ハルケギニアの電気工事
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第01話:私は何処?此処は誰?
前書き
プロローグに続いて、第01話を投稿しておきます。
後は追々。
6/5 一部修正しました。
窓から見える景色は、どう見てもさっきまで見えていた真冬の雪景色とは違っていた。
「………えっと?雪がない?何か何時も見えるより木が多くなったような。というか、此処はいったいどこの森だ!?」
現代日本の風景では富士の樹海か白神山地若しくは知床岬の森とか?それ位に見える樹の数。
樹の種類も杉や松のような見慣れた針葉樹には見えない。
それどころか見た事もない樹ばかりで、木の実がたくさん採れそうな綺麗な広葉樹が鬱そうとした森を形成している。
何がなにやら判らないまま、衝撃にふらつく頭を我慢しつつ起き上がった。
窓に近づいて思いっきり窓を開けてみる。
本当なら外からは凍てつくような冷気が吹き込んでくるはずだったが、次の瞬間、外からは聞いた事のない鳴き声が聞こえ、色々なにおいが鼻に飛び込んできた。
「栗鼠とかウサギとかいっぱいいそうだな。これだけの森なら狐とか鹿もいるだろう。
じゃなくて!!どうみても日本じゃないぞ?狐や狸どころか、もしかして熊とか出るんじゃないか?」
異常な状況に陥っているのは、感じとしては解るのだ。しかし、頭の方が働かなくて、どうしたら良いのかさっぱり解らない。
こんな状況にいきなりおかれた人間が出来る事など、たかが知れている。
一気にパニックを起こしそうになった時、いきなり後から頭を叩かれた。
「いって~!!?」
頭を押さえた俺が涙目になりながら後を振り向くと、そこにはどっかで見たことのあるような白髪、白髭、そのうえ白い着物といった老人が変にねじ曲がった杖を持って立っていた。
「爺さん!いきなり何すんだよ!!そんな杖で人の頭を叩いたのか?何考えてんだ!?痛いんだぞ!だいたい、いったいどっから入ってきたんだ?」
「誰が爺さんだ。誰が! 全く礼儀を知らん人間だな。」
「何が礼儀だ。初対面で後からいきなり人の頭を叩くような爺さんの方がよっぽど礼儀知らずだろうが!」
「爺さん、爺さんとうるさいわ!わしゃ神様だ!頭が高いわ。下がりおろ~!!」
「はあ!?何おかしな事を言ってるんだ?おい爺さん、あんたは水○黄門様か?それなら助さんや角さんはどこに行った?それともパチンコにでもはまってるのか?大体神様だ?どう考えてもおかしいだろう?
まったく、どこの病院から逃げてきたのか知らないけど、今お迎え(救急車)呼んでやるから大人しくしてろよ。(まだ、春は遠いのに可哀想に………。しかしどこから入ってきたんだ?警備の人間は何やってんだか)」
「返す返すも失礼な男よの。この儂を捕まえて頭がおかしいというのか?これだから最近の若いもんは」
「ちょっとまて。最近の若いもんはって、俺はもう46だぞ?若いって言われる歳じゃね~わ!!」
「何を言っておるのか。わしら神から見ればおまえのようなものは皆洟垂れ小僧と同じじゃ!ハッハッハッ」
まじめに頭が痛くなってきた。いったい俺が何をしたと言うんだ?もう、溜息しか出てこない。
「ハ~~。解った。良いだろう、今一あんたが神様って言うのは納得いかないが、話を聞いてやろうじゃないか。」
「なんか、偉そうじゃな。まあ、いいわい。早速じゃが今の状況を説明してやろう。板東太郎よ。おまえは既に死んでいる。」
此処は突っ込んでも良いかな?
