『八神はやて』は舞い降りた
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第6章 『八神はやて』
第51話 ハヤテのごとく!
前書き
・これでこの章は最後です。
・コカビエルさん大歓喜からの紫おばさん大活躍です。
「何か分かった? ユーノくん」
「うーん、それがまったくわからないんだ……けど」
ショートボブにした栗色の髪に、ネコ型の髪飾りをつけた少女が、無限書庫の司書長を務める少年ユーノ・スクライアに尋ねる。
だが、ユーノからの返答は、芳しくなかった。
カリムから依頼を受けた彼女は、真っ先に知己のあるこの少年に調査を依頼したのだ。調査結果を受け難しい顔をしている彼女こそ、時空管理局で提督になったばかりのハヤテ・Y・グレアム一佐である。
「けど?」
「ここからは僕の推測で、突拍子もない話になるけど、それでもいいなら聞く?」
「もちろん、構わへんよ。いまはほんの少しでも情報が欲しいからなあ」
「うん、預言の詩にあったうち「夜空」「雲」「騎士」。この3つのキーワードに関係のありそうなロストロギアを一つだけ見つけたんだ」
「なんや。大手柄やんか」
期待を裏切らず優秀な友人に、感謝する。だが、「まったくわからない」というのはなぜなのか。
疑問符が浮かんでいたのだろう。それを見て取ったユーノが説明を続ける。
突拍子もなさすぎて、まだ推測にすぎないからと、前置きを忘れない。
「落ち着いて聞いて欲しい。『夜天の書』というロストロギアに心当たりはあるかい?」
「いや、初めて聞くかな」
「『夜天の書』は、どうも――『闇の書』の前身らしいんだ」
「なんやて!?」
落ち着くようにと、再度ユーノは促す。その一方で、無理もないと思う。史上最悪と呼ばれたロストロギア『闇の書』と、ハヤテは無関係ではないのだから。
落ち着いた頃を見計らって、詳しい説明を続ける。もともとは『夜天の書』と呼ばれる資料収集用の魔道書だったこと。所有者に改造されることで、いつのころからか破壊をまき散らす『闇の書』に成り果てたこと。
雲と騎士は『雲の騎士』ヴォルケンリッターを指すのであろうと。
「――と、いうわけなんだ」
なるべく簡潔に。感情をこめないように説明をし終える。目の前のハヤテの表情をうかがうと、思ったよりも冷静なようだ。取り乱すのではないかと危惧していたが、杞憂に終わった。
そう思って胸をなでおろそうとして、
「その話……私以外の誰かにした?」
――唐突に、両肩をつかまれた。
かなりの力が入っており、怖いくらい真剣な表情をしたハヤテの顔が、ユーノの目前にあった。
声も、先ほどと打って変わって、詰問するような響きがある。ハヤテの豹変に驚きつつ、話すのは彼女が初めてだと、告げた。
調査もユーノ個人で行っており、他に知るものはいない、とも。
「ふーん。今の話は、秘密にしておいて。対策は私の方でやっておくから。誰にも話さないこと」
「え?まって、ハヤテ。もしかしたら『闇の書』が再来するかもしれないんだ。管理局全体で取り組まないと、だから――」
「だから――なに?」
言葉をつづけようとして、口をつぐむ。微笑を浮かべる少女に、気おされて、それ以上何もいえなかった。口調も変わっており、何より、目が全く笑っていなかった。
「『闇の書』事件は、私のお義父さんが解決済み。『夜天の書』なんて誰も知らない。そうよね?」
「そう、だよ。だからこそ、早めに万全の対策が――」
「もう一度言うけれど、対策なら私がやっておくから、安心して。貴方は、黙って私に任せればいい。そうよね、ユーノ?」
「え、でも――」
「ユーノ、貴方とはこれからも、いい『お友達』でいたいの。あまり私を失望させないで」
なおも反駁しようとするが、できなかった。ハヤテが発する膨大な魔力と殺気が、ユーノを締め上げる。
