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真田十勇士

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巻ノ百二 百地三太夫その十三

「可愛い、しかし竹千代も我が子でじゃ」
「しかもご嫡男です」
「だからですな」
「次の将軍は竹千代様ですな」
「あの方ですな」
「それは変わらぬ」 
 決してというののだ。
「父上もそう言われておるな」
「はい、大御所様も決めておられます」
「跡継ぎは竹千代様とです」
「まだはっきり言われていませぬが」
「その様にです」
「しかも乳母もよい」
 秀忠は竹千代の育て役である女のことも話した。
「あれがおる限り竹千代は大丈夫じゃ」
「ですな、あの方ですと」
「安心していいですな」
「うむ、それに多くの者達が竹千代がいいと言っておる」
 幕府の中でともというのだ。
「だから竹千代で決まりじゃ」
「跡継ぎはですな」
「あの方にされますな」
「その様にされますか」
「うむ、奥もこのことはわかっておる」
 跡継ぎのことはというのだ。
「竹千代にすべきということはな」
「そうですな、奥方様もです」
「確かに国松様を可愛がっておられますが」
「それでもです」
「そのことはご承知です」
「ならばですな」
「竹千代様で決まりですな」
「変わる筈がない」
 竹千代が秀忠の次の将軍であることはというのだ。
「それはな、しかし国松はわしの息子の一人」
「では然るべき立場にされますか」
「その様にされますな」
「元服されたら」
「その時はですな」
「そうじゃ、そうする」
 まさにというのだ。
「国松も大名、それも駿河にでもな」
「あの国をお任せしますか」
「国松様には」
「そうされますか」
「うむ、竹千代が将軍でじゃ」
 そしてというのだ。
「国松は然るべき家の大名としてな」
「竹千代様、幕府をお助けする」
「そうした立場にですな」
「そうなって頂けますな」
「そうする」
 国松についてはというのだ。
「そしてな」
「はい、それでは」
「そうされますか」
「駿河をお任せし」
「竹千代様、幕府を助けて頂きますな」
「そうした風にしていこう」
 こう言うのだった、そしてだった。
 秀忠は幕府のこれからも見据えてしっかりとした政を行っていた。幕府は次第に盤石になってきていた。


巻ノ百二   完


               2017・4・8 
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