「なに?今度は北斗○拳?TVアニメに詳しいというのは判ってやろう。しかし、少しはまじめに話をしようって気にならないか?」
「ばかめ、至ってまじめに話しをしておるわ。先ほど、おまえが気を失う前にあたりが光ったろ?あれは極小型の隕石が落ちてきたものじゃ。そしてドンピシャリでおまえのいた、この事務所に命中したというわけじゃよ。どうじゃ、なかなかの命中率じゃろ。」
「命中率って、まさかあんた狙ってやった訳じゃないだろうな?」
「狙った訳じゃないが、間違って隕石を落としたのは儂じゃ。ちょっと火星と木星の間にある小惑星帯で微惑星の並び方を直していたら、肘が側の微惑星に当たってな。そのままヒューストーンというわけじゃ。まあ、許せ。」
「許せって、それが本当なら、そんな簡単に言われて許せるか?大体それで死にましたなんて俺の寿命は?神様が間違って殺したら、現世における因果律とかどうなるの?おかしいでしょ?あんたも神様なら適当なこと言ってないで何とかしろ。俺には妻も子もいるんだぞ!!」
「何とかしろと言ってもな、実際問題としておまえの身体は極小型隕石の衝突エネルギーで原子レベルまで消滅してしまったし、今頃おまえの居たところにはクレーターが出来ていて、大騒ぎになっているわ。
まあ、間違って殺してしまったのだから儂に責任もあるでの、どうじゃ、おまえの家族についてはこの先生活に不自由しないように神様として幸運を授けよう。おまえについては、この今居る世界で生きていけるように新しい身体と地位を作ってやるから、それで勘弁しろ。」
「本当か?家族に与えられる幸運ってどんなんだ?」
「まず、健康じゃな。どうも、おまえの家族はみんなどこかしら病を抱えているようじゃから、その辺の所を全部直して健康な状態にして、おまけに今後は病気にならないようにしてやろう。
それから、当面の生活のためにおまえが入っていた生命保険をグレードアップしてやる。
これで生活も大丈夫じゃろ。
ついでにこれから先、おまえの妻が買う宝くじなんかも良く当たるようにしてやる。こんなもんでどうじゃ?」
「まあ、それ位して貰えば、安心か。俺自身は死んじまった以上どうとでもなるとして、………仕方ないか。ところでいくつか聞きたいことがあるんだが良いか?」
「なんじゃ?」
「まず、なんで神様が微惑星の並びなんて直していたんだ?微惑星って言ったらアステロイドベルト辺りだろ?あんな遠くにある微惑星の事でそんなことをする必要性が判らないんだが?」
「いや~。ちょっとこの前他の神様達と宴会やったんだが、調子に乗って宴会芸で賭けをしての。儂最下位じゃった。その罰ゲームみたいなもんじゃよ。
元々地球に落下しそうな微惑星があったので、このままじゃまずいと言うことになって誰かが軌道の修正に行かなければならなかったんだが、あそこは暗くて寒いから行きたがる神様なぞいなくての。結局くじ運が悪かったということじゃな。」
「神様がそんなことをやっているのか?大体くじ運の悪い神様って信じて良いのか?神頼みも考え物だな。
本当にいい加減なのか、真面目なのかさっぱり判らんが、まあ仕方ないか。それでは、次の質問だが、ここってどんな世界だ?この世界で生まれ変わって暮らす以上、最低限の知識は貰えるんだろうな?」
「もちろんじゃ。まず、この世界はおまえも良く知っている『ゼロ魔』の世界じゃ。現在地はアルビオン王国のサウスゴーダ近郊、ウェストウッドの森と言えば判るじゃろ。」
「なっ、なぜ俺が『ゼロ魔』を知っていると?」
「おまえの愛読書くらいはお見通しじゃ。おまえの記憶も確認済みじゃからの。今も鞄の中に何冊か入っているのじゃろ。いい歳をして、おまえも好き者よの。」
「どっかの悪代官様じゃあるまいに、ラノベ読むくらいで好き者呼ばわりはないんじゃないか?大体俺は『涼宮ハ○ヒ』も大好きだぞ。」
「あっちの世界に行かせても良かったんじゃが、こちらの方が波瀾万丈で面白そうじゃからな。」
確かに波瀾万丈と言えばそうだろうな。しかし、こっちは戦争もあるし、貴族と平民では生活面で苦労が違いすぎるから、うかうかするとすぐにあの世行きだろう。