彼にできることは、黙って彼女に従うことだけだった。
「『闇の書』を解決する英雄は、ギル・グレアムだけでいい。もう一度くるなら、今度こそ私とお義父さんで、引導を渡せばいいだけ」
帰り際に、独り言をつぶやく姿は、狂気じみていた――と、のちに司書長は語るのだった。
◆
ジェイル・スカリエッティ事件――通称JS事件は、史実通り機動6課の活躍により解決された。
部隊長は、ハヤテ・Y・グレアム。
彼女は、ユーノが予測した『闇の書』の再来に備えて、極秘裏に戦力を集めていた。ところが、結局、『闇の書』は現れず、預言の内容も再度変わってしまい、彼女の準備は無駄になる――はずだった。
しかし、カリムが、新たな預言によって、管理局の危機に備える必要があった。そのために、集めた戦力を転用することにしたのだ。
その戦力こそが、機動6課である。
提督は、海の所属であり、機動6課は、地上部隊の管轄である。それなのに、なぜ、ハヤテは、部隊長になったのか。
彼女を英雄扱いする人々は、預言に備えて、念願の提督の地位を捨ててまで、地上部隊に移った。と、口々に賞賛した。
しかしながら、真実を知る者たちは、皆口をつぐんでいた。なぜなら、
「せっかく、地上部隊に移ったのに、また海で提督をやらされるなんて――――義父さんに会えないじゃない!」
――単に、ファザコンを拗らせただけだったからだ。
提督に就任からたった1年で、彼女は、音をあげた。
別に、仕事が辛かったわけではない。提督は、長期任務が多く、数か月家に帰れないこともないことも、ざらだった。
だからこそ、直に家族に会えなくなったファザコンにとっては地獄だったのだろう。カリムの預言を聞いてから、あっという間に、機動6課を設立し、地上本部に移ってしまった。
ロストロギア『聖王のゆりかご』(例えるならば、宇宙戦艦ヤマトみたいな決戦兵器)とガチンコ勝負を繰り広げたハヤテは、まさに英雄に相応しかっただろう。
その姿を見たユーノは、ファザコンでさえなければなあ……と、高町なのは、フェイト・T・ハラオウンと一緒に残念がっていた。
義姉たちリーゼ姉妹は、ファザコン対策として、譲渡されていたものの、あまり効果はなかったらしい。
ちなみに、聖王のゆりかごは、結局ハヤテが単騎で撃沈した。これには、スカリエッティも苦笑い。眼鏡は犠牲になったのだ……。
二つ名も歩くロストロギアから、ロストロギア・オブ・ロストロギアへと進化した。負けず嫌いなエース・オブ・エースな白い魔王も張り合っている。史実のように撃墜されていない魔王さんもまた、パワーアップしていた。
二人の戦闘訓練によって、毎回訓練用の管理外世界が廃墟と化しているらしい。
クロノ・ハラオウン曰く「怪獣大決戦」
……あと、規格外二人に追いつこうと、涙ぐましい努力を続ける親友の執務官さんがいたとかいないとか。
◆
とある海外のイベント会場にて。
そこは、海外では最大規模のコスプレイベントだった。西洋系のキャラクターは、やはり西洋人が仮装すると様になっている。日本からきたコスプレイヤーも、負けじと和装で対抗していた。
――つまり、とてもレベルが高かった。
その中でもひときわ目立つのは、魔法少女リリカルなのはの主人公「八神はやて」のコスプレだった。
あまりの出来のよさに、人だかりができている。そのうえ、そのコスプレイヤーは英語にも堪能であり、大いにその一角は盛り上がっていた。
英語力を生かし、広報としても活躍する「彼」は、まさにスターといえよう。
後日、インターネットで配信された姿に魅了されたものは多く、大いに知名度を上げたらしい。リアル男の娘に悶絶する人間が多かったそうな。
彼――八神はやての快進撃の幕開けだった。
◆
――――世界は、いつだって…こんなはずじゃないことばっかりだよ!
――――私は、貴女の娘です!
