飯さんに、瀕死の重傷を負わせる存在が向こうの世界にはいるということですか?)」
悟飯の力は圧倒的だ。
それはれいかだけではなく、他の4人にとっても共通認識だった。
プリキュアになって、超人的な力を手に入れた。
それでもアカンベーは楽に倒せる相手ではない。
それを全く寄せ付けずに戦っているのが悟飯だ。
その悟飯が、そこまで痛めつけられる相手。

「(タイムマシンの事といい…悟飯さん、貴方は何と戦っているんですか……)」


あかね達に仙豆の説明をしている悟飯を見つめながら、れいかは思いを馳せるのであった
 
 

 
後書き
沖縄から内地に引っ越す為、投稿期間がまた空きます。
でも、その前にあと1話だけ上げるかもしれません。
まぁ、期待せずにお待ちください 
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