レーヴァティン
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第一話 夢幻の世界へその六
「部活の時に」
「誰にだい?」
「何ていったか」
名前を言おうとするが。
そこでだ、彼の隣に赤髪で鋭利な目をした細面の男が来た。赤髪の前は長くそして背は彼と同じ位である。
その彼がだ、久志の隣に来ると久志はマスターに言った。
「こいつだ」
「ああ、その人かい」
「そうだ」
「何の話をしている」
赤髪の男は久志に問うた。
「一体」
「剣術の話だ」
「俺が負けた話を笑っていたか」
「俺が負けた話をするつもりだった」
久志は自分を睨んできた男に睨み返して答えた。
「今からな」
「負けたのは俺だ」
「いや、俺だ」
「貴様は自分の勝利を認めないのか」
「それは俺の言葉だ。俺は確かに負けた」
こう男に言うのだった。
「完膚なきまでな」
「何処がだ、俺はあそこまでやられたことはだ」
「なかったというのか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「それで負けただのよく言えるな」
「俺は相当に負けたが」
「そうは思わないがな、俺は」
「御前も頑固だな」
「貴様こそな。何ならだ」
「もう一度か」
「勝負をして決めるか」
男は久志に鋭い目の光を強くさせて言った。
「今からな」
「面白いな、ではな」
「場所を変えるか」
「そうするか。しかしな」
「しかし。何だ」
「御前は何をしにここに来た」
男にだ、久志はにこりともせずに返した。
「一体な」
「決まっている、飲みに来た」
「コーヒーをか」
「俺は今はコーヒーは飲まない」
「じゃあ何だ」
「ミルクだ」
男は久志にはっきりと告げた。
「ホットミルクを飲みに来た」
「ホットミルクか」
「おかしいか」
「いや、俺もホットミルクは好きだ」
久志は今はホットミルクとは正反対の色のコーヒー、ホットのそれを飲みながらだった。男に対して答えた。
「ここで飲むこともあるからな」
「そうか、ホットミルクは馬鹿にしないか」
「好きだ」
実際にという返事だった。
「今は飲んでいないがな」
「そのことはよしとしよう」
男は久志の言葉ににこりと笑って返した。
「ここでホットミルクを馬鹿にしているとな」
「どうしていた?」
「貴様を容赦せず倒していた」
「ここでか」
「そうしていたかも知れないな」
「切れてか」
「切れることは好きじゃないが」
しかしというのだった、目の鋭さはそのままだったが口元は笑みを浮かべてだった。男は久志に対して話した。
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