世界をめぐる、銀白の翼
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第二章 Lost Heros
銀白VS剣&夜天
ミッドチルダ郊外にある、八神家宅
その家に、数人のメンバーが集まっていた。
現在、「EARTH」メンバーは様々なところにバラけており、蒔風によって一気に殲滅されるのを防いでいる。
そして、今は通信を使って全員と連絡を取り、蒔風の戦力を検討していたところだ。
各世界でいろいろな力を見せてきた蒔風だが、一つの世界で見せた力はそう多くはない。
そのために、こうした情報のやり取りが今はとても重要なのだ。
『シュンの力は分かった』
『戦力としては・・・彼の武器、「十五天帝」に、その使役獣「七獣」』
『そして固有結界「心象的世界破壊」』
『あとは炎とか雷とかの力に・・・・願いだね』
「願いの力は使えないんじゃないか?こうして敵になった以上、俺たちの「願い」は使えないだろうし」
現在、蒔風は願いが使えない。
なぜならば、彼のために願ってくれる味方がいないからだ。
だが、それでも翼人。まだ強い。
この世界で皆が一つに集まったことで、もともと借りていた力は失せていたが、これではっきりとそれは消えた。
「だったら総攻撃でつぶしてしまえばいいんじゃないか?」
『無理だな。固有結界は周辺の世界を丸ごと飲み込む。聞いただけの性能では全員を飲み込んだところで一秒と持つまい。だが・・・・』
『あの性能なら「全員を一気に攻撃」や、下手をしたら「全員を撃破」などということも可能になりかねない』
そう、だから彼らは総攻撃を実施できなかった。
そうしたことで、全員が一気に全滅してしまうことだけは避けたかったからだ。
まあ、彼の固有結界で「全攻撃」はできても「全殲滅」はできないので、考えすぎということもあるのだが、それでも危険度は変わらない。
ちなみに、現在八神家に集まっているのは現存する八神家一同、それと、剣崎たち四人のライダーたちだ。
戦力をバラけさせたほうがいいという、理樹の考えで、こうやって一点に集中しないようにしているのだが・・・・これは襲われたときにやられてしまうというデメリットがある。逆に言えば被害が少なくて済むということにもなるのだが・・・・・
『あれが蒔風でない、という可能性はないか?』
『・・・・・・「奴」か?』
『そうだ!!「奴」ならば蒔風に化けることもできるはず・・・・だったら!!』
『それはない。一刀の最後の攻撃。あの剣山の中に、蒔風の十五天帝はなかった。つまり・・・・』
「蒔風との絆はもうないということか・・・・・?」
『そう。残念だが、あれはオレたちの知る蒔風だ。化けただとか、乗っ取ったとかでは、青龍を使役することはできないからな』
そうして話が一通り終わり、最後にクラウドが入手した蒔風の襲撃リストを皆に送って、話し合いは終わった。
「これから・・・・どうする?」
「リストの中には天音ちゃんたちはいなかった。彼女が無事なら、あとは気兼ねなく俺はあいつを倒すだけだ」
「待てよ。あいつのリスト、なんか変だったじゃねーか。主要だとか最主要が襲われるってのに、ヴィヴィオやユーノは入ってなかったじゃんか」
「そう、それが気がかりだ。高町やテスタロッサ、我らは入っていながら、同じように主要であったものが入っていない」
「私やアリシアも入っていたのに・・・・不気味ですね」
「関係あらへん」
「八神?大丈夫か?」
と、話を進める剣崎やヴィータたちの中に、はやてが入っていく。
家族を失ったショックと、信頼できた人物のまさかの裏切りに寝込んでしまっていた彼女だが、少しは気力が戻ったのかふらふらと近づいてきた。
「大丈夫や・・・・とにかく、舜君は・・・あいつはもう敵になったんや。それをうちらは・・・・倒すだけや」
「・・・・・復讐か」
はやての状態から、冷静にその心境をくみ取った始が、立ち上がったその原動力の名を言った。
その言葉に、はやてが皮肉気味に笑ってから、そうやなぁ、と頷く。
「復讐・・・と言ったらそうなるのかもしれへん。うちの家族を二人も奪っといて、それでもほかの家族を・・・仲間を奪っとるなんて許さへんし」
「・・・・・・・・辛いぞ?」
「それでもかまわん。うちは・・・家族を返してもらう。そのためなら・・・・しゃあない。舜君を・・・・倒す。それしかあらへん」
はやての決意。
敵として立つのなら、もう容赦はしないという、その覚悟。
その少女の思いに、今さら異を唱える者などいなかった。
「まあ、確かに・・・蒔風が敵になったのはショックだったけど、みんなをやるなら容赦はできないな」
「私は最初からそのつもりだった。蒔風は味方だったが、同時に敵になる危険も帯びていたのだからな」
「そういや・・・シグナムそんなこと言ってたっけな」
「あいつの中は「混沌とした虚無」と呼ぶのが相応しいくらいだ・・・・何が起きても、おかしくはない」
そう、彼はいつだって敵にもなるし味方にもなる。
今までが味方だったというだけ。
そして今、敵になったというだけだった。
と、そこに
前触れも前兆も無く
ピンポーン
というインターホンの音が鳴った。
その音に各人が肩を振るわせた。
一体誰だ?
