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詩集「棘」

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いつか見た夢を手放さなければ



黄昏に霞みゆく街並み
秋風に揺れる梢に惑い
人は明かりを灯して歩く…

どうしてこんなにも切ない…
ため息は藍に溶けてく
頽れた枯れし尾花に
自分の姿を垣間見た…

いつか見た夢を手放さなければ
今も君と過ごせたのかな…?
宵に落つ微かな恋は
諦め切れない僕の罪…


振り向いても君のいない道
棚引く雲のその上に光る
淋しさを降らせる夕月夜…

いらないと分かっているのに…
縋るように愛している
ふと舞い落ちる紅葉は
誰に咎められるでもなく…

いつか見た夢を手放さなければ
君を抱きしめられたのかな…?
秋の描いた長い影は
罪の重さを量るようで…


遠く離れた故郷よりも…
なお遠く離れた君…
名前を呼んでも…
もう…振り返ってもくれないよね…

いつか見た夢を手放さなければ
未来(アシタ)の君に出会えたのかな…?
力なく項垂れる日々…
消えて逝くように眠るだけ…

いつか見た夢を手放さなければ
今日の君と過ごせたのかな…?
宵に落つ幽かな恋は
諦め切れない僕の罪…



 
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