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ドリトル先生と春の花達

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第七幕その六

「よくね」
「それじゃあ和歌会もですか」
「今日のことをですね」
「活かされてそして」
「詠われますか」
「そうするよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しませてもらうよ」
「和歌もですか」
「それじゃあですね」
「和歌会の時は満開の桜を前にして」
「それで詠われますか」
「そうさせてもらうよ、まだ寒いけれどね」 
 雪は今は止んでいます、ですが先程まで降っていて積もってもいます。そうした状況だからやっぱり寒いです。
「桜はいつもの頃に咲いて欲しいね」
「遅れるとやっぱり」
「残念ですからね」
「いつも通り咲いて欲しいですね」
「今年も」
「そう思うよ、何か今年は春になっても寒いしね」
 三月も寒いですしこの四月もです。
「だからね」
「もっと暖かくなって欲しいですよね」
「今は本当に寒くて困ります」
「雪まで降って」
「景色はいいですけれど」
「奇麗で和歌にも詠えるだろうけれど」
 それでもとです、また言う先生でした。
「どうもね」
「景色はいいですけれど何とかですね」
「暖かくなって欲しいですね」
「そしてそのうえで、ですね」
「桜もですね」
「咲いて欲しいよ」
 先生は学生さん達にも心から言いました、そのうえでお昼御飯を食べてそうしてなのでした。
 また研究室に戻ってそうして論文を書くのですが。
 その先生にです、動物の皆が声をかけてきました。
「さっきのお話はよかったね」
「僕達も聞いていて勉強になったよ」
「いや、雅だね」
「日本のそうしたことって」
「戦の前にも和歌を詠ったりして」
「そして恋だけでもないんだね」
「和歌は広い世界だね」
 先生はあらためて和歌の在り方を思うのでした。
「そして様々な時に謡われるんだね」
「辞世の句っていうと」
 ポリネシアが先生に言ってきました。
「時代劇でもあるよね」
「忠臣蔵とかね」
 ダブダブはこのお話を思い出しました。
「浅野内匠頭さんが詠ったりして」
「他にも辞世の句を残してる人がいて」
 今度はホワイティが言います。
「それは和歌なんだよね」
「その自省の句も奇麗だね」
「そうよね」
 チープサイドの家族もお話します。
「悲しいけれどそこに想いもあって」
「季節まで詠ったりしてね」
「最期は潔く美しく散る」
 チーチーはまず武士道を思いました。
「だからかな」
「武士道だけじゃないかもね」
「お坊さんやお公家さんも辞世の句は悲しいけれど奇麗だね」
 オシツオサレツは二つの頭で考えて言います。
「日本人が詠う和歌による辞世の句ってね」
「そんなのだよね」
「桜だね」
 トートーはこのお花を思うのでした、これから咲いて欲しいと皆が願うこのお花を。
「悲しいけれど奇麗な最期って」
「あっ、確かにそうだね」
 ガブガブはトートーの言葉に頷きました。
「それって桜だね」
「だから和歌も桜をよく詠うんだね」
 ジップはこう思いました。 
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