昼間だから誰が訪ねてきてもおかしくはないが、この状況では・・・・・・
そう思って、睦月と橘が、玄関の覗き穴から外を見る。
だが、そこには誰もいない。
瞬間
ガオンッ、ドォン!!!
リビングの窓ガラスが吹き飛び、そこから蒔風が突っ込んできていた。
だが、その獅子天麟を構えての進行はシグナムとヴィータ二人掛かりで食い止められ、その切っ先が他のものに届くことはない。
「ッッ!!!!」
「蒔・・・・風ッ!!!」
「あちゃぁ・・・無理か。まあ?行けるとも思ってなかったがなッ!」
そう言って、獅子天麟から手を放し、腰の「風」「林」を回転しながら抜き、周囲を一気に斬り伏せる。
それをスウェーで必死にかわす二人だが、胸の位置に一文字の切り傷がぱっくりと開く。
皮膚には至ってないようだが、外装の鎧やフリルは切り落とされてしまった。
それを見て、一気にたたみかけようとする蒔風だが、同時に、このまま室内戦をしてはやられると察したシグナムが、己の剣に魔力を込める。
「レバンティン!!」
《Schlangeform》
レバンティンを連結刃にし、一気に展開。
球体状に膨れ上がったそれは、家屋の一部を吹き飛ばしながらも、味方を守りかつ、敵を押しのけさせることに成功した。
「ここじゃ周囲の住宅に被害が出るかもしれん・・・・こっから少し言ったとこに森がある。そこまで誘導してや!!」
「おし!!行くぞ!!変身!!」
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「ハアアアアアアアアアア!!!!」
「ヌぅッ!?」
ガコン!!!
一足先に蒔風を追って行ったシグナムとヴィータが、はやての指示通りに森の中へと蒔風を誘導した。
だが、ここまで連れてきただけでも相当の消耗だ。
すでにカートリッジは半分も使っており、体力も三分の一程度にまで下がっている。
だが、それでもいい。
こちらにはまだ、戦力がいるのだから。
《BULLET-FIRE-RAPID---BARNINGSHOT》
ドンドンドンドンッ!!!
上空から、蒔風に向かって炎の弾丸が降り注いできた。
それを剣で難なく弾く蒔風。
見上げると、ジャックフォームへと変身したギャレンが武器を構えて滞空していた。
「いきなりジャックか!!」
「お前相手に、手加減はできないからな!!!睦月!!」
《BLIZZARD》
ギャレンの掛け声と共に、レンゲルがカードをスラッシュし、「ポーラーブリザード」で蒔風の足元を凍らせる。
この程度の氷は蒔風にとっては足かせにはならない。だが、コンマ数秒の足止めくらいにはなるのだ。
「今です!!!」
ギャギィン!!!
そうして、足元の止まった蒔風を、シグナムとブレイドキングフォームの剣が首元を狙って薙がれ、交差する。
それをしゃがみ込んで回避する蒔風だが、リィンとユニゾンしたヴィータによる下からのアッパー気味に振るわれてきたアイゼンの一撃をくらい、上空にまで弾き飛ばされる。
そこで
「遠き地にて・・・・闇に沈め・・・・・」
「・・・!?」
「デアボリックエミッション!!!!」
「グアぁ!?」
ドォォン!!!!
