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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第九話

俺が剣道を初めて数ヶ月が経った、体力はそれなりについて竹刀も振れる。


そしてただいまの時刻は4時半、学校が終わって生徒が下校し、家が近い子なら家に着く時刻だ。


何故いきなりこんな事を言うかと言えば、姉さんが一度帰って来て俺と篠ノ之道場へ向かうからだ。


今日は、その、なんというか、はい、
姉さんがキレておりますです。


怖えよ姉さん、少なくとも小学六年生が纏ってていい雰囲気じゃぁないってレベルだ。


「おい一夏!急げ、さっさと行くぞ!」


おお、怖い怖い。


『なぁ橙、何が有ったと思う?』


『知らない、ますたーが直接聞きなよ』


「竹刀とってくるよ」


「要らん!さっさと来い!」


え?何?今日って筋トレ?まぁ一応持っていこう。


「は~い」


と、言って玄関から出て母さんの車に乗る。


………空気が重い!


「千冬?何かあったの?怖い顔してるわよ」


ちふゆ の こわいかお ! いちか の すばやさ が がくっと さがった!


『ますたー、ばかでしょ』


……馬鹿なの?じゃなくて確定かよ


「嫌な事があったんだ。
クラスの男子と少し、な」


色恋沙汰かな?小六ならまぁ、あり得るのかな?


「そう、なら聞かないでおくわ」


「何か盛大に勘違いされてる気がする」







篠ノ之神社


「一夏、今日は稽古はしなくてもいい。その代わり束の所に行け」


は?あの姉さんが『稽古はしなくてもいい』だと?それに束さんの所って…まぁいいや。


「ん、わかったよ」












篠ノ之束・私室前


「え~と、ここでいいのかな?中に気配があるから良いとは思うけど…」


今現在、俺は束さんの私室の前にいる。
姉さんから言われた通り来たのだが、入ってもいいのだろうか?


「橙、どう思う?」


『そんなに気になるならさっさと入るか覗いて視なよ』


覗くのは何かアレだし…入るか


コンコン


「束さん?一夏です、入りますよ?」


ガチャ


「う~…………いっくん?」


中では束さんがベッドの上で泣いていた。


「どうしたの?束さん?」


俺はベッドの上の彼女に歩み寄った、すると。


「いっくぅん…いっくぅ~ん、うう~」


抱き付かれてベッドの中に引っ張られた。
え?なにこの状況?


「どうしたの?何があったの?俺でいいなら聴くから」


訳が判らなかったがとりあえず話を聞こうと思った。


「本当に?」


「うん」


「笑わない?」


「もちろん」


「………あのね……………」


Side out














篠ノ之道場


「おや、千冬ちゃん、一夏くんはどうしたんだい?」


「一夏は今、束の所に行かせています。
勝手なことをしてしまってすいません」


「ふむ、確かにそれは勝手な事だな。
だがそれは束が泣きながら帰って来た事に関係があるんだろう?」


「はい」


「何があったのかね?箒から束が泣きながら帰って来たとは聞いたが、それも今聞いたばかりでな」


「実は………」


Side out














私達は今年の春に六年生になった。
つまりはもうすぐ小学校を卒業するのだ。


そうなると多少は将来の事を考えなければならない。


というか学校が無理矢理考えさせるのだ。
早い話『将来の夢』なんて言う作文を書かされたのだ。


まぁ今回の作文の内容は将来の夢もしくは中学校で頑張りたいことだったのだが。


私は将来の夢なんてものはまだ無かったので中学校に入ったら剣道部に入りたいと書いた。


そして束は私の唯一の友人は、六時間目の陽の当たる教室の中ではっきりと明確に自分の夢を語った。


「……私は、今ある方法とは別の方法で宇宙にいきたいです……………
ロケットやスペースシャトルではなく、もちろん今現在計画されている宇宙エレベーターでもない方法で…………
私は宇宙にいきたいです……………………」


束の夢は宇宙に行きたいという物だったそれも『宇宙飛行士になりたい』というありふれたものではなく、自分の力で行きたいという物だった。


私は束ほど頭は良くない、しかし私にできることがあるなら手伝いたいと思った。


だが、それを笑う奴が居た。


ソイツはいつも成績が二番だった。
一番は言わなくても判るだろう、そう、束だ。


ソイツは束が居たからいつも成績が二番だった。
いや、違うな、束が悪いんじゃない、もっと努力しなかったソイツが悪いんだ。


ソイツはここぞとばかりに束の夢を笑い、扱き下ろした。


私は束の方を見た、束は泣きそうになっていた、ソイツはそれを見て、また笑った。


私の中で何かが切れる音がした。


気付いたら私は席を立ってソイツの襟を掴んでいた。


そして殴ろうとした、しかし寸での所で担任教師に止められた。


その後、結局は私は殴らなかったし全面的にソイツが悪いということで私の方の説教は短くすんだ。


放課後、まだ少しグズってる束の元へ行った、すると束はこう言ったのだ。


「いっくんなら、いっくんなら絶対に解ってくれるはずなんだ、いっくんなら……」


その後は一緒に下校した、私の家と篠ノ之神社との分かれ道から自分の家まで急いで帰った。


早く、束に一夏を会わせてやるために……


Side out













篠ノ之束・私室


「………って事があったんだよ」


ふむ、それで泣いてたのか。


「束さん、僕は聖人君子でもなければアニメの主人公でもないから、貴女を励ますセリフなんて自分じゃ思い付かない。
だから僕は束さんが笑われた事に対しては『気にするな』としか言えないよ」


「でも……」


「束さんの夢は笑われたくらいで諦められる夢?」


「そんなわけ無い‼私は、私は宇宙に行く!必要な物も考えてる!
でも、でも、それでも悔しいじゃないか…」


「知ってる?飛行機を創ったライト兄弟も最初は馬鹿にされていたんだ『そんなこと出来る筈がない』ってさ。
でも彼らはそれをやってのけた。
そして彼らが創った『飛行機』は百年の歳月をかけて、やがて宇宙まで届いた。
だから、束さんの夢を理解できない有象無象の言葉なんて、無視してしまえばいいのさ。
束さんには俺が生まれ変わった人間で、前世があるって言ったよね?」


「うん」


「僕は昔からそうしてきたんだ。
前世での友人には呆れられたけど、それを表に出さなければいいんだよ」


「…有象無象……無視……」


もしかしたら、ここでこんな事を言えば、篠ノ之束という人間を歪めてしまうかもしれない。


「そう、だね、そんな奴等は、無視すれば、いい、よね……」


「ああ、そうだよ」


でも、今の俺には目の前で泣いている女の子を励ます事の方が大切だ。


「ねぇ、いっくん」


「何?束さん」


「私の夢、宇宙に行くって夢、いっくんは手伝ってくれる?」


「もちろんだよ」


「良かった、私の、私といっくんの、夢の翼、一緒に創ろう?」


「わかったよ、ところでその翼の名前は決まっているの?」


俺はその答えを知っている、それでも聞いた。


「うん、翼の名前は『無限の成層圏』、『インフィニット・ストラトス』」


「いい名前だね」


「そう………でしょ………」


泣き疲れて寝てしまったようだ、すうすうと穏やかな寝息をたてている。


きっと自身の夢を肯定してほしかったのだろう。


ところで、今の俺は束さんの抱き枕なんだが…
どうしようか、この状況?
 
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