| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

0037話『北方水姫討伐編成と油断』

 
前書き
更新します。 

 


長門に一時的に鎮守府の権利を譲り渡すことによって私と榛名は北方水姫討伐編成へと組み込まれることになる。
そして執務室にその編成のための艦娘達が集結する。

第二艦隊の旗艦は相変わらず阿武隈に務めてもらう事にしてある。
そして那智、木曾、北上、霞、そして最後に今回初めてこの作戦に使うヴェールヌイを入れた。

そして第一艦隊の編成の旗艦は私。
そこに大和、武蔵、アイオワの超パワー持ちの三名を入れる。
最後に千歳、千代田を入れる。

この二隊を組んで水上打撃部隊を組んでもらう。
まさに決戦部隊だ。

「提督…この大和と武蔵をイベントで初めて使ってくださるのですね。この大和、精一杯頑張らせていただきます」
「そうだな大和。私もイベントでは初舞台だ。気分が舞い上がってきたぞ」

大和と武蔵が初めて暴れられるのか喜んでいるように見える。
ごめんなぁ。いつも出すまでもなくて…。

「司令官…。どうして今回は私を使用するんだい?」
「うん。その事なんだけどきっとヴェールヌイには特攻がついていると思うんだ」

ヴェールヌイの発言に私はそう返す。
根拠はあるわけじゃないけど今回のボスは…、北方水姫はおそらく最後の報酬艦であるГангут(ガングート)に縁がある深海棲艦なんだと思う。
それでもしかしたらロシア艦として活躍したヴェールヌイにもあの長門達が活躍したクロスロード組による超火力のような事があるのかもしれないから。

「そうか…。わかった」

それで納得をしたわけじゃないんだろうけどヴェールヌイはそれで素直に言うことを聞いてくれた。

「Oh, yeah! アドミラル、私に任せておきなさい! しっかりと守ってあげるからネ!」

アイオワがそう言って強気の笑みを浮かべて私の手を握ってくれた。
握った瞬間にアイオワは少し驚いた顔をしながらも、

「やっぱりネ…。アドミラルの手はとても今力が入ってイマス。緊張しているのネ…」
「気付いたか…抜けているようでやっぱり目利きがいいな、アイオワは」
「Oh, yes! アドミラルの事ならなんとなく分かるワ。だって私達のアドミラルなんだからネ」

そのアイオワの発言に続くようにみんなが口々に私の事を守ると言ってくれているのでありがたいと思いながらも、

「さて、ありがとうみんな。それじゃこの編成で最後の敵…北方水姫を倒しに行こう。
足手まといになるかもしれないけど私も頑張らせてもらうよ」
「「「了解」」」

それで長門に鎮守府の守りを任せて私達は戦場へと向かって出撃した。












…オホーツク海に近づいていく内に分かった事なんだけど、分かっていたとはいえ、

「なんだろう…。やっぱり海が赤く染まっているんだな」

真っ赤な海にはさすがに驚きを隠せない私がその場にいた。
そこに阿武隈が近寄ってきて、

「提督は赤く染まった海は初めて見るんでしたね。
そうです。海が赤いという事は今は深海棲艦が海を荒らしているという証なんです」
「そうなのか…」

海の上を滑りながらも阿武隈の言った内容に少し考えさせられる。
通常海域も深部に至っては赤く染まっている。
そこにはかならずなにかしらの鬼、姫級の深海棲艦が根城を構えている。
それを倒すのが私達提督と艦娘の役目…。
だけど、

「分かっているとはいえ深海棲艦とは分かり合えないものなのかな…」
「しょうがないですよ。艦娘と人類…そして深海棲艦は今までずっと倒す倒されるを繰り返してきたんですから。
戦争と割り切るのも悲しいですが、人類が生き抜くためには深海棲艦を倒さないといけないんです」

阿武隈のそのドライな発言に、だけど私は無理やり納得するしかなかった。
こちらが説得をしようとしても深海棲艦は問答無用で襲い掛かってくるんだから。
そこに北上が割り込んできて、