リィンフォースとユニゾンしたはやてが、蒔風に渾身の一撃を叩き込む。
しかし、一同は一切終わった、などという感情は抱けなかった。
その黒煙の中からは、いまだに恐ろしいまでの殺気が噴き出してきている。
「休ませたらあかん!!!攻撃を続けるんや!!!」
「翔けよ、隼!!!」
《WILD》「オオオオオオオオオ!!!!」
シグナムとカリスが、その弓状の武器に力を込め、それを一気に射出して蒔風を貫こうと弦を引く。
その間に蒔風は黒炎の中から降りてきて着地、その二人に迫るが、もう遅い。
ギャレンとはやてが蒔風の足元を射撃と魔法で吹き飛ばし、彼の視界を奪ってから、二人の矢が放たれた。
ド、ドンッ!!!!!という空気の壁をぶち抜く音して、土煙の中の蒔風に向かって矢が飛んで行く。
だが、それと同時に、否、その一瞬前に、蒔風もまた、動いていた。
正確には、はやてとギャレンが蒔風の足元を吹き飛ばした、直前。
蒔風が、白虎を釵にして投げ放っていた。
釵という武器は、見てみればわかるが原則的には違うものの、三又のような形をしている。
その三本の突起。
今投げた白虎釵の片方は、その三本のうち、外側の二本が180度反転していた。
つまり、「返し」である。
さらに、白虎釵は二本だ。
そしてこの片方と片方が、光の紐で繋がれている。
一度突き刺されば、抜くことなどできない。
その釵を、蒔風はレンゲルに向かって投げていた。
ドムッ!!!
「・・・・・・え?」
それにレンゲルが気付いたのは、貫かれてからだ。
背中からそれが突き出し、紐を伝ってグイッ!!と、想いっきり引っ張られる。
「グ、アアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
「なッ!?」
「睦月ッ!!!」
周囲の人間も、小さな釵に気付けず、レンゲルが引っ張られていってから始めて気付いた。
その体が、一気に蒔風の元へと吹っ飛ぶように引き寄せられて、そして
ゴゴオッ!!!!
そして、二人の矢が発射された。
だが、それが命中していないことははっきりしていた。
なぜなら
「グフアアアアアアアアアッ!?グアアアアアアアアアアア!!!!!」
ドドンッ、ドゴオオオオオオァ!!!!!
レンゲル・・・睦月の断末魔の悲鳴と、蒔風に着弾するよりも早く、爆発が起こったからだ。
その爆発で、周囲の土煙が一気に吹き飛んでその場が晴れる。
そこに立っていたのは、力なくダラリとしたレンゲルと、その首を掴んで盾のように持つ蒔風だった。
そしてその直後に、レンゲルの身体が光り、光の柱になったかと思うとそれが消え、蒔風の手元に一枚のカードが残った。
「睦月・・・睦月ィッ!!!!」
「蒔風ェェェエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」
「んだよ・・・・盾にできる者があったから使った。それだけだろ?」
「キッサッマぁああああああああああああ!!!!!」
あまりの仕打ち。
しかも、自ら手をかけるではなく、自分たちの攻撃を、自分たちの味方を盾にして防ぎ、そのまま終わらせるなどという行為に、シグナムは激昂した。
無論、そうなっているのは彼女だけではない。
その場にいるすべてのものが、今の行為に怒りを感じていた。
と、そこで蒔風が口を開く。
「おいおい、いいのか?・・・・てめえらの真後ろから、青龍たちが狙ってんぞォ!?」
『『「「「「「「!!!????」」」」」」』』
その言葉に、全員が後方に意識を飛ばす。
しかし
「グ、ガハァッ!!!???」
ドンッ!!!
