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週刊東方「結晶回廊」

作者:月の部屋
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弐「白色太陽」

 
前書き


黒い影が、不気味に笑みを浮かべた。肌寒く薄暗い空間に、賢者は静かに、しかし確実にそこに存在していた。
「……この境界の狭間から世界を、月を、星を見よ。眩く光輝くこの先に、理想郷はある。それこそが我が楽園、幻想郷」
指先で空間を切ると、そこから一筋の光が延びて賢者の瞳を照らした。
「そこへ行き着くには、あの人間の存在が必要不可欠。そう、絶対にね……何しろあの子は……」
光の先に見える青年の姿を、そのまま黙って眺めていた。
「……。……ところで、あの子達は一体何をしているのかしら?」



 

 

「なぁ、ルーミア」
声をかけると、頭上から「なにー?」という元気の良い返事が返ってきた。上を見上げると純白のパンツが黒いスカートの中で輝きを放っている。しかし当の本人は全く気にしておらず、俺も幼女趣味は無いので何も問題はない。
しかし。しかしだ。その前に一つ、不可解なことがある。
「なんで急に木登りなんか始めてんだよ」
「私が大福一つで満足すると思う?」
「幼女だし」
「幼女ゆーな。私は今ねぇ、食べ盛りなのよ?」
「幼女じゃねぇか」
しかしなんで空を飛べるなら木登りなんかしているんだろうか。そんなにパンツを見せたいのかね。
「そもそもお前って、人食い妖怪だよな。なんで果物なんか食べるんだよ」
「大福で買収した人が言うことじゃないね。人しか食べないわけないでしょ?人間なんてそうそう迷いこんだりしないんだから。猫だって草食べるよ」
「あれは毛玉吐きのためだろ」
「そーなのかー」
しばらくして、とれた!と叫んで勢いよく下へ降りてきた。さすが妖怪、自分の倍以上ある高さから飛んでも平気そうだ。
「たくさん取れたから、一つだけあげる」
「お、悪いな」
リンゴだ。この地域でリンゴは取れないはずなんだが、きっとゲンソウキョウの環境は別なのだろう。
「で、ルーミア。これからどこへ連れて行ってくれるんだ?」
「着いてからのお楽しみよ。まぁ期待してて、ガミガミうるさいけどお茶は出してくれるところだから」
森の奥には、なにかの建物がある。瓦屋根がわずかに見えるな、妖怪の休憩所か何かかな。
……あるいは幼女の溜まり場か。
「えい」
「いでっ」
「多分今、失礼なこと考えた」
「幼女の溜まり場かなと思っただけだよ」
「無礼千万!まぁ、幼女じゃないけど溜まり場ではあるよ」
こりゃ決まりだ、幼女の溜まり場だ。 
 

 
後書き
もうお分かりですね? 
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