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ハルケギニアの電気工事

作者:東風
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第02話:おめでとう!!3歳です!

 
前書き
半月毎に更新予定です。
少しずつですが修正を入れています。
楽しんでくれたいいなと思います。 

 
 やっほ~!転生に成功した板東太郎です。

 話しの都合上、一気に3歳まで飛びました。
 生まれてから3歳までの間は普通に赤ちゃんやってましたから、特に話すこともないのですが、記憶を封印して貰って良かった。あのまま46歳の記憶があったら、あの羞恥プレーは乗り切れなかったでしょう。今思い出しても恥ずかしくなります。

 さて、神様と約束した3歳になって、生まれ変わる前の記憶が開放された訳だけど、2~3日は記憶が戻ったショックで頭痛がひどいし、熱も出るしで大変でしたよ。
まあ、46年分の記憶が一度に戻るんだから当たり前かもしれないけど、あまり頭が痛いので泣いていたら母上が魔法で痛みを止めてくれました。
 突然の事だったので、母上も自分の治癒魔法だけでは難しいと判断したのか高名な水のメイジを呼んだりして、一次は家中大騒ぎになったそうです。

 ここで、現在解っている状況をお知らせします。
 僕が生まれ変わった場所は予定通り『ゼロ魔』の世界。
3年間の間に周りにいた両親やメイドの会話から判ったことは、我が家はゲルマニアのツェルプストー辺境伯の北隣に位置するらしい。と言うことは、トリステインのヴァリエール公爵領とも国境を接するお隣さんということになる訳です。こりゃ、嫌でも原作介入パターンになりそうで、もう鬱になります。
 家はボンバード伯爵という原作では聞いた事のない中堅の貴族で、父上はジョン・ストンロック・フォン・ボンバード、31歳の土のスクエア。なかなかのハンサムで、身長185サント、金髪、碧眼です。
錬金やゴーレム作りが得意で、30メールもあるゴーレムを作ることも出来ます。
母上はソフィア・エメロード・フォン・ボンバード。20歳で水のトライアングル。綺麗な人で身長165サント、濃い茶髪に空色の瞳で、癒しの魔法が得意です。
水の秘薬作りでも有名でたいていの病気ならすぐに直してしまいます。今のところ母方の旧姓が判らないのでどんな親戚がいるのか判断できませんが、、見た目も若々しく、とても子持ちに見えない両親です。

 僕はこの家の長男として生まれ、名前はアルバート・クリス・フォン・ボンバードと付けられました。少し赤みのかかった金髪と濃い緑の瞳です。両親に愛され、健康に育つことも出来たし、何より自分で見ても結構な2枚目だと思います。
 下には1歳になるかわいい妹、メアリー・アルメニア・フォン・ボンバードが生まれています。この子は母親似で茶髪と空色の瞳をしています。将来はきっと美人になるでしょう。
 現在この家には、僕たち4人家族と屋敷で働いている執事さんとメイドさん(10人)が住んでいます。

 生まれた時期は予定通り原作主人公達の生まれる10年前。それから3年たったので現在は7年前になるわけですね。
 たしかキュルケはルイズより2歳年上のはずだから後5年もすればお隣さんで生まれることになるのかな?
 この辺の原作知識がはっきりしないのだけど、ラ・ヴァリエール公爵の所のエレオノールさんはもう生まれているころでしょうか?原作開始時でたしか27歳だったと思うから、時期的には1歳位になるかな?
 ラ・ヴァリエール公爵の所には、まず行くことはないと思うけど、万一行く機会があったら確認してみようかと思います。

 この領地は中堅貴族の領地と言っても結構裕福なようで、隣のツェルプストー辺境伯とも家族ぐるみの親交があるようです(まだキュルケは生まれていませんよ)。その上、何と皇帝からの信頼も厚いそうですが、いったい何をしてきたんでしょうね。謎です。
 領民に対しても一般的な貴族よりまともな扱いをしていて、税率も5割以下とかなり低く領民からは一応の敬愛を受けているとか。何しろ一般的な貴族の領地では税率8割から9割何て所もあったようですから、領民も良く生きていられましたよね。
 元々我が家は両親揃って魔法を用いての技術的開発を行ってきて、今までに色々な発明によって皇帝から賞賛を受けると共に、発明品の商品化等によってそれなりの収入があるので領民の税を引き下げることが出来たと言う経緯があるらしいです。