――――それでも、私は行くわ。アルハザードへ。全てをアリシアとやり直すのよ。
夢を見ていた。
笑顔のアリシアと暮らす夢。
魔道炉の暴走でアリシアが死に、絶望に打ちひしがれた夢。
死者蘇生の方法を探して、研究を重ねる夢。
プロジェクトFにより生まれた「人形」と会話した夢。
そして……
「私は、アリシアとともに、アルハザードへ旅立った」
呟き、目が覚める。思考がかすむ。頭が重い。ここは、どこだ。自分は、死んだのか。死後の世界ならば、アリシアと会えるのだろうか。
そうだとしたら、死んだとしても悔いはない。
もともと、アルハアードに行けるとは考えていなかった。それでも、縋ってしまったのは、自身の弱さだろう。死者を蘇生させる方法を探して、研究に研究を重ね――――疲れ果てた。
次元震を起こし虚数空間に落ちたのは、消極的な自殺に過ぎないのだから。「人形」は……フェイトは無事だろうか。
「今になって、フェイトの心配をするなんてね。私には、心配する資格はないというのに……」
もう一度呟く。そこで、やっと頭が覚醒してきた。はっきりとしつつある視界は、白い。
だが、ここは死者の世界ではないようだ。五感が、「ここは現実世界である」と訴えかけている。消毒液の匂いがする――どうやらここは、病院のようだ。
「半分死人の私を助けるなんて、余計な真似をしてくれるわね」
「――――お目覚めでしたか。よかったです。貴女には聞きたいこと山ほどがあるのだから」
「誰ッ!?」
女性の声がした方向を見ると、メイド服を着た美女がいた。だが、その姿は、痛々しい。涙を泣きはらしたのか目は腫れ、隈ができている。ひどく疲労しているのか精気が感じられず、幽鬼のような形相だった。
思わず身構えようとして、ボロボロの身体では、何もできないことに気づく。いや、目の前の女性は自分よりも死にそうではあったが。
「危害を加えるつもりはありません」
「わざわざ助けたのだから、当然ね……私のそばにアリシア――――子供の遺体がなかったかしら」
一番の気がかりを尋ねる。アリシアのことなのに、感情的にならずに済んだのは、諦観のせいだろうか。
「あのシリンダーに浮かんでいた少女ですか? 大切に保管されているようでしたので、こちらで、手厚く保管してあります。余計なお世話でしたか?」
「……いえ、礼を言うわ。あの子は、私の命よりも大切な、私の娘よ。結局、生き返ることはなかったけれど」
自分でも意外なほど、蘇生に失敗した事実を述べることができた。「人形」――いや、もう認めよう。 フェイトとの最後の会話は、「親」としての記憶を想起させるものだった。
もはや摩耗した記憶の先にある、母親だったときの感情。狂人と化した自分を、最後に正気に戻してくれた。
フェイトは――私に残された最後の娘は、無事だろうか。
「先ほど言った通り、貴女には、いろいろと聞きたいことがあります。しかし、その身体では、長く持たないでしょうね」
「ええ、その通りよ。せっかく助けたというのに、残念だったわね」
なぜ、自分を助けたのかは、わからない。現状も、アリシアのことも、フェイトのその後も、何もかもわからないことだらけだ。
「いまの医療技術では、貴女を助けることは、できません。そこで提案があります――」
――――悪魔になってみませんか?