爆発音がした。
全員がそちらの方を見ると、シグナムの身体から煙が上がり、今まさに膝をついて倒れてしまうところだ。
「シグナムウウウウウウウウウウウウ!!!」
「バカか!敵の言葉に耳貸して?全員揃って目ぇ逸らす?頭ん中春か?脳天に風穴開けて、春一番吹かしてみようか!?」
「蒔 風 ェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」
その言葉に、ヴィータがキレた。無論、はやて達も同じだ。
ヴィータとブレイドが翔け、蒔風に向かって重量級の武器を振り下ろす。
それをひらりとかわし、ブレイドの重醒剣キングラウザーを踏みつけて地面にめり込ませ、ヴィータに向かって銃を取り出して発砲した。
数発をアイゼンで受け止めるヴィータだが、ついにそれを肩と腹に受け、蹲る。
今は命の別状はなくとも、放っておけばかなりまずいのは一目瞭然だ。
そんな状況で、もはやはやては限界を超えてしまった。
全身が黒く染まり、身体に紋様を走らせ、かつて暴走した時のように、身体がリィンフォースのように変わっていく。
『いけません!!主はやて!!それ以上は・・・アぐっ!?』
それをユニゾンしているリィンフォースが止めようとするが、彼女の意志に呑まれてその意識が途絶えてしまう。
その魔力は周囲の木々をなぎ倒し、倒れている味方も、立っている味方も吹き飛ばしていった。
だから、シグナムをカリスが、ヴィータをギャレンが、吹き飛びながらも抱えて庇っていた。
だが、蒔風はそちらをいちいち気にしている暇はない。
ヴィータを撃った後、蒔風は即座にブレイドと剣撃を打ち合わせていたからだ。
だが、その重量はさすがに大きく、蒔風の剣は大きく弾かれ気味だ。
そこに、暴走してしまった八神はやて。
普通ならまずいと思うだろう。
だが、この男は・・・・・
「剣崎ィ・・・・あれにやられたら・・・・キツイと思わないか?」
「なに!?・・・・八神!?」
「アハッ!!!」
蒔風の楽しそうな声と共に、その手の銃から銃弾が発砲される。
その弾丸は自体は魔力の壁らしきものに阻まれて彼女に届かなかったが、明らかな敵意をこちらに向けさせるにはちょうど良かった。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
彼女の魔力が集結し、白い魔力光がギチギチと音を鳴らしながら圧縮されていく。
それは、砲撃の準備。
しかも、デアボリックエミッションどころではない。
それはおそらく砲撃魔法「ラグナロク」なのだろうが、その魔力の違いで全くの別物に見えてしまう。
と、その充填を、蒔風がブレイドと剣を組み合いながら見、そしてそれが十分になったところで、ブレイドの剣を受け止めている腕の力を抜き、そしてしゃがんだ。
ブレイドの剣が蒔風の後ろに落とされ、しゃがんだ蒔風は膝を軸にしてブレイドの後ろにまわり、背中を蹴り出す。
すると
「すべて消えろ!!!!!終焉の笛ェェェェェェェ・・・・・・」
「ッッ!?蒔風ッッ!!!!」
「早くしねぇとォ・・・・吹っ飛んじまうぜ!?」
蒔風とはやての直線上。そこに立たされてしまうブレイド。
ここで、彼に与えられた選択肢は二つ。
はやての攻撃の方を避け蒔風にそれを直撃させるか、はやての攻撃に向かって大技を発し打ち消すか。
前者ならば、まず確実に蒔風に大ダメージを望める。
だが、あの砲撃はおそらくここ一体を飲み込む。蒔風が耐え、そして体力が残っていた場合、巻き込まれた自分たちは無抵抗で消される。
後者ならば、蒔風は逃すかもしれないが、みんなが助かる。その後に反撃にも出れる。
だが、あの砲撃を受け止めきれるのかという懸念と、受け止めている間に蒔風が自分を潰しに来たら終わりだ。
ここで彼が取るべきだと考えたのは前者だ。
この場で蒔風を倒せずとも、ダメージを与えておけば後々戦う者にとっての有利になる。
自分たちがここで倒れても、あとに残せる。
戦士としては、そちらを優先すべきだろう。
今のこの場を捨て、蒔風にダメージを与える。
キングフォームの今なら、直撃さえしなければこの砲撃にも耐えて蒔風にとどめをさせるかもしれない。
だが
「許せ、八神ッ!!!」
彼は、そうすることができなかった。
スペードスートのカード10からキング、Aの五枚がキングラウザーに飲み込まれていく。
彼は、見捨てることができなかったのだ。
たとえこの先につなげようとも、今この場の皆を見捨てるようなことなど、彼にはできなかった。
すべての人、人間が
大好きだから、守りたい。
その想いでここまで貫いてきたこの仮面ライダーは、仲間を護る道を選んだのだ。
「ラグナロク!!!!!」
「ウェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・!!!!
