魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
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第10話 もう一人の転生者
前書き
第10話です
ではどうぞ~
レンと散歩をしてのんびり過ごして、そのまま家に帰ろうとした矢先……
「どうしてこうなった……」
目の前には日本刀のデバイスを持った、栗色の髪男子。こっちに敵意を向けている。
「行くぞ転生者!お前がこの世界を乱すのなら、俺が潰してやる!」
や……俺どころか、お前もイレギュラーなんだけどね。
はてさて、なんでこんな事になったのか、それは数時間前に遡る。
今日は特に鍛錬をする予定もないので、前回の話の後に午後から街を散歩することにした。ちなみにレンは擬人化している。この場合、レンは俺より大きいからどうやら俺達は姉弟に見えるみたいだ。似ているかは別として。
「マスター、行き先は決めておられるのですか?」
「ん~……これと言って無いけど、とりあえず公園とか色んな場所を回ろうか。レンも道覚えた方が楽だろ?」
「では、参りましょう」
そんなわけで、道案内て散歩コース拡大ということに。
あとは気まぐれにブラブラ歩く事にした。
「マスター、離れると危険ですのでお手を」
「む…わかった」
子供扱いされたくはないが、今はレンの方が年上に見えるからな。そうしておこう。
???side
「あいつ……一体誰だ?」
俺は数メートル先を歩く2人組を見ている。1人は紫色の髪をした美少女、もう1人は黒髪の俺と同年代の男子だ。
「転生したはいいが……なのはの家から知らないキャラは出てくるし、かと思ったらそいつは家族ぐるみで仲がいいとか……なんなんだ、あいつ……」
『フム……あの少年に関してだが、確かに原作での存在は確認されていない。だが、彼から感じる魔力はあまり高くない』
「なら、イレギュラーか?元々俺もイレギュラーだから、ないとは言えないけど……」
『どうだろうな?隣の少女からは何やら魔力が感じられるが、少年と大きな大差はない。実際に聞いてみるのが早いだろう』
「そうかよ……けど、もし転生者だと面倒だな。少し眠らせるか」
『やれやれ……女性を傷つけるのはあまり感心できないぞ、マスター』
「なら少し手伝え、スパーダ」
悠里side
「……ん?」
今の感じ……まさか魔導師か?
「レン」
「はい、私も感じ取りました。対象は1人のようですが」
「かと言って、今騒ぐのはマズいな。今は流して様子を見よう」
「わかりました」
俺とレンはそのまま過ごすことにした。相手は少し距離を取って追跡してきた。俺達は気付かれないようにいつも通りに過ごした。
それから特に何も相手は動くことなく数時間が過ぎた。
日が傾き始め周囲が暗くなり、俺とレンは帰路に就く。相手はそれを追跡してきた。
「レン、すぐそこの路地に入ろう。相手が仕掛けてくるならそこだろう」
「イエス、マスター」
俺とレンはすぐ近くの路地に曲がった時、追跡者の気配が一気に近づいて、殺気と共に日本刀が鞘ごと殴ってきた。
???side
バシィィィィィン!!
路地に入った直後、俺は奴に一気に接近してスパーダを鞘ごと叩きつけた。これで相手は気絶した筈だ。
「……いきなり後ろから闇討ちか?随分と卑怯だな?」
「なっ!?」
相手は腕で鞘をガードし、こちらを睨んできた。
「せやッ!」
「ぐ…!?」
相手はスパーダを弾くと、蹴りを放つ。俺はスパーダの一撃を確信していたため、その蹴りを食らって距離をとった。
「立てよ。お前には聞きたいことが山ほどあるんだ」
「が……は…!」
なんだコイツ……ただ蹴られただけで何で息が苦しい!?
「マスター、反応がありました。この者も転生者です」
……『も』?この者もって言ったか?そうか、ならこいつは……!
悠里side
「うぉぉぉぉ!!」
「っ!?」
相手は激昂して日本刀を横薙ぎに振った。俺は後ろに飛んで避ける。相手は立ち上がりながらこっちを睨んできた。
「そうか……お前、転生者だな……?なのはに近づいてハーレムでも作るつもりなんだろ?」
「……は?」
オイオイ、なんでそうなる?っていうか、俺がなんでハーレムなんて面倒な事しないといけない?
「お前みたいな奴がいるから、可笑しくなるんだ……そんな事、させるか……」
「おい、ちょっと……」
「させるものかぁぁぁぁぁ!!」
「聞く耳ねぇぇぇぇ!?」
以上、ここから冒頭に戻る。
戦うしかないなら、やることは一つ!
「来い、レン!」
「イエス、マスター!」
レンがデバイス形態になり左腕に巻きつく。だが、俺にバリアジャケットは展開されることはなかった。
「テメェ、なんの真似だ?なんでバリアジャケットを展開しない!?」
「悪いが、俺のデバイスはそういう仕様でね。大丈夫。負ける気しねぇから」
「舐めんじゃねぇぇぇぇ!!」
相手はこちらへ鞘に刀を納めた状態で突進してきた。しかし、怒ってるためかその動きは単調で予測するのは容易い。
「ウラァッ!」
「ふっ!」
抜刀からの一撃、走り込んでからの一撃だから威力こそ大きいが、当たらなければどうということはない!
