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真田十勇士

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巻ノ九十三 極意その十二

「わしならばな」
「ですな、父上なら」
「それが出来る」
 大野達と違いというのだ。
「わしならな」
「では大坂の方に」
「時が来ればじゃな」
「そうされますか」
「そう思っておるわ、御主よりずっとじゃ」
 強く、というのだ。
「今もな」
「やはりそうですか」
「だからわしは御主達よりもな」
「卑しいとですか」
「自分で思っておる、御主達はわしとは違う」
 ここでだ、昌幸は笑って幸村に話した。
「そのよき心は忘れるな」
「何があってもですな」
「御主達の宝じゃかたな」
「だからこそですか」
「忘れずそしてじゃ」
「これからもですか」
「生きるのじゃ、しかし何かあれば」
 その時はというのだ。
「死力を尽くせ、そして大助もじゃ」
「我が子も」
「無事に育てよ」
「はい、必ずや」
「しかし御主達は甘い」
 昌幸は笑ってだ、幸村のこのことも指摘した。
「厳しいことはわしがしよう」
「そうして頂けますか」
「御主は厳しいことは出来ぬ」
 だからだというのだ。
「そこはわしがしよう」
「申し訳ありませぬ」
「よい、御主もやっと出来た男の子じゃ」
「どうもです」
「御主はな」
「男の子宝には恵まれず」
「そうであったな」
 昌幸もこのことは知っている。
「ようやくであるからな」
「はい、ですから余計にです」
 幸村の元の気質もあるがというのだ。
「可愛がってしまって」
「甘くなるな」
「それがしは」
「そうじゃな、しかしな」
「厳しいことはですか」
「わしがする」
 また幸村に話した。
「だから任せよ」
「それでは」
「子はどちらも知ってこそじゃ」
「甘いものも厳しいものも」
「それでこそよくなる」
「そう言われていますな」
「だから御主達はそれでよい」
 甘くともというのだ。
「それが出来ぬからな」
「そして厳しくはですか」
「わしがするわ」
「お願いします」
「その様にな、それで十勇士達じゃが」 
 この者達の話をさらにした。 
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