「まー提督気楽に行こうよ。この世界で戦っていくっていうのはつまりそう言う事なんだから、今からそんなに気を張りつめていると先が持たないよ…?」
「そうだな…」

北上の言う事は確かな事だ。
今、迷いを起こしても結局は作戦を成功させるためには深海棲艦を倒さないといけない。
いい加減覚悟を決めて挑まないと足元をすくわれてしまいかねない。

「わかった。私も覚悟を決めよう」
《提督…。辛かったらすぐに言ってくださいね? 榛名、役立ちますから》
「ありがとう、榛名。もう大丈夫だ」

っと、そこに索敵を出していた千歳が近づいてきて、

「提督? そろそろ作戦海域に近づきます。潜水艦には気を付けてくださいね?」
「わかった」

今回はもう出し惜しみもしないで挑んである。
道中支援艦隊と決戦支援艦隊も出してあるし、基地航空隊も万全で今頃出番が来るまで待機しているだろう。
後は戦うだけだ。
そこに第二艦隊からソナーの知らせがあったらしく霞が声を上げる。

「司令官! 潜水艦よ! 陣形を決めて!!」
「わかった。全艦、第一警戒航行序列で挑んでくれ」
「「「了解!」」」

それで戦いの火蓋は切って落とされたのだった。









それからなんとか潜水艦の攻撃を切り抜けてみんなはダメージもほとんどなく戦闘を終えられた。
潜水艦の深海棲艦の私達を倒しきれずに虚しい声が聞こえてくるようで嫌な感じだった。
やっぱり水上打撃部隊だと潜水艦の攻撃にはめっぽう弱いからなんとか全員避けてくれるのを祈るばかりだからな。
それから続いて空襲戦が起こったがそれも対空機銃関連と千歳、千代田が頑張ってくれて切り抜けられた。
そして、

「提督! 敵深海棲艦のお出ましだ! いくぞ!!」
「わかった! 全艦、第四警戒航行序列で陣形を組んで迎え撃つぞ!」

そして敵深海棲艦の部隊と交戦を始める。
そんな事を繰り返しながらもなんとか初の試みで北方水姫がいるであろうエリアまで迫ってきていた。

「…提督。この先にボスがいます。お覚悟を…」
「分かっているさ、大和。全艦、第四警戒航行序列の陣形で挑むぞ!」
「「「了解」」」

そしてついに邂逅する北方水姫。

「コノワタシト…ヤルトイフノカ………! オモシロヒ!」

そこには少し目のやり場に困る格好をしている北方水姫の姿があった。
それでも裏腹に伝わってくる威圧感が私の肌をビリビリと撫でる。
これが姫の威厳か…ッ!

《提督…あまり見つめすぎないでくださいね?》
「わ、わかっている…」

榛名に少しジト目でそう言われながらも、私達は戦闘に突入する。

「戦艦大和! 押してまいる!!」
「いくぞぉ! 武蔵、突撃だ!!」
「さぁ、私の火力見せてあげるわ…Open fire!」

戦艦三人が次々と深海棲艦にダメージを与えていく中、

「(大丈夫だ…ここまで来たんだからもう後戻りはできない…)」

胸の動悸を必死に抑えながらも、

「榛名、妖精さん…やるぞ!」
《はい! 提督のお役に立ちます!》
【やりましょうか】

それで私は全砲塔を構えて砲撃をした。
それは重巡を沈めたようで「やった!」とガッツポーズをした次の瞬間だった。
誰かの「提督ッ!」という叫ぶ声が聞こえてきたのは、

「えっ…?」

気付けば目の前に砲弾が迫ってきていたのだ。
それは重巡に攻撃をして一度目を離した瞬間に北方水姫が私に向けて放ったものだった。

「嘘……」
《提督! 避けてください!!》

榛名の叫ぶ声が聞こえてくるが時遅く私は直撃を食らってしまった…。

 
 

 
後書き
最後に不穏な終わり方をしました。
次回に続きます。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