歌集「冬寂月」
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二十
想ふとて
世に逢ふもなき
今なれば
夢にもなかりき
人も忘るゝ
どんなに想いが強くとも…もう会わないと決めた今となっては、この想いほど無駄なものはあるまい…。
夢の中にさえあの人はいない…そうしてあの人は私を忘れてゆくのだろうな…。
振り返り
見なば侘しき
道なれば
想いに痛む
わが心なか
人生を振り返り、こうして見ると…なんと小さく心許ないものだろうか…。
人を愛しては絶望し…それでもまた愛してしまい…。
こんな自分に嫌気がさす…そして、叶わぬ想いに心が痛むのだ…。
人とは…なんとも我が儘なものだな…。
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