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真田十勇士

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巻ノ百二十二 集まる豪傑達その六

「ならばな」
「はい、討ち取りましょう」
「我等が戦に出れば」
「その時は」
「そうしましょうぞ」
 所司代の役所にいる武士達も口々に言った、彼等もまた無念の中覚悟を決めていた。
 長曾我部は周りに一人また一人と多くの武士達を迎え自身も見事な具足を着けて槍を持って馬に乗ってだった。
 大坂に向かっていた、そして大坂城に入り彼の下に馳せ参じてきたその一領具足の者達に笑みを浮かべていった。
「まさに花道であったぞ」
「大坂までの道は」
「そうでありましたか」
「うむ、晴れ舞台であったわ」
 満面の笑みでの言葉だった。
「実にな」
「いえ、それはこれからです」
「殿の晴れ舞台は今からです」
「これから戦ですから」
「戦になるのですから」
 だからだとだ、彼の家臣達も笑って話した。
「まだそう言われるには早いですぞ」
「花道や晴れ舞台と言われるには」
「まだこれからです」
「これからですぞ」
「そうであるな、ではな」
 長曾我部も彼等の言葉に頷く、そしてだった。
 秀頼に拝謁し忠義を誓った、戦に勝てば土佐一国も約束された。
 後藤も大坂に入った、するとだった。彼はすぐに秀頼に見込まれて彼に晴れた顔でこう告げられた。
「何でもな」
「戦のことはですか」
「話して欲しい」
 こう後藤に言うのだった。
「余は戦を知らぬ、だからな」
「それがしでよければ」
 後藤は秀頼に畏まって応えた。
「そうさせて頂きます」
「ではな」
「戦の時はお任せ下さい」
 後藤は畏まったまま秀頼にまた述べた。
「それがしがお話出来ることなら」
「後藤殿ならです」
 今は豊臣の執権になっている大野も後藤に話した。
「是非共です」
「戦のことならですな」
「お話をして頂きたい」
 後藤を立てて言った、秀頼の隣にはいつも通り茶々がいるが彼女にも納得してもらう為にこう言ったのだ。
「それがしも是非」
「聞いてそのうえで」
「戦を決めたいです」
「そうですか、しかし」
「しかしとは」
「それがしよりもです」
 後藤は畏まっているが決して卑屈ではない態度で大野に返した。
「真田殿が来られますな」
「文を出しております」
「それならばです」
「真田殿のお言葉をですな」
「はい、是非」
 自分の言葉よりもというのだ。
「この度の戦の軍師としてです」
「お話をですか」
「されるべきです」
「真田とな」
 ここで茶々が言ってきた。
「それは確か関ヶ原でお取り潰しとなった」
「いえ、その方は去年お亡くなりになっています」
「では誰じゃ」
「ご子息の方です」
「そうした者がおったか」
「はい」
 後藤は茶々に応えた。 
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