ドリトル先生と奈良の三山
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第一幕その六
「あの山達のことも調べていくよ」
「そういうことですね」
「うん、後ね」
「後?」
「勿論美味しいものもね」
そうしたものもというのです。
「食べていくよ」
「それは忘れたら駄目ですね」
「何があってもね」
「いつも食べるものは美味しく」
「楽しむものだよ」
「その通りですね」
「若しもね」
先生は用意をしつつさらにお話しました。
「美味しいものがないとね」
「折角のフィールドワークも」
「面白さが減るよ」
「そうですよね」
「このことを知ったのはね」
それはといいますと。
「日本に来てからだね」
「このこともですね」
「うん、美味しいものを食べて楽しむ」
「日本はあらゆる場所でそれが出来るから」
「いいんだよ」
本当にというのです。
「その意味でも素晴らしい国だよ」
「そうですよね」
「うん、けれど奈良は」
「あちらはですか」
「柿の葉寿司があっても」
それでもというのです。
「それとは別にね」
「ありますか」
「何と奈良時代の料理が食べられるんだ」
「奈良時代のですか」
「そう、それがあるからね」
だからというのです。
「是非食べるよ」
「そうしますか」
「うん、だからね」
それでというのです。
「それを楽しむよ」
「そうですか」
「うん、あの時代のお酒も飲めるんだ」
「奈良時代の日本のお酒ですか」
「勿論今の日本酒とは違うよ」
「濁酒ですね」
どうしたお酒かとです、トミーは先生に言いました。
「その頃の日本のお酒は」
「あっ、わかるね」
「今の日本酒は清酒ですけれど」
澄んだお水みたいな奇麗な感じです。
「白く濁っていてですね」
「甘い感じなんだ」
「そうしたお酒ですね」
「それが奈良時代のお酒なんだ」
「そうですよね」
「あのお酒を飲むし赤いお米や黒いお米も食べて」
「昔はそうしたお米もあったんでしたね」
トミーはまた先生に応えました。
「白いお米以外に」
「そうだよ、今はお米は白いとね」
「イメージがありますけれど」
「昔は他のお米もあったんだ」
「そうでしたね」
「その赤いお米や黒いお米もね」
先生はにこりと笑ってトミーにお話しました。
「食べて来るよ」
「色々なお米があったんですね」
「かつてはね、ただ」
「ただ?」
「最近までね」
先生は少し残念そうにトミーに言うのでした。
「そうしたお米は復活いていなかったんだ」
「そうだったんですね」
「うん、日本人は何故かそうしたお米を嫌っていたのか」
赤いお米や黒いお米をです。
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