 母上達のおかげでようやく頭痛もおさまり、記憶の整理も出来た所でおかしな事に気がつきました。
なにやら、自分の周りに変なものが見えるのです。
他の人たちには見えないようで、僕の周りを透き通った姿でふわふわ飛び回っているのに全然気がついていません。頭痛も収まったばかりでこんな事を言い出したら、何て思われるか解ったものではないので黙っている事にしましたが、あれはいったい何なのでしょう?こちらに危害を加えるような事はなさそうなので、あまり気にしなくても良いようですが。

 考えても仕方ないので頭を切り換えて、これから先のことを考えたいと思います。
 まず、魔法についてですが、我が家の家訓では最低5歳を過ぎるまで魔法の練習を始められないそうです。残念ですがまだ2年はありますね。
 もっとも神様から貰った武器や鎧なんかは現在でも使えるはずなので(体格的には合わないでしょうが。)、そんなに焦る必要もないと思います。それでも機会があれば近いうちに『王の財宝』の中を確認しておこうと思っています。

 つぎに領地の方ですが、両親は結構領地経営も上手いようで、そこそこ開発されているようです。最も現代社会で育った私から見ればまだまだ手を入れるところがいっぱいあります。
なんと言っても電気がない。これは我慢できませんから、大きくなって行動の自由が得られたら父上に提案して開発などしたいと思います。

 あまり目立つとろくな事にならないと思いますから、出来るだけ表に出ないような方法を考えて裏方に徹するのが一番なのでしょう。
 原作通りに歴史が動いていくとすれば、主人公達が魔法学校に入学するあたりからどんどん物騒な方向に進んでいくはずですから、それまでに家族や領民を守れるような力を付けておきたいです。本当は原作への介入はしたくないんですけど、万が一の場合、あっちの方からくる事も考えておかないと、間に合いませんでしたなんて事にもなりかねないから、準備は必要だと思います。ちょっとでも失敗すればそく死亡フラグが立つので危なくて仕方ないですから。

 さて、まだ魔法の練習はさせて貰えないので、今は、ひたすら魔法書を読んでいます。
 文字は2歳くらいから両親にしつこくお願いして教えて貰えるようになりました。
おかげである程度読めるようになっていたのですが、転生前の記憶が戻ったとたんに全部の字が読めるようになりました。チートで嬉しいのですが、あの勉強の日々は何だったのでしょうか。
字が読めるようになったのを良い事に、片っ端から読みまくっていたら、早々に屋敷の書庫にある易しい魔法書はすべて読み終えてしまったので、今度は書棚の高いところにあるやたら難しい本を取って貰うために執事さんにお願いしています。執事さん、最初は吃驚していたな。
 多分その後で執事さんから話を聞いたのでしょう。本を読むことに夢中になっていて気付かないうちに、いつの間にか正面の椅子に母上が座っていてあきれたように僕を見つめていました。

「アルバート。本当に本が好きなのね。すごい集中力で読んでいたわ。でも、本が好きなのは良いことだけど、いつもいつも本ばっかり読んでいてお母様はつまらないの。それにしても、いったい、いつの間にそんな難しい本が読めるようになったの?」

「母上?申し訳ありません、全然気づきませんでした。何時いらしたのですか?
文字はこの前のひどい頭痛が治った後、なぜか簡単に読めるようになりました。屋敷の書庫はためになる良い本がいっぱい有るのでもう嬉しくって仕方有りません。魔法の練習が出来るようになるまでに全部読めればいいのですが。」

「全部って、私でも書庫にある本を全部なんて読んでいないのよ。大体それじゃお母様と遊ぶ時間が無くなってしまうわ。つまらないわよ。
もう、何でいきなり字が読めるようになったのかしら?頭痛の後でなんて、痛みで頭がどうかした?それとも、まさかと思うけど変な事に目覚めたとか?」

 終わりの方はほとんど聞き取れないような小さな声でしたが、回りが静かなのでしっかり聞こえていました。

「さあ~?それは私にも判りません。というか、頭がどうかしたなんて酷いと思うのですが?それに遊ぶ時間って、母上にはいつも遊んで頂いていると思うのですが。
大体僕よりもメアリーの方を構ってあげないといけないのではないですか?」

「そんなこと無いわ。メアリーもちゃんと構っているわよ。でもまだ1歳なんだもの、やっぱりアルバートの方が弄った時の反応が面白いじゃない。お母様はもっともっと遊びたいわ。」

 そんなことを言って少し涙目になっています。困った母上ですね。でも騙されませんよ。

「弄るってなんですか?僕は母上のおもちゃですか?勘弁してください。」

「あら、だめだった?」

 ほら、もう笑っているんですから、あなたは子供ですか?

