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マイ「艦これ」(みほちん)

作者:白飛騨
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第57話<北上の告白>

 
前書き
舞鶴と北上の喧嘩の仲裁に入る司令。しかし自分を恨んでいると思った艦娘からは意外な答えが。
 

 
「今さら舞鶴に戻る気もないから」

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マイ「艦これ」「みほちん」
:第57話<北上の告白>(改)
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 正直、私も声はかけ辛い。だがこの際、結果はどうでも良い。
この鎮守府の責任者として、このままでは、いろいろマズい予感がするわけだ。

とにかく苦手だが二人の間に割って入ろう。意を決した私は声をかけた。

「二人とも、そのくらいにしてくれないか」
 私の声が埠頭にエコーした。

 こちらを見た北上は、その大きな瞳をさらに見開いた。
「あ!」

私の出現で明らかに動揺して少し引いているようだな。申し訳ない。

 でも私は海の上に居る彼女に向かって叫んだ。
「私の勝手な思い込みかもしれないが……」

暗くてよく分からないけど構わず続ける。
「過去のわだかまりがあるなら素直に詫びよう。でも二人とも、この場は収拾して欲しい!」

 脇の方に居る舞鶴も多分、苦虫を潰したような難しい顔をしていることだろう。

海の上では少し驚いたような表情を残したまま北上が答える。
「いや、別に……」

 そうこの声。少し動揺しているが北上と会話をするのは何年ぶりだろうか。大きな瞳で水面(みなも)を見つめながら呼吸を整えて少し間を置いている彼女。
月明りを映している、あの眼差(まなざ)しは以前と変わらないな。

 大きく息を吐いて前に垂れた長い三つ編みの髪を肩の後ろに払った北上は言った。
「司令、アタシさぁ」

少しだけ表情が明るくなってる。
「もう、そんな前のことは気にして無いンだけど」

顔を上げて、こちらを見つめた彼女は意外な言葉を発した。

「え?」
一瞬で拍子抜けした。

「そ、そうなのか?」
 さっき引いてたように感じたのは違うのか? 

でも確かに海上の北上は明らかにさっきまでとは態度が変わってる。
「……ほら、舞鶴で大井っちが沈んだこと」

彼女は言葉を選ぶようにしてポツポツと語り始めた。
「アタシが気に病んでいるとかサ、みんな勝手に決め付けてンだよね。そんなンじゃない、違うんだナ」

 北上は暗い海上で、ゆっくりと回転している。私もだいぶ月明かりに目が慣れてきた。海上に居る彼女の黒い髪と大きな瞳が何となく見分けられるようになってきた。

「そりゃアタシも最初は、ちょっと混乱してさ。申し訳ないけど司令を恨んでみたこともあった」
 そう言いながらチラッとこちらを見詰めた彼女。そら来た、やっぱり。そこは私も胸が痛い。

「済まん」
呟くように私も言う。それが聞こえたのか北上は軽く頷いたようだ。

「でも……」
 彼女は海の上で静止した。三つ編みにした長い髪の毛だけが勢いを残して少しだけ回った。

「もう、良いんだ」
北上の黒い髪の毛が月明かりに鈍く反射している。

「艦娘である以上はさ」
彼女は再び微笑んで私の方を見た。

「そこは受け入れなきゃね」
 ゆるやかな風に彼女の前髪がチラチラなびいて、さすがにドキッとした。

 舞鶴がずっと何か言いたそうだけど結局は言い切れないらしい。何か彼の怨念みたいなオーラをチクチク感じるんだが。

 それには構わず北上は腕を後ろに組んだまま海の上で水面(みなも)を蹴るような仕草をしている。
「だからさぁ、司令にはもう何とも思ってないンだ」

彼女は今度は舞鶴の方を見た。
「あとゴメンネ。やっぱ今さら舞鶴に戻る気もないから」
 
「え?」
「なに?」
 私と舞鶴は思わず同時に返事をしていた。

それは……どゆこと? そんな話があったの?

 私は思わず、舞鶴のほうを見てしまった。

「それは……」
舞鶴は私と海の両方を見ながら、しどろもどろになっている。

 もし明るければ真っ赤になった彼が拝めたことだろう。あいつは作戦参謀としてはソコソコ優秀な男だけど。艦娘の心までは、まだ操縦する腕はないらしい。……いや、それは私も同じか。

 でも北上の大らかな性格は、ちっとも変わっていない。いや、むしろ彼女なりに、たくさんの哀しみを越えて来たからこそ今の成長した艦娘としての北上自身があるのだろう。そんな北上と、この地で再会できたことは素直に嬉しく思った。

 今夜の君と出会えたことで私もまた一つの哀しみを越えられるかも知れない。
『ありがとう北上』

 私は心の中で呟いた。
 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
 
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