世界をめぐる、銀白の翼
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第二章 Lost Heros
始まりの襲撃
事件は、いつだって唐突にやってくる。
だって、予兆があるなら防げるでしょう?
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「EARTH」地下大訓練場
そこで一刀が次々と武器を出し、いろんなメンバーの武器の扱いを練習していた。
隣では蒔風とアーチャーがそれを見ながら時々指導に入っている。
一刀の力は強力だが、一刀の技量がそこに追いつかないと扱いきれないものもまだある。
まあ、翼人なのですぐに習得するだろうが、何分数が多いのでこうして多武器を扱うアーチャーと、各世界での能力を見、そして翼人の先輩として蒔風が見ていたのだ。
「じゃあ、次だな。今度は何やるんだ?」
「レールガン」
そう言って一刀の手のひらにコインが現れ、それを指ではじいて宙に浮かす。
そしてそれがまっすぐ伸ばした手の先に来た瞬間
ドォン!!!
轟音を轟かせ、熱線と化したコインが飛んで行った。
それは三十メートルほど進んでからコイン自体が蒸発することで、自然に消えて行った。
「うーん・・・美琴が五十だったから、お前も行けなきゃおかしいんだけどなぁ」
「おそらく、無駄に力が入っているのだろう。もっとスマートに打ち出さなければ、受けるのは小さなコインなのだからすぐに消えてしまうのは道理だ」
「そっかー・・・・じゃあ今度は抑えてやってみるよ」
そう言って何発も撃っていく一刀。
だがその調節がなかなか難しい。やはり学園都市最強のレベル5その第三位は伊達ではないということだ。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・これ反動もキッツ―」
「そろそろ休憩しようか」
「そうだな。それに、そのあと気晴らしにほかの力を試してみるもよし。私が剣を見てやってもいいぞ。二流なれども、まだ教えてえやれることもあるさ」
バタン!!!!
と、そこで大きな音を立てて大訓練場の扉が開かれる。
その扉は更衣室につながっているはずだが、扉の向こうにある風景はそのものではない。
「蒔風!!ゆ・・・侑斗が・・・・」
「・・・・デネブ?」
「侑斗が襲われた!!助けてやってくれ!!!」
「なに!?」
蒔風らがデネブが駆け込んできた扉の向こうを見る。
そこにあったのは、ところどころから蒸気を吹き出し、ボロボロになったゼロライナーだった。
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デネブの話ではこうだ。
いつものように、時の砂漠をゼロライナーで走っていた侑斗とデネブ。
これ自体は、別に珍しいことではない。桜井侑斗は暇さえあっては(ほとんど暇だが)時間の中を走って異変がないか、イマジンが出てないかと様々な時間を見て回っている。
今日もそうした巡回のようなものの途中だった。
時間に降り立ち、見回って、キャンディー(侑斗をよろしく!)を配ってたデネブにプロレス技を仕掛ける。
いつものことを終わらせてから、また時間を走っていた。
「なぁ侑斗。もうこんなに飛び回らくてもいいんじゃないか?」
「あん?どういうことだよ」
ゼロライナー食堂車。
そこでご飯を食べながら、侑斗がデネブに聞き返す。
デネブが言うには、「EARTH」というちゃんとした部屋があるんだから、そこで暮らせばいいのに、だそうだ。
だが、侑斗はそれに対して横に首を振った。
「いや、それじゃだめだ。イマジンがやってくるのは突然だ。ターミナルも見ているんだろうが、こうやって常に見回っていないといつ来るかわからないからな」
「おお、そういうことか!さっすが侑斗!」
「それにずっとあそこにいたらそのままプーになっちまうかもしれない・・・」
「おお・・・・そういうことか・・・・」
「って何納得してんだー!!」
「アタッ!痛いな~侑斗~。侑斗が言ったんじゃないか~」
車内にて、誰も見てない漫才を延々と披露していく二人。
相も変わらず仲のいいものである。
そうして床の上でゴロゴロと暴れあっていると、突然
ゴガンッ!!!
という音と共に、衝撃がゼロライナーを襲った。
その衝撃は重く巨大なゼロライナーを一発で脱線させ、緊急停止をさせるほどのものだった。
「な、なんだ!?」
「襲撃されてんだ!!行くぞ!!デネブ!!変身!!」
ゼロノスに変身し、デネブと共に外へと飛び出して行こうとする侑斗。
だが
カン、カランカラン・・・・・ボシュッ!!
「なっ!?」
「ぶわっ!!」
少し開けられた扉の隙間から缶のようなモノが投げ込まれ、それから一気に白い煙が噴き出してきた。
ゼロライナーの狭い室内は一気に真っ白な煙に覆われ、視界を奪われる。
「これは・・・・」
ピンッ、ゴトッ!!
「!!!デネブ!!」
「侑斗!?うわっ!!」
何か重いものが床に落ちた音がして、侑斗が血相を変えてデネブの後ろ襟をつかんだ。
いや、実際にはその顔は仮面に隠れて見えなかったが、その時の侑斗の顔は、デネブには容易に分かったのだ。
『ゼロライナーを切り離して「EARTH」に戻れ!!そしてこのことを・・・・・』
「侑斗!?」
ドォン!!!