「でも、まあ良いわ。お父様とも少し話してみますが、魔法の練習を始めるのも早めた方が良いかもしれないわね。」

「魔法の練習が出来るのなら嬉しいです。早く魔法を習いたかったのですよ。」

「解ったわ。それじゃ今夜の夕食後にお父様にお話ししますからそのつもりでいてね。
それから、あまり本ばかり読んでいないで、子供なのだから外に出て遊ばないとダメよ。体力作りも大切なのだから。
お母様も寂しいわ。それから、もう少し子供らしい話し方出来ない?」

「はい。解りました。出来るだけ外で遊ぶようにします。でも、話し方は直りそうにありませんので許してください。」

 しかし、外で遊べっていっても近所に遊べるような歳の子供なんていないし、この時代公園も遊園地もないので、外で出来る事なんて基本は散歩とか乗馬とかしか無いんだよね。
3歳児では乗馬はちょっと無理があるし、散歩もただ歩くだけではあまり面白くない。まして母上のおもちゃは勘弁して欲しいです。

 と言うわけで、読書の合間に自分なりの1日のスケジュールを考えてみました。
 朝起きたらジョギング。これは短い距離から初めて、少しずつ距離を伸ばしていきましょう。やっぱり体力作りは走ることからですよね。
 朝食後は魔法の練習と魔法関係の座学。これは父上の許可が下りたらですが、午前中はお勉強の時間でしょう。
 午後は体力作り。柔軟やって、腕立て位でいいですね。最後はやっぱりジョギングで締めにします。
 夕食後は読書タイム。これは欠かせません。
 3歳児にしては少々ハードすぎるかな?まあ出来るところからやっていって身体を作りましょう。無理をして逆に成長を阻害してはいけませんから。
本格的なトレーニングはもっと大きくなってからですね。
 (しかし、自衛隊生活が長かったからどうしても一般的な自衛官のトレーニングになっているような気がします。)

 そうこうしているうちに夕食の時間となりました。
 我が家の食堂はそれほど大きくなく、アットホームな雰囲気で落ち着いて食事が出来るところです。
 原作知識にある魔法学院の食堂や、ラ・ヴァリエール公爵の所の食堂なんかでは、現代日本に生きてきた僕のような一般市民にはとても落ち着いて食事なんて出来ませんからね。
 一通り食事も終わり、食後のティータイムとなったところで、母上から昼間の話が出ました。

「あなた、今日の午後に執事のスミス(初めてでましたが執事さんの名前です。)が私の所にきてね、アルバートがとても難しい魔法書を読んでいるって教えてくれたの。それで書庫に見に行ったら、私が来たことにも気付かないくらい夢中になって分厚い魔法書を読んでいるのよ。もう驚いちゃった。
何でも、頭痛が治まってからいきなり読めるようになったらしいんだけど、なんでなのかしらね。」

「なに~?アルバート、どういうことなんだい?」

「はい、父上。以前、私がひどい頭痛になって母上達に直していただいた後、それまで良く解らなかった文字がすらすら読めるようになったのです。
試しに書庫にある本をスミスさんに取って貰って読んでみたのですが、今のところすべての本の文字が読めました。
その上、読んだだけでほとんどの内容を覚える事もできています。これなら魔法の練習を始める前に本に載っている呪文は全部覚える事ができそうです。」

「良く判らないけれど、そう言うことなので、特例になるけどアルバートの魔法の訓練を始めようと思うのよ。どうかしら。
私がみたところ、アルバートは3歳とは思えない考え方と精神力があるようだし、魔法を覚えてもいたずらに使うような事はないと思うわ。」

「いや、しかし家訓を変えるのは問題じゃないか?というより、書庫の本がどれも読めて、全部覚えられるって?あの本の中には私でも読めない本が有ったんだぞ?」

「まあまあ。すごいじゃない、アルバート。お母さん、驚いちゃったわ。
ねえ、あなた、家訓も大事だけど今回の事は特別だと思うのよ。アルバートにはきっと何かがあるわ。
だから早めに対応した方が良いような気がするのよ。お願い、私を信じて認めてちょうだい。」

「………。解った。ソフィアの感がそう言うのなら、きっと何かがあるのだろう。それでは明日から早速訓練をアルバートの魔法の練習を開始する。
突然の話だから専門の先生を用意する暇がない。だから初めは私たちが教えよう。できるだけ早く先生を見つけるから、それまで私たちがおまえの先生だ。いいな、アルバート。」

「父上、母上ありがとうございます。僕頑張りますので、よろしくお願いします。」

 こうして、なし崩し的に僕の魔法訓練が始まった。 
 

 
後書き
次回は6月末の予定です。
定期的にアップできるように頑張ります。 
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