飛べない揚羽蝶
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第三章
けれどだ、何処か抜けたところがあってだ。失言することもあって私は今は注意した。
「言わない方がいいわ」
「わかりました」
「まあ今はね」
「今は?」
「修行ってこと?」
「習い事は」
「ええ、そうじゃないの?」
こう彼女に言った。
「かく言う私もあんた程じゃないけれどね」
「お勉強に励まれてますね」
「英語ね、特に」
実は英語の翻訳家になりたい、それを目指して勉強をしている。それにさらにだった。
「やってるわね」
「そうですね」
「まあ部活は楽しみでやってるけれど」
陸上部の方はだ。
「長距離走ね」
「そちらはですね」
「楽しみでやってるの」
こう彼女に言った。
「まあ大会もね」
「出るには」
「やっぱり毎日走ってね」
そしてだ。
「そうしないとね」
「出られないですね」
「そうしたものだしやっぱりね」
「習い事等は」
「しないとね」
そうしていないとだ。
「何かになれないでしょ」
「だから自由もですね」
「うん、それはね」
本当にだ。
「やっぱり努力っていうかね」
「そうですか」
「そう、ただね」
「ただ?」
「一つ思うことは」
それはだった。
「まあ出来るだけ思わないっていうか」
「我慢するのでもなく」
「自由が欲しいとかそうしたことは考えないで」
どうにもわからないところがあってもだ、私もどう言っていいかわからず考えつつ彼女に話した。
「趣味に専念してね」
「趣味に?」
「そう、生きてね」
そうしてというのだ。
「そういう気持ちを紛らわせてたら?」
「では声優さんの追っかけに」
「あれっ、あんたまさか」
「アニメも嫌いではないですが」
それと共にというのだ。
「声優さんが好きで」
「声優マニアだったの」
「マニアといいますか好きです」
「それがマニアなんじゃ」
「好きですから」
その違いがどうかわからない、好きとマニアのそれは。
「東京の方のイベントに行くのもグッズを集めるのも」
「していくのね」
「南條愛乃さんの」
「あれっ、あんた」
声優さんのことは知らないけれど明らかに女の人の名前だ、私はそのことからすぐに彼女に言った。
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