「大体の話はわかった。つまり、俺は良くある二次小説の転生とかになるわけだな?」
「そうじゃ。一応貴族として転生させるつもりじゃが。何か希望があれば出来る限りかなえよう。」
「良いのか?それなら、貴族になれるのなら魔法の能力か。『ゼロ魔』の世界だと魔法のクラスは土のスクエアと水のトライアングル位は最低でも欲しいところだな。
ついでに魔法を開発する能力と身につけている物なら何でも媒体に出来ること。あと魔力無尽蔵。これ位か。
あっ、そうだFFⅩの召還魔法とかDQの攻撃系や回復系の魔法も使ってみたいのだが。」
「思いっきり大きく出たな。まあ良い、どれも5歳くらいから使えるようにしてやろう。
しかしFFXやDQの魔法はいきなり出来るようになっても怪しすぎるじゃろ?そちらは10歳以上に限定するぞ。」
「10歳以上?う~ん、まあ良いか。使えるのなら問題無い。それからあまり、メインキャラクターに絡みたくないんだが、どの年代に転生するんだ?」
「『ルイズ』たちの生まれる10年前を考えているが、どちらにしろ生きていく上でどこかで出会うと思うぞ。その辺は諦めるんじゃな。」
「そうなのか?ちょっと嫌だな。あいつらと絡むとますます死亡フラグが立ちやすくなるんだが。
それなら武器関係も強化が必要だな。俺が生きていた世界での武器は持ち込んでも良いのか?」
「『場違いな工芸品』として認めさせることも出来るからある程度なら良いぞ。」
「では、64式小銃1丁。弾薬は魔法で無限に製造できるようにしてくれ。弾倉は10個もあれば良い。
それから、手榴弾100個、銃剣1振り、9㎜拳銃1丁と弾は小銃と同じで無限で、弾帯とホルスター、手入れ道具一式。
あとは、剣と防具だな。エクスカリバーとDQに出てくる、着て歩いているだけで体力の回復する魔法の鎧が有れば良いな。
これ全部に予め固定化の魔法を掛けておいて、ついでに『王の財宝』もくれ。さすがにこれだけの量を持ち歩くのは大変だからな。」
「なんじゃそりゃ?剣と防具はこの世界なら判るが、なんで自衛隊の武器まで出てくるんじゃ?ああっそういえばおまえは元自衛官じゃったな。やはり昔から使っていた武器の方が使いやすいか?」
「そう言うこと。だいたい『ゼロ魔』の世界で魔法だけで生きていくなんて無理が有りすぎる。剣にしても学生時代に授業で習った剣道や、自衛隊時代の銃剣道程度だからな。
それでも頑張って訓練すれば何とかなるだろう。ところで今の記憶は持って行っていいんだろうな?記憶をなくしたら全く意味がないからな。」
「ああ勿論じゃ、ただし、3歳までは封印状態にしておくぞ。赤子に戻って下の世話をされるのはさすがに嫌じゃろうからな。まあ、持ち物については良いじゃろ。この際じゃ、好きな物を持って行くが良い。」
「ありがとう!ところで、この事務所はどうするんだ?」
「いや、まあ、はずみで一緒に来てしまったんじゃが、どうすりゃいいかの?」
「それなら、このままここに置いておこう。神様の力で廻りに結界張って、俺以外に見えないし入れないようにしておいてくれ。
この事務所内にある物は色々と使えるから、全部固定化の魔法を掛けて欲しい。いつか俺がここに来れるようになったら、絶対必要になると思うからな。」
「そうか、じゃ、まあそう言うことにしておいてやろう。これで良いかな?」
「ああ!これで充分だ。」
「それでは、転生と行くか。目を閉じて10数えよ。」
「よし。1,2,3…………」
「やれやれ、やっと行ったか。まあ、適当に頑張るんじゃぞ。おまえの運もそれなりに強いようじゃから多分大丈夫じゃろ。気が向いたら見に行ってみるか。」
後には、疲れたような、楽しいような自称神様が一人残された。
後書き
一応、見直しを掛けてから投稿していますが、それなりに誤字等はあると思います。
また、辻褄が合わない事も多々あるかと思いますが、気がついたら修正しますので、大目に見て下さい。
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