真田十勇士
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巻ノ百十五 異端の者達その九
「当たらぬしだ」
「動きもでありんすな」
「鈍い」
「わっち等から見れば」
「どういうことはない」
その程度だというのだ。
「十二神将から見ればな」
「その通りでありんすな」
「しかし数はそれなりにいる」
氷刃は己の刀を抜いていた、刀身から水が滴り落ちそれが瞬時に氷となって地面に落ちて割れている。
「用心が必要だ」
「だから氷刃もでありんすな」
「そうだ、斬る」
こう言ってすっと前に出てだ、その動きを止めることなく。
前から来ていた伴天連の者達を次々に斬って捨てた、斬られた者は全身が瞬時に凍り砕け散る。
そのうえで刀を一閃させると氷の刃が放たれその刃を受けた者も凍り砕け散る、絡繰はその氷刃の術を見て言った。
「相変わらず見事でありんすな」
「そう言うか」
「恐るべき氷使いでありんすよ」
こう言うのだった。
「天下一の」
「だといいがな」
「そこでそうだと言わないでありんすか」
「まだ剣技が未熟だ」
その刃を手にしての言葉だ。
「だからだ」
「そうだと言わないでありんすか」
「左様、それはお主もであろう」
「決して油断するな」
今度は両手から炎を放ってだ、絡繰は敵を焼き殺しつつ応えた。
「半蔵様のお言葉でありんす」
「ならば余計にだ」
「慢心なぞせずに」
『戦うまでだ」
「そういうことでありんすな」
「ここは我等が攻める」
この場にいる三人でというのだ。
「ではいいな」
「わかったでありんすよ」
絡繰も頷いてそしてだった。三にはその場で戦い敵を引き付けていた。そしてこの場だけではなく。
雷獣、音精、双刀もだった。彼等の術で戦っていた。
音精が横笛を吹くとだった。
鎌ィ足が生じ前から来た敵達を切り裂く、そうして言った。
「ここは私に任せてくれるわね」
「うむ」
双刀は右の刀を放ち左の刀で近くの敵を両断しつつ応えた。
「その場はな」
「そしてそちらはだね」
「わしが受け持つ」
右の刀が回転しつつ戻りその飛ぶ先にいる敵を両断していく、双刀は右手でその柄を何なく受け取って言った。
「この通りな」
「いつも思うけれどよく受けられるね」
「投げた刃をか」
「戻る様に投げられてね」
「これがわしの術だからな」
「出来るっていうんだね」
「そうだ」
見ての通りにというのだ。
「わしならばな」
「簡単に言ってくれるね」
「全くです、私なぞは」
電光石火の動きで駆け回りつつだ、雷獣はその手から凄まじい稲妻を放って敵を倒していく。その動きに追いつける伴天連の者達はいない。
「雷を使えるだけで」
「それが凄いのよ」
音精はこう返した、横笛を吹いて今度はそこから出す音で敵を倒しつつ。
「私は音とか風を使うだけだよ」
「複雑な動きで」
「あんた達程じゃないさ」
その攻撃はというのだ。
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