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Three Roses

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第三十七話 一つになってその一

                 第三十七話  一つになって
 マリーの婚礼の日が決まった、マリーはそのことを王に話した。
 王はまだ少年だ、もっと言えば幼子からようやくそう言っていい年齢になった。その王に話すとだった。王はこう言った。
「わかりました」
「それでは」
「はい、幸せになって下さい」
 摂政であり自身の後見人である彼女に言ったのだった。
「これから」
「有り難うございます」
「式には私もです」 
 王である彼もというのだ。
「出席させて頂きます」
「そうして頂けますか」
「そしてです」 
 王は年齢の割にしっかりとした口調で話していった。
「お祝いをです」
「そちらもですか」
「させて頂きます」
「まことに有り難いことです」
「当然のことです」
 王ははっきりと答えた。
「そのことは」
「当然ですか」
「王女は王家の方、それにです」
 王はさらに言った。
「摂政なのですから」
「この国の」
「はい、私を支えてくれる方です」
 もっと言えば実質的に国政を担っている、摂政とは王に代わり国政を司る者だからだ。それだけの重職なのだ。
「ですから」
「そうして頂けるのですね」
「そうです、ではです」
「はい、式には」
「出席させて頂きます、それでなのですが」
 王はマリーにあらためて問うた。
「紋章ですが」
「はい、王家のですね」
「あらためるのですね」
「そう考えています」
 マリーは王に厳かに答えた。
「国のあり方を考えて」
「それが為にですね」
「今の我が国の紋章は獅子です」
 この獣をだ、飾っているのだ。
「この国の象徴でもあるその獣ですが」
「それをですね」
「薔薇にしたいのです」
「薔薇ですか」
「はい、紅薔薇にです」
 マリーはまずはこの薔薇を挙げた。
「白薔薇、黄薔薇を」
「その三色は」
「はい、紅は私です」 
 マリー自身だというのだ。
「白はセーラ王女、黄色はマリア王女です」
「そうですね、お三方はそれぞれの薔薇を象徴とされていますね」
「はい、そこにです」 
 マリーは王にさらに述べた。
「黒薔薇も入れたいのです」
「黒薔薇もですか」
「はい、その薔薇も」
「黒薔薇といえば」
 王はその薔薇のこともわかった、それでマリーにも答えた。
「マイラ王女の」
「はい、お姉様のです」
「あの方の薔薇でしたね」
「お姉様の薔薇も含めて」
「四つの薔薇をですか」
「紫の薔薇を支える様な」
「そうした紋章にですね」
 王はマリーに問うた。 
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