はやての砲撃魔法「ラグナロク」と、ブレイドキングフォームのエネルギー射出型「ロイヤルストレートフラッシュ」がぶつかり合い、その場を光が覆い尽くした。
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「ガッ・・・・・ハッ・・・・・・・」
ザシッ、という音を立て、ブレイドがその場で膝をつく。
その身体はすでにキングフォームのものではなく、通常形態のブレイドまで戻ってしまっている。
装甲からはシュウシュウと煙が上がり、醒剣ブレイラウザーを杖のようにして、膝を立てる。
離れたところでは暴走したはやてがいまだに叫びまわっている。
あれだけの砲撃の後にもかかわらず、なんという魔力量か。
いや、そうではない。
暴走だから気付いていないだけで、彼女はもはや限界に近かった。
それでも、彼女は敵を探した。
自分の家族を奪った敵を。
そんなはやてなど眼中にないと言わんばかりに、ブレイドの前に蒔風が立つ。
その蒔風を睨みつけるブレイドだが、もう彼に剣を振るう力はない。
「よく受け止めたなぁ・・・・だが、思い通りに事が進んで何よりだ」
「クソ・・・・テメェ・・・・」
「いいねぇ・・・だがお前のその願いは受け取れねぇな」
そう言って、蒔風が剣を振りあげる。
「最後に聞きたい・・・なぜこんなことを・・・・」
「ん?理由?そんなん簡単だよ。だって・・・・こんだけ強い奴らがいるんだぜ?」
「まさか・・・・・」
「戦ってみたいと思うだろ?暴れる口実探してたんだよ。まあなかったからこうなってるんだがな」
「蒔風ェッ!!!!」
「バァイ」
ヒュ、ガキィ!!!!
蒔風が剣を振り下ろす。
だが、その剣はカリスが武器、カリスアローを剣のように構えて受け止めていた。
それを怪訝そうに見ている蒔風に、更にギャレンの銃撃が襲いかかる。
だが、あの砲撃にあって威力が落ちているのか、蒔風はバックステップで下がりながら素手でそれを払っていた。
あの砲撃で、二人は既に通常フォームに戻ってしまっている。
「剣崎!!!あっちの茂みにシグナムとヴィータがいる。連れて逃げろ!!!」
「橘さん!!始!?」
「ここはもう駄目だ・・・・生き残ることだけを考えろ!!!オレたちが時間を稼ぐ!!!!」
「そんな事できるか!!オレも一緒に・・・・」
「聞き分けろ!!剣崎!!!!今何が重要か、お前ならわかるはずだ!!!!」
「ッッ!!!!」
「行くぞ!!橘!!」
「オオオオオオオオオオッッ!!!!」
剣崎の返事を待たず、二人は駆け出していってしまう。
その後をなんとか追おうとするブレイドだが、その脇をはやてが通る。
やっと敵を見つけたのか、口論の音を元に走ってきただけなのか。
それはわからないが、剣崎は確かに、すれ違ったその瞬間。
仮面越しに彼女の声を聞いた気がした。
―――剣崎さん あの子達の事 お願いします
「・・・・・・・・・・・・ッッッ!!!」
それを聞いて、ブレイドが翔けだして、茂みの中からシグナムとヴィータを見つけ、自身のバイク「ブルースぺイダー」に跨ってその場から走り出した。
「それでいい・・・剣崎ッ」
「グアアアアアアアアアアア!!!!」
それを見届けたギャレンの前で、カリスが斬り伏せられてその身体から火花と緑色の地を噴き出して、光となって消えた。
それを見て、ギャレンも覚悟を決める。
銃を構え、狙いを合わせて撃ちながら蒔風に突進する。
もうカードでコンボ技を出す体力も無い。
だが今は――――
「オオオオオオオオオオオオ!!!」
ドンッ!!!
