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Blue Sea 『空と海の境界線』

作者:03-Moonlight
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Operation 02-発令、ファーバンティ解放作戦-
取り戻す為に
  Mission20「空を見上げて、そして守れ」

0700 ノースポイント ニューフィールド島第2鎮守府執務室

 艦隊帰還後、損傷している大鳳の修復が始まった。そしてデータについて調べた。奇妙な航路、目的地に対してのルートが遠すぎる。それに伴う護衛戦力も同じだ。

「どうしたんですか?」
「……すまん、エルジア側が管理している鎮守府のデータ、くれないか?」
「勿論okです」
 そう言うと吹雪はいくつかのデータを自分のデスクで調べ、それを印刷する。最近の艦隊についても含めてだ。そしてそれを軽くチェックした後自分へと渡す。そこから情報をくまなく、正確にチェックした。

 にしても、奇妙な話だ。目的がさっぱり分からないのだ。わざわざウィッチ1人と艦娘をつけた護衛にしては、所詮「捨て艦」をしたようにも思える。よく考えれば大鳳もあのウィッチもよく持ちこたえたものだ。


 それを考えながら、そっと数時間前のことを思い出す。これまた頭を悩ませることだ。




0530 帰投途中

「……基地から通信、……はい……え?」
 吹雪が通信を受けて顔色が変わる。間違いなく何かあっただろう。

「司令官、恐らくウィッチを思われる反応が3、基地上空に」
「何故だ?レーダー類のチェックについては?」
「それも問題なかったみたいで、更にもう1つ判明したことが――――――







 残骸らしき部分から見つかったストライカーユニット『デュナメス』が起動しました」


 既に想像を超えることだ。
 いや、そもそも鎮守府にストライカーユニットを起動できる者は居ないはず。その法則が崩れたとなれば、艦娘もストライカーユニットを起動できるという事なのだろうか。畜生、今日は本当に夢でも見てるのか?という冗談を抱きながら通信の内容を把握する。

 まあそれを置きにして、誰がいるかどうかを確かめたい。
 そうしなければ何も始まらないからだ。


「急いで基地に戻れ」
 と艦隊に通達し、ストライカーユニット起動者の可能性を持つ人を頭の中で探し始めた。




0540 セントアーク

「大丈夫そう、ですわね」
 熊野の艦娘とのリンクシステムを利用して、セレンは照月の安否を確認した。

 理由はセレンからの強い圧力、という単純な理由。熊野も、あんな行動起こして心配にならない方がおかしいと思わない方がおかしいだろう。
 確認しただけではなく通信もつなげろと言われ熊野はつなげようとしたが、あいにく照月側が切っていてつながらなかった結果、熊野は何故かリンクシステムで声を聞こうとしてみたが、結局聞こえなかったのは本当の話。


「熊野」
「え?」

「お前は照月のことをどう思う」
 セレンは熊野に問いかける。熊野は少し困った表情をしたが、少ししてすぐに答えた。

「私は、照月さんは私たちと違った何かを持ってるのですよ。それは、照月さんにしか分からない事ですわ」
 そう答えると熊野は艦橋を後にした。

 熊野の艦橋にひとり残るセレンは、沖合に照月を強制移転しようと念じ、目を瞑っていた。





0540 ノースポイント ニューフィールド島第2鎮守府 上空

「なあ、瑞鶴!」
 シャーリーが唐突に話しかける。
「何ですか?いきなり」
「空を、見上げてみろ」

 シャーリーに促されるまま瑞鶴は機体を上昇させながら空を見上げる。
 何か温かくまぶしい午前5時の夜明けを眺めながらも、そのまま見上げ続ける。

「瑞鶴、この空が無限に続くことが、どれだけ素晴らしいかわかるか?」
 唐突なシャーリーの質問に困る瑞鶴。困ったまま瑞鶴は必死に考えて答える。

「え?……わからない、です」

「私の世界じゃ、故郷もその空ですら奪われた人たちがたくさんいる。そして、ウィッチですらそれを経験する人は数多いさ」
 シャーリーが瑞鶴の隣に並んで飛行する。

 そして、シャーリーは再び口を開いた。
「何が正しいか分からず戦う人も多い。だが瑞鶴は、それがわかる。そして、守りたいという気持ちがある。だから、いつでも守り続けられる」

 その言葉に瑞鶴は何がなんなのか分からなかった。
「確かにこの世界も私たちのいた世界と似ている。だけど、切り拓く未来を見据えて戦えるのだから、瑞鶴は強い」

 瑞鶴は、確かにその言葉を理解した。今までは当たり前だったものが、ここまで大切にも思えることにも。

「さ、戻ろうか」
 シャーリーは瑞鶴の手を引いてゆっくりと基地に戻る進路に変えた。



 その時、瑞鶴にはある夢が映っていた。







「誰……ですか……?」
 私はどこか分からない空間の中にいる、一人の男に話しかける。

「俺は………ニール・ディランディ。ま、ちょっと説明した程度じゃわからないかもしれないが」

 その男、ニール・ディランディは瑞鶴に向けて、軽い説明をした。

「俺は、デュナメスに触った時のお前の意思を持って、お前に俺の思いを託した。姿見はガンダムでなくとも、お前の意思ははっきりと、な」

 瑞鶴はもっと聞こうとしたが、その時一瞬でその空間が崩壊した。
 まるで、この話はまた今度、というように。












「――――――い、おーい!瑞鶴!」
 シャーリーの通信で瑞鶴は夢から醒める。気づいたら上昇し続けてたようだ。すぐに機体を立て直して降下に入る。

(何なのよ、この機体は……)

 瑞鶴は夢の中に出てきた人のことで頭がいっぱいだった。

 それが故に直後、空に現れたリネット・ビショップの胸部装甲に顔面から突っ込んで接触事故を起こしかけたのは本当の話。





0740 ノースポイント ニューフィールド島第2鎮守府執務室

「……何か分かりましたか?」
 吹雪は先ほどから手を当てている俺に話しかける。
「精々、捨て艦しようとしたところか。まあいい、またやらなければならない事が増えたそうだ」


 そういいながら瑞鶴含める5人の方へ視線を向ける。











 どう考えてもピリピリしているような気がしてならないところで、一人物見事に立って寝ていたが。 
 

 
後書き
ようやっと書き終わりました。
まだ導入なので本格的なのはもう少し先です。あと残りの501メンバーをここで全員出します。

残りの2人は……もう分かるよね? 
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