侑斗の声がドアの向こうから聞こえる。そして、その後に爆発音が聞こえてきた。
侑斗はデネブを掴んで、彼をゼロライナーの前部、つまりは操縦室に放り込んでいたのだ。
デネブが扉に縋りつくが、ゼロノスである侑斗がゼロライナーを切り離し、一両目であるドリルだけを発進させてしまった。
おそらくはまだ、謎の襲撃者と戦っているのだろう。
だが、あの狭い車内ではゼロノスの武器はどちらも不利だ。
引き返そうにももう、マシンゼロホーンのハンドルは言う事を効かない。
窓から外を見ると、後部車両から炎が上がり、何か白い光が真上に向かって柱のように伸び、そして細くなって消えていくのが見えた。
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「それでそのままここに・・・・・頼む!!侑斗を・・・侑斗を助けてくれ!!」
一部始終を話したデネブが、蒔風に縋りつく。
隣で聞いていたアーチャーと一刀は信じられないと言った顔をしていた。
無理もない。
実力にある程度の上下はあれども仮面ライダーを、しかもゼロノスを、デネブの援護がないとはいえそう簡単に倒す者がいるのだろうか?
「場所が悪かったんだ・・・・あんな狭い食堂車じゃ、ゼロノスの武器は大きすぎて十分に戦えない・・・」
「いや、いい・・・・話しは後だ!!急いでその場所に案内してくれ・・・行けるか?」
「ああ!!こっちだ!!」
「オレも行く!!」
「私もついて行こう」
デネブの後に、蒔風、一刀、アーチャーが着いていき、ゼロライナードリルに搭乗して現場に向かう。
時の中での事件という事もあって、野上達にも連絡し、一行は問題の事件現場に向かった。
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時の中。
場所は、つい三十分前にゼロライナーが襲撃を受けた場所だ。
「野上!!・・・・・こ・・・れは・・・・・」
「舜・・・・見てよ・・・・こんなの・・・・」
ゼロライナーが到着する頃には、デンライナーに乗った良太郎もその場に到着し、現状の酷さに言葉も無い状態だった。
ゼロライナー後部車両「ナギナタ」の真ん中上部は完全に吹き飛んで天井がなくなってしまっている。
そしてその状態で横転し、こちら側に中を見せつけているかのようだ。
その内部だが、ところどころからは火花が散って、そのど真ん中には何かが爆発したかのような跡がくっきりと残っていた。
「俺らが来た時にはもうこんなんだったぜ」
「多分、よっぽどいきなりだったんだね。なにも残っちゃいないよ」
「ゆ、侑斗は!?」
先に来ていたため、一応この周辺を見ていたモモタロスとウラタロスに、デネブが必死になって聞いた。
だが、二人はそれに答えることはできなかった。
「いないよ・・・見つからなかったんだ。あいつ、かなり強かったのに」
「あの侑斗に簡単に勝てる奴なんて、想像もつかへん」
と、さらに気落ちした様子のリュウタロスと、本当に今でもこの現状が信じられないというキンタロスが、侑斗どころか、手がかりも無かったと報告する。
それを聞き、デネブは泣き崩れてしまった。
その様子を見て、アーチャーがオーナーに話しかけた。
「だが、おかしいじゃないか。遺体も無いというのはどういう事だ?ほかに戦闘場所はあったのか?」
「いぃえ。この場だけです。おそらく、ここで襲撃され、ここで・・・やられたんでしょぅ」
そのオーナーの言葉に、一刀が「ん?」と頭を捻る。
だったら、遺体がないのはやっぱりおかしいと。
「ここだけが戦闘範囲なら、なんで遺体がないんだ?もしそれごと消すぐらいの攻撃なら、ゼロライナーも無いはずだろ?でもあるってことは・・・・」
「おそらく、連れ去られたか何かだろうね。だけど、あの坊っちゃんを連れ去るなんてこと、短時間でできると思う?」
「殺した後に遺体を処分したってことはないか?」
「それはないやろ。そんなん、この砂漠でどうやるんや?」
現状を見て、推測を立てていく一同。
結論としてわかったのは、侑斗は襲撃され、なぜかはわからないが連れ去られたという事。
そして、襲撃者はゼロノスを圧倒し、尚且つ連れされると言うほどの実力者だという事だけだった。
「だが・・・なぜ侑斗が狙われた?デネブ、わかるか?」
「わからない・・・だが、いつもこうやって時間の中を監視していたから、邪魔だと思われたのかもしれない・・・・」
少しは立ち直ってきたのか、デネブが顔をグシグシとこすりながら立ち上がった。
なるほど、確かにここ最近、侑斗は時間の中を見回っていた。
もし、襲撃者がこれからことを起こすつもりなら、未来過去に自由に行き来できるゼロノスが邪魔だと思うのは当然かもしれない。
「つまり・・・・」
「ああ、これから何か起こるぞ。アリス、全「EARTH」メンバーに通達。警戒態勢を敷き、いかなる襲撃にも備えろとな」
『蒔風!?一体それは・・・・』
「帰ってから説明する。あと、地下施設のどっかにドックがあったろ。あけといてくれ。これからでかいの運ぶから」
蒔風がアリスに通信で警告を出す。
「EARTH」所属の戦士に、これから何かが起こるという事を伝えてもらうために。
「これから・・・とんでもないことが起こりそうですねェ」
「オーナー・・・・あなたは知っているのか?」
「いぃえ?ですが・・・・・無事に終息することを・・・・祈るだけです・・・・」
オーナーの言葉。
そう、きっとこれは始まりに過ぎない。
だが、皆まだ気付いていなかったのだ。
もうすでに、事件はもう少し前から始まっていたという事に。
to be continued
後書き
始まりました事件。
これぞ第二章の本筋です。
侑斗
「二回目の事件はどうしたんだよ!」
ありますよ?
でも、その話よりもこっちの方が長いです。
先に言っとくと、第二章は先の事件が長く、後のが短いです。
ここから始まる、事件・・・・・
一人、また一人と・・・・
さあ!!襲撃者の思惑とは一体!?
侑斗
「オレも結局、戦闘描写すらも無く終わったからなー」
ではまた次回
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