そうして、ギャレンもやられた。
時間は全くといいほどかかっていない。
はやてがここまで駆けてくるまでの時間も無かったのだから。
そして、はやての拳が蒔風に向かって伸びる。
だが、いくらなんでもそれは無茶だった。
この身体は見た目こそリィンフォースに近いが、それでもやっぱり元ははやてなのだ。
近接戦闘どころか、普通の殴り合いだってできないような彼女がすることではない。
だから、蒔風は冷静にカウンターを顎に決め、その体をフッ飛ばす。
「あ・・・・ああああ・・・・嗚呼・・・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
はやての身体がガクガクと揺れる。
当然だ。もはや魔力も体力も限界を迎えている。
そんな状態でも、彼女はもう一度「あの」ラグナロクを撃とうとしている。
しかし、蒔風はそれを見て特に何もしない。
一方ではやては発射準備を終え、ラグナロクを撃った。
その威力は、ここまで摩耗させ、撃った直後に彼女が倒れるまでひねりだしたモノだけあって、先ほどと何ら遜色はない。
だが
「心象的世界破壊」
蒔風のつぶやき。
その一言で、世界が歪んだ。
迫るラグナロクに、拳を当てる。
すると、それが180度方向を変え、撃った本人に向かって直進、そして直撃した。
倒れるはやて。
三十秒経って、結界が切れる。
そして、はやての身体が光に消え、蒔風の元に新たに二枚、カードが来た。
------------------------------------------------------------
「おろ・・・・せ」
「ダメだ」
「もど・・・・れ・・・ある・・・じが・・・・」
「ダメだ」
「たのむ・・・から・・・・・・私たちを・・・・・」
「それは・・・出来ないんだ・・・・・!!!」
森を走るブレイド。
そのバイクには、ボロボロのシグナムとヴィータか一緒に乗っている。
意識がもうろうとしながらも、自分たちを主の元に連れていくように頼む二人。
だが、剣崎にそうする事などできなかった。
いまだに戻ってくれと涙するシグナムの言葉に、ダメだと言い続けるブレイドの顔は仮面に隠されている。
だが、それを見上げたヴィータには、その仮面が泣き顔に見えてしょうがなかった。
to be continued
後書き
レンゲル・・・クローバー
カリス・・・ハート
ギャレン・・・ダイヤ
リィンフォース、八神はやて・・・夜天の書にある十字のマーク
はやて
「上のはなんや?」
カードに刻まれたマーク。
あったらおもしろいでしょう?
リィンフォース
「そうですけど・・・・かなり派手にやられましたね」
橘
「あの時はヤバかった・・・・・蒔風は本当に俺たちの敵になってしまったようだな」
はやて
「にしてもあんな戦い方するんやなんて・・・・・」
睦月
「僕なんてほとんど戦ってないのに・・・・」
始
「手段を選んでこなかったな。銃も使っていたが」
はやて
「そういや、ゼロライナー襲われたんもガス管と手榴弾やったもんなぁ」
橘
「ああ・・・あれはオレたちの知ってる蒔風じゃないようだ・・・・」
彼の本領発揮、というところですね。
ちなみに、今回のリストはここに乗せておきますので、確認を~~♪
あと、カリスの「ワイルド」は少しアレンジ聞かせたのでご了承ください。
弓の技じゃなかったけど、そう言う事にしました。
橘
「次回・・・はまだ決まってないようだが・・・・」
はやて
「どうやら魔術関係みたいやで?」
始
「いろいろあるな・・・・」
ではまた次回
襲撃リスト(完全版)
岡崎智也
岡崎渚
キョン
朝比奈みくる
長門有希
古泉一樹
泉こなた
柊かがみ
柊つかさ
高良みゆき
響鬼
威吹鬼
轟鬼
ハクオロ
エルルゥ
オボロ
べナウィ
クロウ
カルラ
トウカ
泉戸裕理
泉戸ましろ
応龍
鵺
城戸真司
秋山連
北岡秀一
吉井明久
坂本雄二
姫路瑞樹
島田美波
木下秀吉
土屋康太
津上翔一
芦原涼
氷川誠
上条当麻
インデックス
御坂美琴
クラウド・ストライフ
前原圭一
竜宮レナ
園崎魅音
園崎詩音
北条沙都子
古手梨花
古手羽入
国崎往人
神尾美鈴
門矢士
小野寺ユウスケ
光夏海
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス
ジーク
桜井侑斗
デネブ
直枝理樹
棗鈴
棗恭介
井ノ原真人
宮沢謙吾
神北小毬
能美クドリャフカ
来ケ谷唯湖
三枝葉留佳
西園美魚
朱鷺戸沙耶
乾巧
海堂直也
三原修二
衛宮士朗
セイバー
遠坂凛
アーチャー
間桐桜
ライダー
イリヤスフィール・アインツベルン
バーサーカー
ランサー
ギルガメッシュ
天道総司
加賀美新
矢車想
北郷一刀
剣崎一真
橘朔也
相川始
上城睦月
皐月駆
水奈瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
百野栞
直江大和
紅渡
ガルル
バッシャー
ドッガ
左翔太郎
フィリップ
高町なのは
フェイト・T・ハラオウン
アリシア・テスタロッサ
八神はやて
リィンフォース
シグナム
ヴィータ
シャマル
ザフィーラ
リィンフォースⅡ
スバル・ナカジマ
ティアナ・ランスター
キャロ・エ・ルシエ
エリオ・モンディアル
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