歌集「冬寂月」
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二十一
移ろいて
変わる景色を
眺むれば
人をも身をも
虚したりける
移ろい変わる景色…常に変わりゆく四季の中で、人も同じではいられない…。
そう思わせる景色を眺めると、自らが年をとったのだと感じ…全てが虚しく思えてならなかった…。
あの人もまた…そうなのだと…。
戸を叩く
風そさみゝし
独り寝の
よすがもなしや
梅ぞ散りなむ
風が強く、あまりにも戸を揺らすために眠れない…。
未だ冬と言わんばかりの凍てつく風…一人眠る侘しさを慰むるものもなく…。
外に咲いている梅は風を遮るものもなく、きっと散りゆくに違いない…。
私と同じように…。
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