(抜刀からの攻撃と言うことは……コイツは抜刀術の使い手か)
だが、スピードが遅いから対処出来ないわけじゃない。
俺は冷静にその攻撃を交わして距離を取る。相手は鞘に再び日本刀を納めて攻撃の態勢を作る。
少しの溜めから再び抜刀し、俺へと切りかかる。けどさ……
「動きが単純過ぎる。初見で見破れれば、そんなの無意味だ」
「クソがっ!」
相手は忌々しそうに俺を睨む。思い通りに運ばないことに苛立っているみたいだな。
「畜生が……!なんで俺の『居合い』が通じない……!?」
「………は?」
……今、『居合い』って言ったか?……いやいやいや、居合いじゃねぇよ?お前のは明らかに抜刀術だろ。
(マスター、この者もしや……)
(あぁ、さっきの攻撃といい今の発言といい……こいつ、『ド素人』だな……)
予想はできていたけど、流石にここまで出来ないのは予想外だった。実際こんなものかもしれないが、素人相手にあんまり戦いたくはないんだよね。
……かと言って見逃してくれそうにないし、流石に逃げる理由も無いしな。
(……レン、俺が技を使ったと同時にスタンでアイツを気絶させてくれ)
(仰せのままに)
レンに指示を送ってから、俺は構えをとる。
相手が殺しにかかってくる以上、この一撃は相手に悟られないことが一番重要になる。
決めるなら確実に、この一撃に掛けるしかない。
「とっとと来いよ。面倒だから、さっさと決めてやる」
「上等だっ!!」
『落ち着けマスター!奴の思うツボだぞ!!』
アイツのデバイスが宥めるが、耳に入っていないようだ。アイツは忠告を無視して突進してきた。
「オメーの敗因は3つだ」
俺は相手に聞こえるか分からないくらいの声で言った。
「1つ、居合いと抜刀術の違いを理解せずに挑んできたこと」
相手は俺へ再び突進し、勢いをつける。それにより抜刀時の威力を上げるためだ。やがて射程圏に入ると、その刃が煌めき、刀が軌跡を描く。
「2つ、抜刀してから一撃目を外してからの動作を考えていない。そんなんじゃ、外してから狙ってくれって言ってるようなものだ」
俺は相手の横への一閃を刀を持った右へ避けて、相手の右肩を押す。
「なっ……!?」
案の定、相手は態勢を崩して前のめりになる。なんとか態勢を立て直してから、次の一撃を加えるためにまた刀を納めようとするが、
「そして3つ目」
だが、俺はその隙を見逃す事無く距離を詰める。
右手を引いて、無駄な力を抜いて構える。
「相手の力量を測らずに挑んだこと……そして、それが俺だったことだ」
放つのは、川神流の基礎にしてありふれた一撃。しかし、長い年月の鍛錬と研究の末に必殺技へと昇華させた技。
「川神流……」
故に『必殺』、必ず相手を打ち倒すその技は……
「無双正拳突き!!!」
見た目は力を込めた只の正拳突き。しかし、前世では武神である川神百代、その祖父、川神鉄心に師範代のルー師範代や釈迦堂さんが使用した、技の基本にして完成系だ。
放った正拳突きは相手の鳩尾へと吸い込まれ、相手に直撃する。更に、レンを通して電流が流れ、拳の衝撃と電流がヤツの体を駆け巡った。
「っ……!」
ダァァァァァァン!!
相手はそのまま近くの壁に叩きつけられる。やがて相手は力尽きるように倒れた。体には紫電が走っており、数秒間の間、痙攣していた。
「……やり過ぎたか?」
『問題ありません。仕掛けてきたのはあちらです』
「そうだけどな……」
『マスター、如何しますか?理由があるとはいえ、突然襲って来ましたが』
そう、そこが少し問題だよな。また襲って来ると厄介だし……
『もし、始末することを考えるならば、今しかないかと』
「始末、ねぇ……」
『待て』
レンと相談していると、相手の刀が発光を始めた。それはレンと同じように光はやがて強くなり、辺りを包んだ。
光が治まると、目の前には赤と黒を基調とした褐色の肌をした白髪の男が立っていた。
(こっちはFate/stay nightのアーチャーかよ……)
「すまないが、これ以上私のマスターへの危害は加えないで欲しい」
『そちらから攻撃しておいて、何を今更』
「それについては私が謝罪する。それで済まされるとは思ってはいないが……どうか、頼む。この通りだ」
そう言ってアーチャー似のデバイスは頭を下げた。
……まぁ、一応聞きたいことがあるし……
「……いいだろう。これ以上の攻撃はしないと約束しよう」
『マスター!?本気なのですか?』
「実際、聞きたいことは山ほどある。それを聞き出さないとな」
『ですが、また襲ってくる可能性もあります。何より、それではマスターにまた危険が「レン」……!』
「レン、お前の言い分はわかる。大丈夫だ。また襲ってきたなら、次は容赦しないから、遠慮なく斬るよ」
『……わかりました』
「ん……あと、心配ありがとうな。レン」
『いえ……当然の事です』
レンの心遣いに感謝して、俺はアーチャーへと向き直る。
「おい、今言った通り俺はお前達とこれ以上戦ったりはする気はない。……ただし、1つ条件がある」
「……なにか?」
「そいつに話を聞きたい。もとい、俺はハーレムとかには興味は無い。それに、神さまからの仕事もあるからな。直接聞いて見極めたい」
「……それでマスターの安全を保障してくれるのだな?」
「今回は保障しよう。だが、もし今後敵対するのならその時は容赦しない」
「承知した。心遣い、感謝する」
アーチャーはまた俺に向けて一礼をする。とりあえず、この場で倒れていると面倒だからな。一度、俺の家へと移動することにした。
後書き
第10話でした。
次回は対話がメインになります
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