それが、新魔王グレイフィア・ルキフグスと、プレシア・テスタロッサとの初邂逅だった。
プレシアの協力により、駒王町の消滅はジュエルシードによるものだと判明した。が、今更どうにもならない。ジュエルシードを持ち込んだとプレシアを糾弾するものもいたが、グレイフィアが抑えた。夫を喪った彼女が制止すれば、他の悪魔は黙るしかない。
その後、グレイフィアの『女王』として、転生悪魔となり、プレシアは、獅子奮迅の活躍をしていく。リリカルなのは世界の技術と悪魔の技術が結びつき、悪魔陣営は強化された。天使陣営と堕天使陣営に同時に攻め込まれた悪魔は、逆境の中防衛に成功する。
不可抗力とはいえジュエルシードが起こした災害の責任を取る形で、プレシアは悪魔陣営に協力していた。だがそれ以上に彼女が協力的になった理由がある。
「お母さん。堕天使さんをいっぱい倒そうね!」
「そうね――――アリシア」
アリシア・テスタロッサ。同じく『兵士』となることで、転生悪魔として蘇った少女。戦力としては並だが、持前の明るさで、マスコットとして可愛がられている。そして、何より……
「アリシアには、指一本触れさせないわ。サンダーレイジ!!」
彼女を狙う愚か者には、かつて大魔導師と呼ばれた魔女が、怒りの鉄槌を下すのだった。 笑顔を取り戻したプレシアとアリシア。上級悪魔になり、母娘水入らずで暮らすために、今日も彼女たちは、戦う。
しかし、時期が悪かった。折しもサーゼクス・ルシファーの死亡を契機とした世界大戦が勃発。魔王クラスの実力を持つプレシアは、貴重な戦力として、技術者として活躍する。彼女も後ろめたさがあったし、何より蘇った娘のために尽力する。
彼女たちを巻き込み、物語は進む。そこには主人公もヒロインも存在しない。史実とかけ離れた「原作」が幕を開けるのだった。
◆
「ハーハッハッハッハ! 愉快! 痛快! そう思わんか、アザゼル総督」
「うるせえよ」
愉しそう嗤うコカビエルに、アザゼルは面倒くさそうに応えた。誰もが予想だにしなかった世界大戦。 本心としては戦争反対派であったアザゼルだが、魔王の死亡という絶好の機会を逃す手はなかった。
いや、正確には主戦派の突き上げを押しとどめることができなかったのだ。
そんなアザゼルの内心を知ってか知らずか、主戦派代表のコカビエルは実に楽しそうだ。大好きな戦争が嬉しくて仕方がないのだろう。
出征前にも、「諸君! 私は戦争が好きだ!」から始まる狂気じみた演説をしていた。
「このまま、うまくいけばいいんだがな」
「総督は心配性ですね。天使陣営と不戦条約を結んでの電撃的な侵攻ですから。サーゼクス死亡で揺れる悪魔陣営に勝ち目はありません」
「シェムハザのいう通りだ。天使どもと組むのは気にくわないが、手を組む利は大きい。アザゼル総督の手腕はさすがだな」
アザゼルの腹心シェムハザやコカビエルの中で、既に悪魔に対する勝利は決定事項だった。あとは、続く天使陣営との全面戦争に勝てば、堕天使が頂点に立つ。
慎重なアザゼルも内心そのように思っていた。半年後のクリスマスまでには終わるだろうと。だが、クリスマスになっても戦争は継続していた。
「総督! 前線に出たコカビエルが、例の悪魔との一騎打ちの末敗れました!」
悪魔領への侵攻は順調だった。サーゼクスの死亡。堕天使と天使による同時侵攻。さらには、アザゼルの計略により、旧魔王派まで蜂起していた。
だが、ここで誤算が起きる。サーゼクスの妻グレイフィアが新魔王に就任し、電撃的に混乱を収拾したのだ。アザゼルの計算では、それは不可能なはずだった。どう考えても、混乱の収拾には1年はかかる見込みだった。
それをご破算にしたのが――
「またしても転生悪魔プレシア・テスタロッサか」
「実力は明らかに魔王クラス、旧魔王派の鎮圧も彼女の功績が大きいようです。彼女本人の戦闘力も高いですが、それ以上に厄介なのが技術力ですね」
「『デバイス』……だったか?」
「はい、デバイスと呼ばれる魔道具の補助により、悪魔たちは戦闘力を飛躍的にアップさせました。下手な神器以上に厄介なうえに、大量生産され前線の悪魔に装備がいきわたっています」
プレシア・テスタロッサ。突如現れたグレイフィア眷属の転生悪魔。魔王クラスの実力を持つと同時に、出所不明の技術を持つ人物。シェムハザは、彼女を全力で調査していたが、どこの出身なのか全くの不明であった。
