真田十勇士
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巻ノ百十五 異端の者達その八
「私はそなた達が戦い敵を引き寄せている間にだ」
「単身乗り込まれ」
「そして、ですね」
「手掛かりを得る」
「そうお考えですね」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「だからだ、いいな」
「はい、わかりました」
「それならです」
「今から入り込みましょう」
「全員で」
「それではな」
こう言ってだ、そのうえでだった。
全員でだ、屋敷を囲みそうしてだった。入り込もうとするが。
早速だった、屋敷の外に来た時点でだ。敵は言葉もなく攻めてきた。
鉄砲が放たれた、十二神将達はその鉄砲をかわしつつ言った。
「いきなりか」
「問答無用で撃って来るとは」
「我等も気配を消していなかったとはいえ」
「いきなりとはな」
「随分手荒な者達だ」
「全く以てな」
「さて、鉄砲だけではないでありんすよ」
絡繰は楽し気に笑って言った。
「これは」
「確かな」
絡繰りの隣にいる氷刃も言った。
「いきなりとはな」
「しかもだ」
剛力もいう。
「それだけではない」
「出て来たでありんすよ」
絡繰の言葉と共にだった。
異形の者達が出て来た、その彼等は。
妖しい感じでだ、絡繰はこうも言った。
「この連中でありんすな」
「伴天連だな」
氷刃も言う。
「間違いなく」
「そうでありんすな」
「妖術を使うか」
「さて、その妖術はどうしたものか」
剛力は彼等を見据えていた。
「見せてもらうか」
「そうするとしよう、そして」
「今からだ」
「楽しむでありんすよ」
こう言ってだ、三人はそれぞれだった。
その伴天連の者達に向かった、異形の南蛮人達は炎や氷を出し体術も使ってそのうえでだった。
彼等に襲い掛かるがだ。
絡繰その両手から無数の糸を出した、その糸がだ。
南蛮人達に絡みつき縛り上げる、首を絞めて次々と屠り。
その死ぬ様を見てだ、こう言うのだった。
「守りは弱いでありんすな」
「術が強くともか」
「そうでありんすよ」
その拳とそこから繰り出す気で敵を次々に吹き飛ばす剛力に言う。
「この連中は」
「妖しげな術でもか」
「当たれば痛いでありましょうが」
しかしというのだ。
「当たらなければどうということはなく」
「守りはか」
「この通りでありんすよ」
簡単に絡め取り縛り殺せるというのだ。
「簡単にでありんす」
「それはいいことだな」
「それは剛力もでありんすな」
「確かにな。この者達の術は奇抜だが」
拳一撃で吹き飛ばし壁にめり込ませて絶命させている。
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