単騎でコカビエルを討ち取るほどの戦闘力も厄介だったが、彼女の技術によって生み出された『デバイス』が最悪だった。
デバイスが魔法演算の補助をすることで、実力がワンランクアップする。下級悪魔が中級悪魔並の力を得るのだ。さらに、安価に量産可能であったため、悪魔陣営の力は跳ね上がった。
「数の不利を質でカバーするたあ、正気の沙汰じゃねえな」
「おかげで、開戦前の予想は外れ、総力戦になりました。こちらの消耗も無視できなくなっています」
「だからといって、いまさら後には引けねえよ。みんなまとめて破滅へとまっしぐらだ」
「総督……」
事態はアザゼルの予想を超えて推移していた。いや、そもそも突然のサーゼクスの死亡を予想できるわけがない。いまだ、駒王町とサーゼクスの死亡の原因は分かっていない――アザゼルを除いて。
悪魔陣営はプレシアの情報提供により、ジュエルシードがたまたま暴走して、サーゼクスが巻き込まれたのだと思っている。
しかし、聡いアザゼルわかってしまった。どういう経緯かはわからないが、はぐれ悪魔をけしかけた先で八神が何かしたのだろうと。実は、あの夜、密かに監視をつけていたのだ。監視は駒王町ごと消滅したが、断片的な情報だけでも十分推理可能である。
優秀な頭脳の彼はわかってしまった。戦争の元凶は自分なのだろうと。和平を望んでいた自分こそが、戦争の引き金を引いてしまったのだと。
「へっ、ザマあねえな」
三大勢力の総力戦は、アザゼルの予想通り、最悪の結末を迎えた。天使も堕天使も悪魔も等しく滅んだ。あとはわずかな生き残りが居るばかりである。勝者はいなかった。
アザゼルもまた乱戦の中、命を落とす。彼の心中を知る者はどこにもいない。
◆
目を覚ますと、世界は青白い光に包まれていた。
ここはどこだろう。寒い。寂しい。けれども、湧き上がる感情は――憎悪。
『お前たちだけは絶対に……絶対に許さない!』
うつらうつらとしながら思い出す。
化け物と戦ったことを。
復讐を願いこの世から消えたことを。
自分は死んだはずなのに……。
ああ、そうか。これは、未練なのだろうか。
まどろみに包まれながら考える。
自分の願いは、あの化け物どもを根絶やしにすること。
けれども、力が足りない。
けれども、知識が足りない。
何もかもが足りない。
誰か助けて。
力が欲しい。青い光に強く願う。すると、様々な世界の「八神はやて」とつながった。
男だった。女だった。大人だった。子供だった。
学生だった。働いていた。剣士だった。魔法使いだった。
母親だった。父親だった。老人だった。赤ん坊だった。
……無限ともいえる世界の数々にいる「八神はやて」。
彼らの力なら、「自分自身」の力なら、使いこなせる。だから、
――――魔法の力を、時空管理局員になるはずの「八神はやて」から貰った。
――――原作知識を、男子高校生の「八神はやて」からもらった。
最後に、「新しい家族」をもらった。戦力という意味もある。
けれども、本当の理由は、復讐の代行者に、せめてもの餞別を渡したかったからだ。
頼んだよ、守護騎士に管制人格たち。
……ごめんね、もう一人の僕。
怨嗟と憎悪の中。新たに獲得した魔法の力と知識。そして、残された力―—ジュエルシードをすべて渡した。
青い光に包まれる5歳の、過去の自身をみて思う。願いはすべて託した。全てを終え、彼女は、眠りについた。
◆
『天を夜空が奪いしとき
地を暗雲が覆いつくさん
人の世は王者を欲し
王が救いしは常世の者なり
騎士達は化生共を滅し
王以て天下を安寧せしむ』
(とあるベルカの「預言者の著書」より――変化した預言)
後書き
・はぐれ悪魔をけしかけたのはアザゼル先生なので、すべての元凶の元凶ですね。
・流れとしては、プレシア駒王町に着陸⇒JS拾得⇒はぐれ悪魔襲来⇒JS使用し撃退⇒サーゼクス登場、殺される⇒次元震で駒王町消滅⇒JSに願いを託す⇒夜天の書と原作知識を奪う⇒主人公誕生
・主人公は、リリなのと現実とハイスクールD×Dのはやてが上書きされた不安定な存在です。
・次章より最終章開始です。
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